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住宅や商店の建ち並ぶ、いかにも廃線跡という微妙なカーブの細い路地を抜けた先に、線路が残り腕木式信号機が立っています。その隣には、柵で囲まれた中に木造の建物があり、ここはナローゲージ時代の花蓮駅や操車場、機関区等の跡地を整備した花蓮鉄道文化園区の一部で、かつて工務段と警務段があった場所のようです。
入場は無料。敷地の中に入るとターンテーブルの跡でしょう、丸く囲われたスペースがあり、隣接して建つ木造建築は警務段(鉄道警察?日本の国鉄鉄道公安官に相当する組織でしょうか)、その横のコンクリートの小屋は留置場です。
腕木式信号機の向こうが文化園区二館 | ターンテーブルの跡地を整備 |
鉄道警察の留置場 |
広い通りの向こうに、鉄骨造りの大きな建物が見えるので行ってみることに。操車場の跡地に観光案内所やカフェがあるものの、こんな奥までお客さんが来ないのか閉鎖されている部分も多く、トイレだけ使わせてもらって退散です。一方、道端のフリーマーケットはそこそこの賑わい。
操車場跡に建てた複合施設 | 道端の蚤の市 |
周辺にはまだまだ鉄道用地だった空き地が広がっています。そんな一角の丸い噴水のある場所は、かつての駅前広場です。駅舎は存在しないものの、隣接する“鉄道部花蓮港出張所”だった部分が残り、門に“花蓮鉄道文化館”、“風華再現鉄道情”とあります。
かつての駅前広場 何ですかこのキャラは | 水の出ていない駅前広場の噴水 |
こちらがメインエリア 花蓮鉄道文化園区一館の入口 |
門をくぐって中に入ると、瓦屋根の木造日本建築があり、改札口や出札窓口が設けられています。でも、ここは駅舎ではなく事務棟だったはず。鉄道文化園区として公開する段階で、駅舎を模して改築したのでしょう。
駅舎を模した展示 | 出札窓口に硬券が並ぶ |
花東線で使用された用具類を展示 | ナローゲージ線で使われたタブレットなど |
内部は展示スペースになっていて、ナローゲージ時代の花東線で使われていた用具類が並んでします。また、花蓮駅、花蓮港駅の歴史や花東線の変遷、ナローゲージ時代にスチュワーデスが乗車していた看板列車、ディーゼル特急光華号の写真等のパネルが並んでいます。
花蓮駅や花蓮港駅の変遷を伝えるパネル | |
花東線の歴史 | ナローゲージ当時の光華号 |
ナローゲージの客車のモックアップもあります。三等車はクッションのない木製の椅子だったんですね。中庭には、ナローゲージ線の花蓮から2つ目の吉安駅の駅名標が立っています。吉安は、現在の花東線では花蓮の次の駅で、その手前でナローゲージ線と合流していました。
ナローゲージの客車のモックアップも | 中庭には“吉安”駅の駅名標が |
花蓮駅と駅前広場 今の文化園区は広場の右手 | ナローゲージ線の花蓮駅周辺のジオラマ |
花蓮駅とその周辺を作り込んだ大きなNゲージのジオラマがあり、これを見ると当時の駅と操車場、現在の花蓮鉄道文化園区の位置関係がよくわかります。
鉄道文化園区から花蓮駅に戻る途中、市内を流れる美崙渓の対岸、美崙山の中腹にある忠烈祠に立ち寄ります。台湾の忠烈祠は、国のために殉難した烈士を追悼する施設で、日本統治時代に持ち込まれた神道信仰の“護国神社”から、その痕跡をなくすため名称を“忠烈祠”に改めたところが多いのだとか。花蓮の場合は、花蓮港神社の跡地に鄭成功をはじめとする台湾の英雄を祀るために1981年に建てられたそうです。
市内を流れる美崙渓の対岸に忠烈祠 | |
本殿と隙間から覗いたその内部 |
ここでは、台北の忠烈祠で見られるような衛兵の交代はなく、訪れる人もわずかで静かに佇んでいます。
花蓮駅に戻ってきました。表口の駅前広場の左手に台湾鉄路博物館花蓮分館として、ナローゲージ時代の車両の展示されているので行ってみることに。今は花蓮駅構内の車庫にいる、LDR2200型やLDR2300型ディーゼルカーと2両の木造客車も、動態に復活するまでここで保存されていたそうです。
花蓮駅 | 駅の横に展示されていたナローゲージの蒸気機関車 |
貨物用のLDT100型蒸気機関車、LDT103号機は1942年の日本車両製。軸配置は1D1のミカドで、国鉄の9600型を小型化したような風貌。連結器がピンアンドリンク式でここだけは軽便ですが、立派な機関車です。2軸のテンダーの側面がC56のように切り取られているのは、バック運転を考慮してでしょうか。
C56のようなテンダ | 展示車両があったホーム |
この機関車以外の車両は、プラットホームのようになったところに保存展示されていたようですが、大型クレーンを持ち込んで搬出作業中。糖蜜を運んだタンク車は、既にトラックの荷台に乗っています。LDT103号機も含め、ここから搬出した車両は整備の上で、上記の花蓮鉄道文化園区に移転したそうです。
ナローゲージの貨車の撤去作業中 |
3月ですが、花蓮駅構内には“新年快楽”の横断幕が。でも、旧正月からまだ1ヶ月か。待合室の一角には“按摩”の看板が掛かるマッサージのコーナーがあり、昼間から盛業中です。
花蓮駅の内部 | 待合室横の按摩のコーナー |
ホームに上がると側線には台湾原住民の船を描いた莒光号の客車が留置中。観光列車や団体列車に使用される車両でしょう。通勤型の最新鋭、800型8連の試運転電車が入線してきます。
原住民の船を描いた観光列車の客車 | 最新鋭800型が試運転で入線 |
ドアが開いたので車内を見てみると、先頭車はロングシートで前方は車いすスペースと自転車を積載したときに跳ね上げられる構造で、2両目以降の中間車は700型や台北の地下鉄と同じ台湾配列のセミクロスシート。700型より背ずりが高くなり、座り心地は改善されているようです。
800型の先頭車 一部は跳ね上げることができるロングシート |
2両目移行の中間車は台湾式セミクロスシート |
でも、こいつが増えるとその代わりに客車列車の復興号や莒光号の引退が進み、台湾鉄路の魅力が薄れていく気がします。