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自動車

続いて、地上階の自動車を見ていきましょう。国立技術博物館の展示は、工業国チェコスロバキアの国産車を中心に輸入車も含め、自動車が充実していて、年代順に3ヶ所に数台ずつまとめて展示しています。

Benz Viktoriaは19世紀末の1893年に、オーストリア・ハンガリー帝国の一部だったチェコで初めて走った自動車。馬車の形態をそのまま引き継いでいますね。メルセデスベンツのホームページで見てみると、4サイクルで水平単気筒、排気量1730cc、450rpmで3hpのエンジンを後部に搭載し、燃料タンクは座席の下。

Benz Viktoria (1893)

NW Präsidentは1898年、チェコ製では一番古い自動車。NW社は現在のタトラ社につながるメーカー。ベンツ製の2気筒、排気量2750cc、600rpmで5hpのエンジンを後部に搭載。

NW Präsident(1898)

20世紀になると量産車が現れます。De Dion-Bouton Lは、フランスからの輸入。正面に窓ガラスが付いた。

De Dion-Bouton L (1902)

右のGardner-Serpollet Hは、フランスの自動車メーカーGardner-Serpolletが製造した蒸気自動車。20世紀初めの段階では、内燃機関より蒸気機関の方が高性能の場合もあったのだとか。

左のLaurin & Klement voiturette Bは、チェコのバイクメーカーLaurin & Klementが開発した4輪の自動車。フロントエンジンで自動車らしい形態に。いずれも右ハンドルなのは、この時代はクルマが左側通行だったから。

Gardner-Serpollet H(1903-1904)(右)とLaurin & Klement voiturette B(1906) (左)

20世紀の初めになると、チェコに多くの自動車メーカーができました。Veloxもその中の1社。箱型車体にフロントガラス付き。

Velox 8/10 HP (1908-1909)

右はフランスのルノー。フロントエンジンで自動車らしい形態に。正面にエンジン起動用の手回しハンドル。

左は伝説のスポーツカーメーカーブガッティの初期の作品。

Renault AX(1909)(右)とBugatti 13(1910)(左)

Audi 10/26 HPは、現存する最古のアウディーだとか。

Audi 10/26 HP(1911)

Bedelia BD2はフランスのべデリアの作ったサイクルカーとよばれる軽自動車。バイクの部品を多用して安価に仕上げているようで、後輪駆動がベルトがけ。2人乗りで前後に座るタンデム方式だけど、運転者が後部席。

Bedelia BD2(1912)

Pragaはチェコのメーカ。Alfaは1913年の操業開始時の車種。スペヤタイヤがゴムタイヤの部分だけ。

Praga Alfa 5/15 HP(1913)

プラハから南東に100kmほどのフンポレツにオルリーク廃墟城があります。この城が健在だった1914年に、城主がドイツから購入したベンツが歴史に翻弄されながら博物館に。

Benz 16/40 HP(1914)

上にあるように、1905年から自動車の生産を始めたLaurin & Klementは、その後オーストリア・ハンガリー帝国最大の自動車メーカーとなったものの、第一次世界大戦後にチェコスロバキアが独立した1920年代前半の経済の不況時に経営が行き詰まり、地元の大資本のŠkodaに買収されます。これがLaurin & Klementのブランドでの最後の車種。以後はシュコダのブランドで生産。

Laurin & Klement 105(1924)

右は空冷エンジンを搭載したタトラ11。この車にヒットで、タトラが現在に至る地位を確立することになったのだとか。

左のAero 10 HPは、プラハの航空機製造会社が生産した自動車。1929年に始まった世界恐慌で航空機の需要が急激に減少したエアロでは、チェコスロバキア市場に最も安価なクルマとして、2人乗りのAero 10 HPを投入。エンジンは水冷2サイクル単気筒、排気量500CC、出力10hp。

Tatra 11(1925)(右)とAero 10 HP(1930)(左)

上のエアロとは対照的に、同時代のチェコスロバキア国産最高級車がWalterのStandard 6。水冷4サイクル6気筒、排気量2863cc、3000rpmで65hp、最高速度120km/h。

Walter Standard 6(1931)

兵器メーカーのZbrojovkaから独立して1929年に創業し、ドイツのライセンス生産からオリジナル設計に移行したJava。1935年に開催されたチェコスロバキア1000マイルレースで、750ccクラスで優勝したスポーツカーJava750。水冷2サイクル2気筒、排気量745cc、3000rpmで65hpの前輪駆動。最高速度110km/h。

Java 750(1935)

空冷エンジンの小型車が多いタトラの中で、わずか23台製造された超高級車のTatra 80。水冷4サイクルV型12気筒、排気量5990cc、120hp、最高速度140km/h。チェコの国旗を立てていますが、初代チェコスロバキア大統領の公用車だとか。

Tatra 80(1935)

兵器メーカーのZbrojovkaが1933年に製造を開始した、チェコスロバキアで最初の前輪駆動車。水冷2サイクル2気筒、排気量981cc、25hp。

Z-4(1936)

上のZ-4の2気筒エンジンを4気筒にしたのがZ-5 Express。排気量1470cc、39hp。最高速度120km/h。

Z-5 Express(1936)

1934年にタトラが開発した、最初の空気力学に基づく流線型デザインのクルマTatra 77の出力アップバージョンが77a。リヤエンジンは空冷V型8気筒、排気量3400cc、75hp。最高速度150km/h。

Tatra 77a(1937)

Aero 50は前輪駆動。2サイクル4気筒、排気量1977cc、50hp。最高速度120km/h。このクルマは、第二非世界大戦中にドイツに占領され、ロンドンに亡命したチェコスロバキア大統領エドヴァルド・べネスが使用したのだとか。

Aero 50 Sodomka (1939)

ドイツの占領により左側通行から右側通行に切り替えられたため、これ以後は左ハンドル車に。

Mercedes Benz 540Kは、第二次世界大戦中にチェコスロバキアを占領したドイツ軍が持ち込んだもの。ナチスの親衛隊大将が使用し、後に防弾ガラス仕様に改造。直列8気筒、排気量5401cc、180hp。最高速度170km/h。

Mercedes Benz 540K (1939/1942)

Mercedes Benz 770はラインナップの中で最高級モデル。直列8気筒、排気量7655cc、150hp(過給機付きの場合は200hp)。戦後の共産党政権下で重要な式典に使用されるようになり、上の540Kに似たフロントグリルから、威圧感のある外観のボデーに改造されたのだとか。

Mercedes Benz 770 (1939/1952)

戦後の計画経済のもとで、チェコスロバキアの自動車の生産は3車種に。AeroとMladá Boleslav(Škoda)は小型車を生産し、タトラは戦前の8気筒の空力モデルのマイナーチェンジTatra 87。リヤエンジンは空冷V型8気筒、排気量2900cc、85hp。最高速度160km/hとTatra 77aより性能は向上。

Tatra 87 (1947)

第二次世界大戦後は東側陣営に属したチェコスロバキア国防省が導入したソ連製のリムジン。米国パッカードのコピーともいわれ、共産党政権下の軍事パレード等に使用されたのだとか。

ZIS 110 B (1952)

ベルリンの壁崩壊の年、1989年のチェコスロバキアの民主化を祝ってポルトガルから贈られたルノー21。ビロード革命で就任したハベル大統領はこのファミリーカーを公用車に。

Renault 21 TSE (1989)

左右に国旗立てのポールが付いたŠkoda superb。2003年から2006年まで大統領が官邸のあるプラハ城で使用したのだとか。

Škoda superb(2003)

レーシングカーもあります。手前から、NW 12 HP “Rennzweier” (1900)、Wilkov 7/28 Sport (1929-1931)、Bugatti 51 (1931)、Mercedes Benz W154 (1938-1939)。

レーシングカーのコレクション

 

バイクと自転車

回廊にバイクと自転車の歴史を伝える実車がずらりと並んでいます。

回廊に歴代各種のバイクが並ぶ

ベルト駆動でちょっと変わったこのバイク。Motor-Paced Racingというバイクのすぐ後ろを自転車が走るレース用のバイク。後輪の直上に座席があり、その場所までハンドルのレバーが延びています。

Motor-Paced Racing用のバイク

木製でペダルのない初期の自転車。どうやって乗るかといえば、下の図のように足で蹴って進みます。幼児用のストライダーと一緒ですね。

ペダルのない木製の自転車
足で蹴って走る

その後、前輪にペダルが付くようになり、

前輪にペダルが付いた

スピードを出せるよう前輪が大きくなりました。足が地面に着かない。

巨大な前輪

 

飛行機

ライト兄弟が世界初の有人飛行に成功したのが1903年。天井からぶら下がる1910年代の各種複葉機。その下の小型ジェット機はチェコスロバキアが開発し、1970年代から大量生産した共産圏(ワルシャワ条約機構)の標準型練習機・軽攻撃機 Aero L-39C Albatoros。

オーストリアハンガリー帝国からチェコスロバキアが引き継いだ複葉軍用機と共産圏の標準練習機

自動車と並んでいるのは、第二次世界大戦で連合国に勝利をもたらしたといわれる英国の戦闘機スピットファイヤー。

床面に置かれたプロペラ機スピットファイヤー

チェコスロバキアの国旗を描いたヘリコプターは、国産唯一の量産機。

Aero HC 2 HELI BABY (1955)

 

その他

国立技術博物館は乗り物が充実していますが、鉱業や冶金、化学、時計、印刷機械、家電、フォトスタジオやテレビスタジオなどの展示もあります。例えば、地下にこんなものがあったけど、時間の関係で見学できませんでした。

鐘の鋳造

国立技術博物館の公式ホームページは、こちら


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