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トロリーバスに乗って交通博物館へ

時間がかなり押してきましたが、ルツェルンを再訪した目的、本日のメインイベント交通博物館が残っています。2本の尖塔を持つホーフ教会は前を通るだけになってしまいました。湖畔近くのバス停から、トロリーバスで交通博物館に向かいます。新型は連接車体ですが、旧型はトレーラーを牽く2両連結、クモハ+サハの編成です。

ホーフ教会 旧型の連結トロリーバス
トロリーバスの車内 スイス交通博物館

フィアヴァルトシュテッター湖畔にあるスイス交通博物館は、ヨーロッパを代表する交通博物館のひとつで、陸(鉄道と自動車)、海、空と交通機関の歴史をわかりやすく紹介していますが、中でも鉄道関係が充実しています。映像や宇宙の無重力など、体験型のアトラクションもありますが、列車の時間から逆算した2時間程度の滞在時間では、展示車両を一通り見るだけで限界。1日かけてじっくりと訪れるべき博物館です。

スイス交通博物館展示車両の一部

スイス交通博物館の詳細は、こちらをご覧下さい


国鉄で氷河急行との接続駅ゲシェネンへ

再びトロリーバスでホテルへ戻り、預けていた荷物をピックアップしてルツェルン中央駅に向かいます。マッターホルン・ゴッタルド鉄道乗り換えのゲッシネンは、国鉄の特急ECやICは止まらないので急行IRで行くことに。お昼を食べている時間がないのですが、IRは食堂車を連結していません。

駅のCOOPで冷えたビールを仕入れ、売店で生ハムサンドを買って乗り込みます。物価高のスイスで、唯一ビールだけはスーパーで日本の半額以下で買えますが、サンドイッチは2倍以上。

ビールは安いがサンドイッチは高い 国鉄IRの2等車内

アルプスの南のロカルノ行きIRは、アルト・ゴルダウを過ぎると一路南へ。行く手にはアルプスの山が立ちはだかっています。車窓に青函トンネルを上回る全長57km、2010年に貫通し数年後に開通予定の世界最長ゴッタルド基底トンネルの工事現場を過ぎると、線路はそこからさらに500mの登りにかかります。

美しい山岳風景の中、ループ線で高度をかせぎ、渓谷沿いに2回のヘアピンカーブで180度ずつ進行方向を変えながら登っていきます。車窓に3回、同じ教会の見える地点では、最初に下から見上げる個所は気付かなかったのですが、2回目と通ってきた線路とともに上から見下ろす3回目は写真に納めました。

トンネルを出た川沿いのカーブ 教会の横を通る
教会を上から見下ろす トンネルを出た川沿いのカーブを上から見下ろす

IRは、ルツェルンから1時間半で標高1106mのゲシェネンに到着、側線には工事用車両が留置されています。駅構内の先には1882年に開通した、長さ15kmのゴッタルドトンネルが、2つの口を開けています。トンネルの北側はドイツ語圏、南に抜けるとそこはスイスのイタリア語圏。

ゲシェネンに到着したIR 側線の工事用車両

ゴッタルド基底トンネルが開通すれば、ECやIC、貨物列車は新しいトンネル経由になるでしょうが、IRはゲシェネンに停車するために旧線経由のまま残るのではないかと想像します。


マッターホルン・ゴッタルド鉄道

ゲシェネンを発車した国鉄のIRは、ゴッタルドトンネルに吸い込まれていきます。ホームから地下道をくぐってマッターホルン・ゴッタルド鉄道のホームへ。こちらは狭軌のメーターゲージ。荷物電車のような電気機関車を先頭に、折り返しのアンデルマット方面行きが進入してきます。3両の客車の最後尾は運転台付きになっていて、機関車を付け替えることなく推進運転きるプッシュプルタイプの列車です。

ゴッタルドトンネルに入るスイス国鉄IR 折り返し列車が到着
先頭は運転台つき客車のプッシュプル マッターホルンがこの鉄道のシンボル

前回の訪問時は、ここはフルカ・オーバーアルプ鉄道(FO)でしたが、ブリーク・フィスプ・ツェルマット(BVZ)鉄道と合併してマッターホルン・ゴッタルド鉄道(MGB)になっています。客車には、マッターホルンのイメージが描かれています。

ゲシェネンを発車すると登り勾配が始まり、最急1000分の181の急勾配を、2条のラックレールの歯形を縦にずらして組み合わせたアプト式で超えます。トンネルを抜けると車窓に現れるのが悪魔の橋。建設が困難な場所に架橋した道路橋に、悪魔が橋を架けた伝説を重ね合わせてこの名前が付いたのだとか。

国鉄のゴッタルドトンネル ゴッタルド峠の悪魔の橋

 

アンデルマットで乗り換え氷河急行線へ

列車はわずか1駅10分で300m以上登り、アルプスの十字路、標高1436mのアンデルマットに到着します。ここは、ツェルマットとサンモリッツをむすぶ氷河急行の走る路線。でも、指定席料金がビックリするほど高いのに窓の開かないパノラマ車両の氷河急行は避けて、と言いたいところですがこの時間帯には無いので、普通列車のディセンティス行きに乗り換えます。急行も普通も、所要時間はほとんど変わりません。

MGBの各種車両が並ぶアンデルマット

氷河急行は、機関車は交換するものの、客車はマッターホルン・ゴッタルド鉄道(MGB)とレーティッシュ鉄道(RhB)の私鉄2社にまたがって直通運転しますが、普通列車は両社の接続駅のディセンティスで乗り換えです。でも、氷河急行と違って車内は空席が目立ち、窓が開くことに加えて右に左に景色に合わせて自由に席を移動できるのが普通列車の良いところ。両社ともスイスパスが使えます。

車体がリブ付きの荷電のような電気機関車に牽かれ、アンデルマットを発車したディセンティス行きは、オーバーアルプ峠に向け、アプト式ラックレールラックレールで1000分の110の勾配を登り、雲の中に入っていきます。雲を通してはるか下にアンデルマットの街と駅がありますが、写真を補正してやっとここまで見えるようにしました。奥の左に向かう線路がブリークからツェルマット方面、右側に曲がっていく線路がゲシェネンへの支線、手前から左に曲がるのがいま通ってきた線路です。

雲を通してアンデルマット駅が見える アプト式ラックレールで登る

6月末の線路端には、白い可憐な花が咲いていますが、さらに高度を上げてくると花は消えて雪渓が現れます。登り切るとオーバーアルプ湖が現れ、湖畔に沿って雪崩避けの下をくぐり、氷河急行の走る路線で最も高いオーバーアルプパス駅でしばし停車。

花が消え雪渓が現れた オーバーアルプ湖の堰

みぞれ交じりの小雨で、視界が悪くなってきました。トンネルの中から、交換の列車が客車を先頭に電気機関車に押されて到着します。

オーバーアルプパス駅ではみぞれ混じりの小雨 留置の架線修理車?
電気機関車が後ろから押すプッシュプルの列車と交換

列車はオーバーアルプ峠を越えるトンネルへ。標高2033mの氷河急行の走る路線の最高地点は、このトンネルの中かと思います。あとは一方的に下るだけ。小さな駅に停車しながらスイスらしい山岳風景、アルプスの少女ハイジの世界を接続駅のディセンティスに向かいます。

途中の小さな駅でも乗り降りがある 後方のオーバーアルプ峠を望む
高度が下がると沿線に花が再び現れる 峠に向かう列車と交換

 


 

 

 

 

 

  

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