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ハノイ発ダナン行きS19列車

車内に荷物を置いて、先頭の機関車まで行ってみます。丸いD19E型は、中国製の電気式ディーゼル機関車のようです。車体側面の切り抜き文字“DUONG SAT VIET NAM”をネットで翻訳してみると“ベトナム鉄道”。なーんだ。

駅構内の線路は路面電車のような敷石で、渡りやすくなっています。写真を撮りに線路に立ち入るのは自己責任で。ハノイ駅だけは、高いホームで跨線橋が整備されていますが、他の駅は低いホームだったので、以前は隣のホームへどこでも横断できたのでしょう。

先頭の機関車はD19E型
ベトナム鉄道の切り抜き文字 機関車に次位に荷物車

機関車の次位には、貨車のような荷物車が連結されています。ワキ8000だったでしょうか、かつては日本の国鉄にも荷物と貨物の兼用車が夜行列車に連結されていた時代がありましたね。

続いて食堂車が連結されています。車内では準備中。3両目の窓の上下方向が小さな車両はハードシート車。この車両だけは冷房が無いようです。

食堂車は準備中
ハードシート車 ソフトシート車

ソフトシート車はリクライニングシート。4号車は窓から見えるベッドの位置が低いので、窓上にもう1段ベッドがある3段で1室6人のハードベッド車でしょう。かつての日本の3段式B寝台と同様に、下段に座ると中段に頭がつかえます。中国製でしょうか、リブのある車体です。

乗車した6号車のソフトベッド車は、上下2段ベッドの4人部屋。上段に上がるハシゴはなく、壁面の小さな折りたたみステップに足をかけてよじ登る中国と同じ方式。中国の軟臥車は、昼間に座席として使うときのために壁面に背ずりのクッションがありますが、ベトナム鉄道はただの板だけ。下段のベッドの下と廊下の天井部分が物置になっていて、引き戸のドアには内側から鍵がかけられます。

ハードベッド車 ソフトベッド車
上下2段4人のソフトベッド車 天井の照明とエアコン

ハノイ駅発車時点では、向かいの上下のベッドは空いていたのですが、ドアを開けていたところベトナム人の男が入り込んできてベッドに寝転び、テーブル下のコンセントを使いタブレットの充電をはじめます。お互い言葉は通じませんが、荷物を持っていないので座席車の客が図々しく寝台に入り込んできたようです。乗車時に切符のチェックをしたからか、車掌が検札に来ることもなく、ベトナム鉄道では中国のように換票と切符を交換して乗客の下車駅の管理をすることもありません。

こんなやつに居座られると治安上の問題もあると思い車掌を捜しに行くと、ソフトベッド車の一番端の部屋に5〜6人の車掌が集まっておしゃべり中。どうやらこの部屋は車掌が交代で仮眠に使うようです。私が、寝台券を持っていないと思われるやつが部屋に入り込んでいると伝えると、若い男性の車掌が一緒に部屋まで来て、やつと何やら言葉を交わし、私にやつが寝ているのはおまえのベッドかと聞いてきます。我々はこちら側の上下と答えると、それなら仕方がないねと帰ってしまいます。何たる職務怠慢!

でも、すぐに乗車時にチケットの確認をした若い女性の車掌が来て、やつのチケットを確認して追い出します。彼女がこの車両の責任者でしょう。チラッと見えた切符は2号車だったので、ソフトシートの料金であわよくばソフトベッドにという魂胆だったのでは。

途中で停車したナムディン駅 翌朝の車窓

男を追い出してからはドアを閉めて鍵をかけていると、途中の停車駅でノックする音が。開けると、ヨーロッパ人の若い二人連れが入ってきます。担当の車掌は、途中からの乗車客を把握していたのでしょう。イタリア人の彼とバレンシア出身のスペイン人の彼女のカップルで、ローマの郊外に住んでいるのだそうで。初アジアにベトナムを選び、ハノイから夜行列車で中国国境近くのラオカイを往復し、ハロン湾にも行ってベトナム鉄道の夜行列車は今回の旅行で3回目なのだとか。こんな出会いがある、列車の旅はいいですね。

 

車内の探検

ベトナム3日目、朝7時頃に目が覚めると外は天気予報通りの雨。南北に長いベトナムの12月末は、北部や南部は乾期ですが中部は雨期にあたっています。食堂車の偵察を兼ねて、一番前まで車内の探検に出かけます。食堂車の営業は始まっていますが、朝食をとっている多くは乗務員のよう。

次のハードシートは、通路を挟んで4人がけと6人がけのボックスシート。中国のような大陸サイズの客車と違い、メーターゲージのベトナム鉄道では横幅が狭そう。でも、このぐらい空いていれば座席で横になることもできますね。冷房がないので、窓を開けたときのために粗い金網がついているのは投石避け?

食堂車で乗務員が朝の腹ごしらえ 4人がけと6人がけボックスのハードシート
冷房のない窓には目の粗い網が リクライニングのソフトシートは回転できない

ソフトシート車はリクライニングシートですが、向きは固定で回転できず、車体の中央部から半分は後ろ向き。所々に空席はありますが、ハードシートより乗車率は上回っています。

車体幅が狭いからか、片廊下の寝台車の廊下は狭く、日本のような折りたたみ式の補助席もありません。その代用ではないのでしょうが、デッキにプラスチックの椅子が一脚。中国と同様に、各車両には給湯器が備えられています。でも、カップラーメンをつくって食べている乗客は見かけません。

ハードベッド車の部屋とベッドの番号 ソフトベッド車の狭い廊下
デッキに何故かプラスチックの椅子が 各車両にある給湯器

寝台車に2個所あるトイレは、ベトナム式と様式。いずれも垂れ流しです。片隅には、洗面所や寝具の倉庫も。

ベトナム式トイレ 洋式トイレ
洗面所 片隅にある倉庫の寝具類

 

食堂車でフォーの朝食

食堂車で雨の車窓を眺めながら、朝食に米の麺、フォーを注文します。フォーボー(ベトナム風牛うどん)とフォーガー(ベトナム風鶏うどん)はいずれも150円ほど。ベトナム鉄道の食堂車は、市内の食堂に比べ決して高くはなく、お味も上々。

食堂車でフォーの朝食 車窓は雨
食堂車を基地に車内販売が行き来する

食堂車は車内販売の基地になっていて、満載のワゴンが車内に向かい、空になって戻ってきます。

 

ドンハ駅

8時半頃に、フエの北75kmにあるドンハ駅に到着。ハードシートの編成のローカル列車らしき編成と交換。統一前の旧北ベトナムと南ベトナムの軍事境界線、北緯17度線はフエから北100kmのところだったので、気付かないうちに通過してしまったようです。

ドンハ駅で列車交換

 

フエに到着

列車は、定刻9時40分にフエに到着。雨の中、低いホームに降りたちます。列車はこの先ハイバン峠を越えてダナンまで行くものの、外国人観光客が大半を占めるソフトベッド車の乗客は、ほとんどがここで下車します。前方に行ってみると、荷物車から荷下ろしが行われていて、どこかで付け替えたのか、機関車が角張ったシーメンス製の最新型D20Eに交代しています。

フエで下車 荷物を下ろしている
バイクまで運んでいた シーメンス製のD20E型に付け替えられていた

 


 

 

 

 

 

 

  

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