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ブリーク駅

ドモドッソラは、チェントバッリ鉄道からイタリア鉄道への乗換駅。ホームで待っていた始発列車のブリーク行きは、赤い電気機関車を先頭に最後部の2等と荷物の合造車には運転台のある、スイス国鉄のプッシュプル編成。ドモドッソラを出るとしばらく盆地を走った後、山に分け入っていき、トンネルが連続します。地図を見るとループ線のトンネルも通ったようですが、車窓からはよくわかりません。

ドモドッソラで乗り換えた列車 ブリーク駅に到着

10分ほどでイゼーレ駅を通過して、2つの短いトンネルのあと長さ19.8km、イタリアとスイスにまたがる国境のシンプロントンネルに突入。1905年から上越新幹線の大清水トンネルが開通するまで、76年にわたって世界一の長さを誇っていたのだとか。15分程かかってシンプロントンネルを抜けると、そこはもう終点ブリーク駅の構内。トンネルの北と南で天候も変化し、こちらは線路が濡れています。人々の話す言語もイタリア語からドイツ語に。

長い編成から降りたのはわずかな乗客。隣の側線から、Cargoと大きく書いた電気機関車の牽く貨物列車が発車していきます。

ブリーク駅の貨物列車

ブリークは、シンプロントンネルでイタリアにつながる幹線とジュネーブ方面への国鉄幹線、ベルン方面の私鉄BLS AGの幹線、それと氷河急行の走るマッターホルン・ゴッタルド鉄道(MGB)の接続駅。数年前のレッチュベルク基底トンネルの開通で、ベルン方面とジュネーブ方面の優等列車の分岐駅はフィスプに変わったものの、今でも山を登り旧レッチュベルクトンネルを経由してベルン方面に向かう路線は健在です。

国鉄ブリーク駅前にMGBのブリーク駅 ここにもミニトレインが

ブリークの立派な駅舎から外に出ると、駅前広場にMGBのホームがあり、ディセンティス方面行きの荷物電車のような電気機関車に自転車を積み込んでいます。やっぱり荷物室があるんだ。ツェルマット行きは新型電車の連接車4両編成で、うち3両は部分低床車。先頭車の高床部分にもドアがあり、正面はフラットなおとなしい顔ですが、2両目のドアがなく天窓付きの高床ボギー車からみて、シュタッドラーの製品でしょう。

先頭の電気機関車に自転車を積み込む 部分低床の新型電車

MGBは標高671mのブリークから1604mのツェルマットまで、最急勾配1000分の125をアプト式のラックレールで登ります。


フィスプ乗り換えマッターホルンゴッタルド鉄道でツェルマットへ

ブリーク駅前のホテルで1泊したあと、スイス8日目はツェルマットに向かいます。次のMGBの列車はフィスプが始発のため、まずはブリークからフィスプまで国鉄で向かいます。この間は、家並みの多いローヌ川の谷を、国鉄とMGBの線路が並走しています。

ポストバスが並ぶ朝のブリーク駅前 国鉄のインターシティー

フィスプ駅のMGBのホームで待っていると、制御客車を先頭に、電気機関車に押されて回送列車が入線してきます。窓際のテーブルの表面は、路線図になっていて、どこまで来たのかわかりやすくて良いですね。

MGBのツェルマット行きが入線 窓際のテーブルに路線図

標高650mのフィスプを発車した列車は、国鉄と分かれて南に進路を取り、ローヌの支流フィスパ川沿いに谷を遡って35km先、標高1605mのツェルマットを目指します。勾配がきつくなり、ラックレール区間が始まります。シュタルデン・ザース駅では、木造駅舎の中に谷の対岸の村とむすぶ小さなロープウエーを見つけました。シュタルデン・ザースを出ると谷が急に深くなります。気になるお天気は、まだまだ雲が低い。

まだ雲が低い アプト式ラックレール区間の駅 谷が急に深くなった

さらに進むと谷は再び浅くなり、線路沿いの沢には上流から流れてきたのか大きな石がゴロゴロ。駅前に葱坊主を乗せた教会のあるザンクト・ニクラウスで、ブリーク行きの新型電車と交換。

渓流に大きな石がゴロゴロ ブリーク行き新型電車と交換
最後尾は天窓付き 駅舎の向こうに葱坊主の教会 前方に晴れ間が広がり雪山が見えてきた

列車の行く手の空に雲が切れ、雪山が姿を現します。おっ、これは期待できるかも。ランダ駅で“Glacier Express”のヘッドマークというか、四角いプレートを貼った電気機関車を先頭に、パノラマ客車を連ねた氷河急行が交換待ちで運転停車しています。編成の中間には真っ赤な食堂車も連結しています。車内に空席があるにもかかわらず、乗客が1個所に固まって座っているので、大半が団体客かもしれません。

ダヴォス行き氷河急行と交換 パノラマ食堂車を連結
氷河急行の最後尾 シャトル列車の始発 ティーシュ駅

ツェルマットの1駅手前のティーシュ駅には、大きな駐車場があります。ツェルマットは、排気ガスを出す自動車の乗り入れを禁止しているため、自家用車も観光バスの団体客もここでMGBに乗り換えです。そのため、4面4線のホームがある大きな駅で、ティーシュとツェルマット間にはシャトル列車も運行されています。列車本数が増えるため、トンネルの間に信号所があり、山を下ってくるブリーク方面のプッシュプル列車と、ティーシュ行きの電車と立て続けに交換です。

プッシュプルの客車列車と交換 続行のティーシュ行きシャトル便と交換

ここで交換した電車をよく見ると、3車体連接を2本併結で、4車体連接車とはヘッドライトの形状やドアの位置に違いがありますね。

さらにいくつかのトンネルを抜けると、終点のツェルマットに到着です。到着前に車窓からマッターホルンが場所があったはずなんですが。

ツェルマットが見えてきた 電気自動車の並ぶツェルマット駅前

 


ゴルナーグラート鉄道でマッターホルンの展望台へ

小さな電気自動車が並ぶMGBのツェルマット駅前広場の向かいには、ゴルナーグラート展望台に登るゴルナーグラート鉄道(GGB)のツェルマット駅があり、線路がつながっています。GGBはメーターゲージで全長9.3kmの全線にアプト式ラックレールを施設し、1485mある標高差を最急勾配1000分の200で登ります。

電化方式が三相交流のため、電車の屋根上には小さなパンタグラフが横に2基並んでいたり、ドアが山上に向かって右側だけだったり、ちょっと変わった電車です。運賃はスイスパスで半額になりますが、それでも往復で4000円を軽く超えます。

部分低所新型車の車内 発車するといきなり急勾配が始まる

自動改札を抜けると、台車間が低床になった2車体連接車を2本併結した列車がドアを開けて待っています。乗客の皆さん、右側にマッターホルンが見えることをよく知っているようで、空席が残っているのは左側だけ。新型車ですが、標高1604mから3089mまで登る電車に冷房はなく、台車の上の高床部分の席は窓が開くのでここを確保します。

フィンテルバッハ駅で交換 車窓のマッターホルン

ツェルマットを発車するとすぐに急勾配が始まり、車窓に雲を従えたマッターホルンが顔を出します。上窓のみ下降式のため、皆さん手を伸ばしたり立ち上がってシャッター音が響きます。最初の駅、フィンデルバッハで下りの電車と交換。13年前に訪れた時はこれが最新型でした。

こんなのどかな風景も 車窓に雪が増えてきた

6月の末ですが、標高が上がると周辺に雪が増えてきます。次のリッフェルアルプで森林限界を超え、周囲の見晴らしが良くなります。ここから先はしばらく複線区間となり、単線に戻って長い雪崩避けの中を抜けるとリッフェルベルクに到着。

       
複線区間ですれ違い         今度は正面2枚窓の旧型車がきた

この先は終点まで再び複線区間となり、冬はスキー客を運ぶリフト代わりの列車が山上区間で増発されるためだとか。続行運転の2本の列車とすれ違います。正面2枚窓の旧型車も健在です。

ここ数日以内に降ったようで、次のローテンボーデン駅まで来ると線路の中や凍った池の上にまで雪が積もっています。終点のゴルナーグラート駅とホテルクルム・ゴルナーグラートが見えてきました。到着前のカーブで後ろを振り返ると、マッターホルンが輝いています。

周囲はすっかり雪景色になり 線路も雪の中
終点のゴルナーグラートのホテルが見えてきた マッターホルンを背に最後のカーブを上る

 


 

 

 

 

 

  

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