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赤一色の大型の2軸車は、トラム(シュトラッセバーン)ではなくシュタットバーンの車両。一般にドイツ語圏では、シュタットバーンはSバーンと略して国電の近郊路線を指し、ウィーンでも国鉄がSバーンを運行しています。でも、ここに車両が保存されているシュタットバーンは、今では地下鉄Uバーンの路線、U4やU6号線となっていて、市内の高架線や掘り割りを走り、一部に地下区間もある路線です。

3両のうち、パンタグラフのある2706号と2861号が1925年製のN型電動車。出力140kWで総括制御が可能。5538号がn型付随車で、3M6Tの9両編成で運行。登場時は赤と白の塗り分けであったものの、ブレーキシューの鉄粉で汚れるために赤と黒帯に変更したのだとか。1961年まで使用。

2軸車を連ねたシュタットバーンのN型

電動車2992号と2872号は、上のN型木造車の部品を流用して新造の鋼製車体にのせ替え、1954年に登場したN1型。n2型付随車5993号も、同様にn型の車体更新車で1961年製。N型とは2軸台車の外観が異なっているので、更新時に新造したのでしょう。いずれも1983年まで使用。

N型の車体更新車N1型電動車
n2型付随車とその車内

今では、U4号線はUバーンの車両を使用。U6号線は路面電車タイプの3車体連接デュワグカーの時代を経て、3車体連接の部分低床車を3重連の9両編成にして運行しています。

シュタットバーンのN1型2872号

事業用の車両もあります。2軸の6112号はレール敷設用のクレーン車で出力81kW。2軸の旅客車の改造かと思ったら、1907年製の新造車。1981年まで使用。レールを乗せて連結しているのは、1906年製の重量物運搬車で、7114号と7115号の番号もあります。1990年まで使用。

2軸のクレーン電車
レールをはじめとする重量物運搬車

荷台に“右側通行”の看板を載せた2軸の電動貨車6011号は、1912年製のSP型で出力77kW。電車の部品から食料まで、何でも運ぶとともに、宣伝カーや冬は雪かき車としても活躍したのだとか。1987年まで使用。

2軸の電動貨車6019号

“特別車”の札を掲げた黄色い6150は、1929年製の2軸のM型旅客車を1972年に改造したMR型視察車。1973年以降、専門家グループの移動オフィスや移動工房として1986年まで使用。

移動オフィス、移動工房の6150号とその車内

2軸の無蓋貨車7059号は1916年製のgm型。第一次世界大戦中に大半のトラックが軍に徴用されてから、ウィーン市内の食糧や消費物資、燃料などの輸送に無蓋貨車が使用されました。第二次世界大戦中も再び活躍し、1986年まで使用されました。

無蓋貨車7059号

これらの車両は、基本的には動態保存のように見受けました。

軌道バイクがあります。説明はなかったような...

軌道バイク

地下鉄の車両も1両だけあります。上のシュタットバーン以外に、本格的な地下鉄としてU1号線が開通したのが1978年。それに合わせて1976年に造られた2022号はアルミ車体で大幅に軽量化し、シルバーアロー(銀の矢)と呼ばれたのだとか。説明には出力800kWとなっていますが、大きすぎませんか。

この博物館では珍しく車内に入れる展示物です。歴代のシートを再現しているのでしょうか。

地下鉄車両2022号

集電シューが付いているので地下鉄車両の台車でしょう。真ん中のモーターから直角カルダンで両方の車輪を駆動する方式のようです。路面電車のデュワグカーもこの方式だったような。軸バネはゴムで、車軸にはディスクブレーキを備えています。

地下鉄車両の台車

簡素な構成の運転シミュレータもあります。

運転シミュレータ

世界各国のトラムや地下鉄のパネルもあります。トキオ(東京)に地上時代の東横線渋谷駅と、東京メトロ東西線のワイドドア車の模型が展示されていますが、選定理由がよくわかりません。

世界のトラムや地下鉄

バスも3台あります。ボンネットバスは1949年製で出力92kW。戦後ウィーンの代表的な型式のバスで、市内の中心部の路線で1970年まで使用。当初は前と中の2扉だったとか。

二階建てバスは1961年製で出力118kW。1960年代にいくつかのトラム路線を廃止してバスに置き換えたとき、収容力の大きな車両が必要となり二階建てを導入しました。しかし、多くの乗客は乗車区間が短距離であったため二階の利用率が悪く、ロンドンのように二階建てバスが普及することにはならなかったのだとか。

ウィーンのバス

最後は1987年製の小型バスで、出力63kW。都心や旧市街の狭い道路に乗り入れるため1977年に導入した第一世代の小型バスの代替として登場したのがこのタイプ。ディーゼルエンジンを装備していたため、今では環境にやさしい天然ガス車に交代しています。

ウィーントラム博物館の詳細は、公式ホームページへ


 

 

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