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デモ隊が道路を封鎖

のどかな山里を走るツアーバスの横を、クスコとプーノを結ぶ外国人観光客用乗合観光バス、インカエクスプレスの大型バスが追い抜いていきます。向こうは座席間隔も広くて、乗り心地がよさそう。

川に架かる吊り橋のロープを固定している大きなコンクリートブロックに、“KEIKO”の文字があります。住宅や倉庫の壁に書かれた文字もよく見かけます。先の大統領選挙の候補者、ケイコ・フジモト氏のポスター代わりでしょうか。

KEIKOの文字 石ころを並べて道路を封鎖

コンバパタの村の手前に架かる橋のたもとまで来たとき、赤旗を掲げた集団が道路に石を並べ、その先で座り込みをして封鎖しています。どうやら、教職員の賃上げ争議のデモ隊が実力行使に出たようです。先頭で止められているのは、先ほど追い抜いていったインカエクスプレスのバス。観光立国ペルーで政府に要求をのませるには、外国人観光客を人質に取るのが有効との判断でしょう。まずは、このバスを狙い撃ちにしたようです。

デモ隊が座り込みで道路を封鎖 我関せズで通り過ぎる地元民

警察官もやっては来ますが多勢に無勢。為す術なく1時間以上にわたって道路の封鎖は続き、クルマの列はどんどんのびていきます。一方、民族衣装の地元民は、我関せずで通り過ぎます。どこからともなくバケツをぶら下げたインカコーラ売りが現れ、止められているクルマを相手に商売を始めます。うーん、商魂たくましい。

インカコーラ売りがやってきた インカエクスプレスのバスにスローガンを書き込む

どうやら交渉が成立したらしく、バスやトラックなど止められている車に彼らの主張を書かせることで、一旦封鎖を解くことになったようです。石灰のようなものを溶いたバケツを持ったオヤジが、順番にフロントガラスに何やら書いて回ります。やれやれ、今日もスケジュールが1時間半近く遅れているよ。でも、こんなもの、翌日のトラブルの前触れに過ぎないものでした。

※ 2012年11月6日放送のBS TBS“地球バス紀行 クスコ発インカ街道を行く/ペルー”では、別の場所ですが道路封鎖で止められ、4時間後に諦めて引き返しています。新興国は何が起こるかわかりません。

 


ラクチ遺跡とミニ動物園

通せんぼをされた橋から少し行くと、インカ時代の宿場町カチャがあります。ここが2番目の観光地点、ラクチ遺跡です。入口の石積みの教会は、もちろんスペインの侵略以後の建築で、遺跡とは別です。

遺跡前の教会 ラクチ遺跡

ラクチ遺跡は、インカ帝国でスペインによる侵略とキリスト教の布教がされるまで信仰されていた神であるピラコチャ神を祭った神殿といわれていますが、インカ時代よりもっと昔から神殿として機能していたという説もあるようです。建物の土台と下部は石積みで、その上はインカの建築物では見られない日干しレンガの壁でできています。

石積みの上に日干しレンガ ここにもお土産屋さん

復元図を参照すると、この壁のように見える部分は外壁ではなく、建物の中心だったことが分かります。この付近では良質な石材が得られないため、遠方から石を運んできて、足りない部分を日干しレンガで継ぎ足したようです。

ラクチ遺跡を出発してすぐにトイレ休憩を兼ねてお土産屋さんに立ち寄ります。ここは私設動物園のようになっていて、中庭にはアルパカとビクーニャが放たれ、観光客が餌の草を与えることができるようになっています。アルパカとビクーニャは標高3,500mから5,000mの高地に住む南米大陸原産の家畜ですが、その毛はビクーニャの方が高級で高く売れるのだとか。触ってみると、ホントにフワフワ。

アルパカ(左)とビクーニャ(右) クイ

近くの小屋の中には、大きなネズミのような動物がチョロチョロ走りまわっている。これがクイ(テンジクネズミ)で、丸焼きがペルーの名物です。ペルー人はこの姿を見て、おいしそうと思うのでしょうね。

 


アンデアン・エクスプローラ号

標高3,500〜4,000mの高地ですが、周囲には農地があり、住宅が点在しています。幹線道路沿いの住宅には電気が通っていますが、少し離れて奥に入るとランプの生活だとか。今ではこんな場所でも携帯電話の電波は届くようで、どこまで行っても携帯の画面にアンテナは3本立っています。

道路と並行するペルーレイルの線路を、前方から列車がやってきます。一瞬のすれ違いですが、ディーゼル機関車を先頭に客車が連なるプーノ発クスコ行きのアンデアン・エクスプローラー号です。

クスコ行きのアンデアン・エクスプローラー号

さらに進むと、前方に列車の最後尾の展望車が見えます。私たちのバスより後にクスコを出発したプーノ行きのアンデアン・エクスプローラー号です。バスが通せんぼをされている間に先行し、この近くのシクアニ駅で上下の列車が交換したのでしょう。バスは、列車を軽々と追い抜いていきますが、今度はゆっくりと観察することができました。機関車の次位に荷物車が付き、一般の客車が4両、最後尾は展望車の編成です。

プーノ行きの最後尾は展望車 プーノ行きのアンデアン・エクスプローラー号

ハイラムビンガム号と異なり、上下の列車とも展望車が最後尾になるよう編成の向きをそろえているので、終点で三角線等を使って編成ごと方向転換しているのでしょう。

 


標高4319mのラ・ラヤ峠

バスは、ララヤ峠に向かって登っていきます。標高が上がるにつれて農地や人家は姿を消し、荒涼とした風景に変わってきます。標高4,000mを超えた先にアグアスカリエンテス(温泉)があり、何もない草原の中に露天風呂があります。それ以外に、わずかに見える建物はクスコ大学の高地研究施設だとか。

雪をかぶった5,000m級の山々が見えてきます。5年前に、西寧から拉薩に向かう中国の青蔵鉄道(青海チベット鉄道)に乗って、標高5,072mのタングラ峠を越えましたが、南米も中国も4,000m以上の高地はよく似た車窓風景です。

大学の高地研究施設 ラ・ラヤ峠

やがてバスは、クスコ−プーノ間の最高地点、標高4,319mのララヤ峠に到着、しばし休憩です。青蔵鉄道では、タングラ駅は通過で下車できなかったので、4,319mが自分の足で立つ最高地点ですが、広く開けた風景でここが峠の最高地点とはピンときません。

道路と並行してペルーレイルの線路もこの峠を超えていて、アンデアン・エクスプローラもここで停車するはずです。先ほど追い抜いたプーノ行きの列車が追いついてこないか待ったのですが、やっぱり列車は遅いようで、バスは先に発車です。

ラ・ラヤ峠 高層湿原のそばにペルーレイルの線路 タンク車を連ねた貨物列車

峠から先は、クスコ県からプーノ県に入り、川の流れる方向も変わります。プーノに行く途中で通るフリアカの街の標高は3800m以上あって、峠との標高差はわずか500mのため、ゆっくりとした下りです。草原の中で、峠に向かうタンク車を連ねたペルーレイルの貨物列車とすれ違います。

峠に向かう貨物列車 工事用の車両

また、線路の補修工事現場には、線路脇に黄色い作業車が停車しています。通過する列車の邪魔にならないよう、線路脇に避けて置いているようです。

 


シユスタニ遺跡と一般のお宅訪問

バスはフリアカの街を抜け、プーノ方面への道からそれ、シユスタニ遺跡に向かいます。デモ隊の道路封鎖のおかげで、遺跡に着いた頃には既に日没が迫っており、もうお土産屋さんも店じまいを始めています。

標高4,000mのウマヨ湖のほとりにあるシユスタニ遺跡は、11世紀頃のプレインカからインカ時代にかけて造られた石塔墳墓、チュルパとよばれる石で出来た塔のような墓が小高い丘の上に並んでいます。

夕刻で土産物屋も店じまいの準備 湖のほとりにチュルパが並ぶ

チュルパには東側に小さな窓があって、毎年6月20日過ぎの南半球の冬至の日にはそこから内部に太陽が差し込むようになっているのだそうです。太陽を神と崇め、人は死後もミイラとなって生き続けると考えていたインカの人々は、こうすることでミイラが太陽神との繋がりを保つようにしたのでしょうか。

壊れて半分になり中が見えるチュルパ 標高4000mウマヨ湖の夕暮れ

澄み渡った空に夕暮れが迫る中、鏡のようなウヨマ湖の水面を背景にたたずむチュルパの姿は幻想的で、昼間に訪れるより到着が遅れて良かったかもしれません。

盛りだくさんのパックツアーには、プーノのホテルに入るまでもう1個所、個人のお宅訪問が残っています。遺跡の近くですが、お宅に向かう途中で通った小さな町では、お祭りが行われていました。

シユスタニ遺跡のシルエット 出迎えてくれたお父さんとお母さん

バスを訪問宅の前に駐め、ガイドが家人を呼びに行ったのですが留守でしょうか。周辺は真っ暗で、バスのヘッドライトが唯一の明かりです。どうやら早々と寝ていたようで、やっと出てきてくれたお父さんはお祭りのお酒が入っているのか赤ら顔。農業を営み、敷地内でリャマやクイを飼っています。台所が屋外にある石造りの壁とかやぶきの屋根の家は、インカの時代のマチュピチュ遺跡と変わらないように見受けます。

訪問した民家 チチカカ湖の向こうにプーノの街の明かり

周囲に全く明かりのないところで見上げる空には、満天の星・星・星。空気の薄い標高4,000mの高地だからでしょう、天の川がこれだけくっきりと見えるのは初めての経験です。5回目の南半球で今回初めて、南十字星も見つけました。

プーノ郊外、チチカカ湖に面したホテルにチェックイン後に屋外に出てみました。星は見えるものの、街の明かりで天の川は確認できません。スケジュールを遅らせてくれたデモ隊に感謝?

 


 

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