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クスコのアルマス広場

クスコ市内に戻り、レストランで“コンドルは飛んでいく”をはじめとするフォルクローレの演奏を聴きながら昼食です。ところが高山病によると思われる頭痛や吐き気で、食事ができない人が16人中4人も。うち3人は徒歩でのクスコ市内観光もキャンセルして、そのままレストランに残ります。

フォルクローレの演奏 アルマス広場に立つ第9代インカ皇帝パチャクティの像

ペルーの街は、どこへ行っても中心にアルマス広場があります。名前の由来はよくわかりませんが、“armas”をスペイン語の辞書で引くと“武器”となっています。広場の中心にある噴水の上、インカ帝国の第9代皇帝パチャクティの像が見つめる先に、征服者スペインがインカの神殿を壊したあとに、100年の歳月をかけて建てた大聖堂(カテドラル)があります。その鐘は、南米一の大きさなのだとか。

大聖堂 カテドラル ラ・コンパーニャ・デ・ヘスス教会

大聖堂の内部には、銀をふんだんに使った祭壇や、食卓にクスコ名物クイ(天竺ネズミ)の丸焼きを並べた最後の晩餐の絵画が掲げられているとのことですが、パックツアーでは入場料の必要なカテドラルの内部は日程になく、個人で訪問する時間的余裕もありません。

広場の南には、ラ・コンパニーア・デ・ヘスス教会があります。こちらもインカ帝国の皇帝の宮殿のあとに建っているのだとか。このほか、アルマス広場はレストランや土産物店に囲まれ、世界中からの観光客で賑わっています。

周囲を山に囲まれたクスコの街並み

アルマス広場から、大聖堂横のアトゥンルミヨク通りに入ると、赤い横断幕を掲げたデモ隊の中に巻き込まれてしまいました。ガイドに聞くと、教職員の給与引き上げを公約に当選したウマラ大統領が1年以上何もせずに放置しているため、ペルー全土で教職員のストが1ヶ月以上にわたって続いていて、デモには休校になった高校生も動員しているのだとか。これがあとで面倒なことを引き起こすことになろうとはつゆ知らず。

アトゥンルミヨク通りのデモ隊 インカの石組みの中にある12角の石

通りに沿って、宗教美術館がありますが、これもインカの宮殿の跡に建てたもので、土台の石組みはインカ時代のものです。その中に12角の石があり、この複雑な形状でもピッタリと隙間無く組み合せるインカの技術水準の高さを示しています。

 


オリャンタイタンボ駅へ

クスコからバスで75km先の、オリャンタイタンボ駅に向かいます。クスコからマチュピチュまで125km。以前は市内にあるサン・ペドロ駅を発車した列車が、何段ものスイッチバックで峠を越えマチュピチュに向かったそうです。この時代に乗りたかったですね。現在では、峠を越えた山の向こうの郊外にあるポロイ駅が始発ですが、2012年の雨期はポロイ−オリャンタイタンボ間を運休として、乾期に入った4月下旬から運行を再開しています。2013年も1月から4月中旬までこの区間を運休する模様です。

運行を再開してもポロイ発の列車は少なく、パックツアーはオリャンタイタンボまでバスで移動して、ここから列車に乗るのが一般的なようです。ちなみに、マチュピチュ遺跡最寄りのマチュピチュ村には道路が通じておらず、列車または徒歩以外に選択肢はありません。

今は列車の走らない峠越えの線路 ウルバンバに向かう車窓

このほか、オリャンタイタンボとウルバンバ間の支線もあります。ウイキペディアでは、1990年頃まではマチュピチュから20km先のキジャバンバまで列車が運行していたが、崖崩れから復旧せずに廃線になったとしていますが、現地に行ってみると、ネットの時刻表には掲載されていない列車が、マチュピチュから10kmほど先のHidroelectrica(水力発電所)まで運行していることがわかりました。線路幅は、JRよりやや狭い3フィートゲージ、914mmです。

バスの車窓から、峠越えの道に寄り添うスイッチバックや急カーブの線路が見えますが、今はもう列車はやってきません。ポロイ駅を過ぎると線路と別れ、車窓にアンデスの山並みを見ながら、1時間半ほどかけて標高3400mのクスコからウルバンバを経由して2600mのオリャンタイタンボへと下っていきます。

オリャンタイタンボ駅 マチュピチュ行きのビスタドームに観光客が乗車

ウルバンバの手前には、ヘアピンカーブが連続する下り急勾配があり、高山病と車酔いに弱い方には厳しいコースです。しかも、中型バスは座席間隔が狭く窮屈で、座っているだけでも疲れます。

オリャンタイタンボ駅の近くの聖なる谷には、インカの要塞跡といわれているオリャンタイタンボ遺跡があるのですが、時間が限られたパックツーでは立ち寄ることもなく、この駅始発の列車に乗り込みます。

ペルー国鉄は上下分離で、線路は国有のまま列車の運行が民営化されています。駅に停車しているのは、オリエンタル・エクスプレスとペルーの合弁会社が運営するペルーレイルの列車で、天窓付きのディーゼルカー3両編成のビスタドームです。両運転台で非貫通式のため、車内で隣の車両へ移動はできません。車体中央1個所の入り口で、乗務員が指定席とパスポートをチェックします。

オリャンタイタンボ駅のビスタドーム ビスタドームの車内
ドア付近に乗客の荷物を積み上げる

ポロイ駅からの列車はペルーレイル1社だけですが、オリャンタイタンボとマチュピチュの間は、このほかに2009年から参入したインカレイルとマチュピチュトレイン(会社名はアンデアンレイルウエイズ)の2社が列車を運行しています。3社の中で、本数が多いのはペルーレイル。

ビスタドームの座席は、一部を除きゆったりとした転換式のクロスシート。天窓があるので網棚はなく、車内持ち込みの荷物は1人5kgまでに制限され、中央のドア入り口近くの床に積み上げます。大きなスーツケースやバックパックの持ち込みはダメで、パックツアーは翌日泊まるクスコのホテルに預けますが、個人旅行では困るのではないでしょうか。

一般型の客車と貨車 インカレイルのディーゼルカー

ビスタドームの車両を観察すると、屋根の上にアンバランスな大きな出っ張りがあります、天窓を避けるかたちで後から取り付けたエアコンでしょうか。また、エンジンの排気管が側面の外壁に沿って屋根上まで立ち上がっていますが、床下で排気していたものを後付で屋根上まで持ち上げたのかと思います。

側線には、ペルーレイルの地元民用と思われる旧式のイコライザー式台車をはいた一般型客車や貨車、何故か片運転台のインカレイルのディーゼルカーが1両だけ休んでいます。

 


オリャンタイタンボからペルーレイルでマチュピチュへ

ビスタドームの車体に付いたペルーレイルのマークは、円を4分割してそれぞれ、マチュピチュ遺跡(でしょうか?)、リャマあるいはアルパカ、コンドル(地上絵?)、インカの石組みを表しているようです。

カランカランと合図の鐘が鳴って発車すると、乗務員が運賃に含まれる軽食と飲み物を配ります。座席のテーブルは、転換式のシートの上からぶら下げる日本には無いタイプ。

発車の合図の鐘 ペルーレイルのマーク(上)
座席のテーブル(下)
乗務員による軽食のサービス

左右にアンデスの山々を見ながら進むと、左側からウルバンバ川が寄り添ってきます。残念ながら指定席は右側でした。川はマチュピチュまで左の車窓に続きます。単線ですが、オリャンタイタンボからマチュピチュまでは列車本数が多く、途中で頻繁に列車交換が行われます。紺色のペルーレイルに対して、インカレイルは緑、マチュピチュトレインはオレンジの車両です。

ビスタードームの車窓にアンデスの山々 インカレイルの列車と交換

途中カミノ・インカトレイル駅から先は、クルマが入れる道がなくなります。ここから専門のガイドと一緒に3泊4日かけ、インカ帝国時代の道を歩いてマチュピチュに向かう、インカトレイルの道が分かれます。参加人数に制限があり、なかなか予約が難しいのだとか。ウルバンバ川に吊り橋が架かり、車窓から山に分け入る細い道が見えます。

マチュピチュトレインの列車と交換 ウルバンバ川の向こうにインカトレイルの道

ビスタドームは運転席が右側で、左側の先頭にはかぶりつき席があります。その横の通路には、ビデオを回す乗客が常に陣取っています。

ウルバンバ川は、大河アマゾンの支流の一つ。ここでは北西に向かって流れている川は、西の太平洋ではなく、遙か東の大西洋まで長い旅を続けます。その川の中には巨石がごろごろ。

ビスタドームのかぶりつき席 ウルバンバ川に沿って下っていく

2010年の雨期、1月の集中豪雨でウルバンバ川が氾濫し、土砂崩れや路盤の流失で鉄道が寸断され、マチュピチュに日本人を含む観光客2,000人が孤立し、ヘリコプターでの救出に時間がかかったことがあります。鉄道が完全に復旧するまで半年近くを要したようで、このニュースを見て、雨期にマチュピチュに行くのはリスクがあると思いました。

ビスタドームと交換 機関車牽引の列車と交換

車窓からは、線路の路盤から作り直したであろう新しい砕石の部分や、川沿いの崖で未だ工事中の箇所が見られます。途中駅で、ディーゼルカーのビスタドームや機関車牽引の客車列車と交換します。

 

マチュピチュ駅

こうして、標高2,600mのオリャンタイタンボから2,000mのマチュピチュまで、ウルバンバ川沿いの約50kmのカーブの多い線路を1時間半余りかけて下り、ビスタドームは頭端式のホームが並ぶマチュピチュ駅に到着します。隣のホームには、丸い旧型のビスタドームが2両編成で停車しています。こちらは、1両だけ屋根の上に大きな出っ張りが乗っています。まだ冷房改造工事の途中かもしれません。

機関車1両に客車が2両 マチュピチュ駅に着いたビスタドーム
マチュピチュ駅の側線にいた丸い旧型のビスタドーム

 


 

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