HOME 1/12page 2/12 3/12 4/12 5/12 6/12 7/12 8/12 9/12 10/12 11/12 12/12page

ユーラシア大陸最西端ロカ岬

車掌さんに教えてもらった道を、シントラ方面に戻るとバス停はすぐに見つかりました。しばらく待つと、観光客を乗せたロカ岬経由カスカイス行きのバスがやってきます。403系統は1時間間隔の運行のようですが、トラムでマサス海岸を往復したあとシントラからこれに乗る当初計画より1本前に間に合いました。でも車内の乗客から、何でアジア人観光客がこんな途中から乗ってくるのという目で見られています。

バスは幹線道路を快調に走ります。途中から細い道に分け入ってしばらく進むと車窓に海が見え、インフォメーションの前にあるロカ岬のバス停に到着します。

バス停から碑の立つ岬へ カモンイスの叙事詩を刻んだ碑

ここは北緯38度47分、西経9度30分のユーラシア大陸西の果て。インフォメーションでは、日付と名前を書き入れた最西端到達証明書を有料で発行してくれます。15年前に持ち帰った1枚ものの証明書より見開きで立派になっていますが、手数料はそれ以上に立派になっていて、10€を越えるので今回はパスして岬の先端に立つ碑に向かいます。曇り空のため大西洋は灰色ですが、霧で何も見えなかったシントラのペナ宮殿に比べればよしとしましょう。

断崖に立つ十字架を掲げた碑には、海に向かってCABO DA ROCA(ロカ岬)の名とともに、ポルトガルの詩人カモンイスの詩の一節、“ここに地果て海始まる”が刻まれています。

       
これはロータリークラブの碑         断崖の上のロカ岬灯台

海面からの高さ140mの断崖には一応柵があるのですが、乗り越えてその先まで出て行く観光客も多く、自己責任の世界です。次のバスまで1時間あるので灯台が見学できないか行ってみましたが、門の扉は閉じられていました。

灯台の扉は閉まっていた 灯台から見た碑と大西洋

 


ユーラシア大陸最西端の駅カスカイス

再び403系統のバスに乗り、終点のカスカイスバスターミナルで下車。すぐ隣がユーラシア大陸最西端の駅、ポルトガル鉄道カスカイスです。といっても、ここに来るのはリスボンからの通勤タイプの電車だけで、終着駅の雰囲気はありません。

カスカイスバスターミナル ユーラシア大陸最西端駅カスカイス

駅前から海岸に出てみました。目の前でヨットが練習をしている沖にはタンカーが停泊し、近くの港には小さな漁船が係留され、その向こうはクルーザーがひしめいています。

白と黒の石畳を波形に配した、商店やレストランの並ぶカスカイスのメインストリート。お土産屋さんの値段を見るとリスボンより安いと思われ、ここで仕入れておくことに。

カスカイスのリベイラ海岸 ヨットが浮かぶ沖にタンカー
漁船が停泊 カスカイスのメインストリート

 

近郊電車でリスボンのカイス・ド・ソドレへ

街を一回りして、カスカイス駅に戻ってきました。今朝ロシオ駅で買った周遊割引切符を自動改札機にタッチして入ると、黄色い顔の通勤電車が停まっています。この路線だけDC1500V電化のため、AC2.5kV,50Hzの他路線とは車両が違いいます。3扉両開きの通勤タイプで、側面窓は連続窓ふうに仕上げていますが、車体のコルゲートから見て1960年ごろに製造のステンレス車でしょう。

カスカイス駅のカイス・ド・ソドレ行き近郊電車
近郊電車の車内 途中駅で見かけたこれは何?

古い車両の側面窓を固定化して冷房を取り付け、正面にFRPのお面をかぶせたようで、車内も更新で綺麗になっています。改造前の写真は、ここにあります。車体をステンレス化する段階で古い木造車の台枠を流用したのか、床下に古風なトラス棒を付けた車両もいます。

カスカイス初の電車は各駅に停まり、途中折り返しの系統が入る駅から先は急行運転になる、東京近郊の私鉄のようなダイヤです。

カイス・ド・ソドレ駅の電車 台枠にトラス棒がある
カイス・ド・ソドレ駅は自動改札 テージョ川にかかる4月25日橋

リスボンに戻ってきました。電車は、テージョ川の対岸に渡るフェリーのターミナルを併設したカイス・ド・ソドレ駅に到着します。夕刻の川岸に出るとヨーロッパ一の吊り橋、長さ2277mの鉄道と道路併用橋、4月25日橋の向こうの丘の上に立つ高さ110m、クリスト・レイのライトアップが始まっています。

テージョ川対岸のキリスト像 川沿いのビアレストラン

カイス・ド・ソドレ駅に近い川沿いのビアレストランへ。3日連続でシーフードの夕食です。

ビアレストランで夕食

食事を終えて外に出ると、4月25日橋の電飾やクリスト・レイが輝きを増しています。

キリスト像のライトアップ テージョ川にかかる4月25日橋

 


ポルトガル鉄道でトマールへ

ポルトガル4日目はリスボンから北へ、普通電車で2時間ほどの世界遺産トマールのキリスト修道院に向かいます。8時前の列車に乗るため、またホテルの朝食はパスしてチェックアウト。フロントに荷物を預け、地下鉄でポルトガル鉄道のリスボンの始発駅、サンタ・アポローニャへ。乗客の少ない土曜の朝の地下鉄は、半分に分割した3両編成です。

地下鉄の車内 サンタ・アポローニャ駅の地下鉄

サンタ・アポローニャ駅は、リスボンとポルトガル第二の都市ポルトを南北に結ぶ、ポルトガル鉄道の幹線の始発駅。頭端式のホームに振り子式の高速列車、アルファペンドゥラール(AP)が停車しています。イタリア、フィアット製のペンドリーノの広軌バージョンです。

APの一部やインテルシダーデス(IC、インターシティー)は途中駅のエントロンカメントに停車しますが、トマール行きに接続するダイヤにはなっていないため、サンタアポローニャから各駅停車で行くことに。

振り子式のアルファペンドゥラール 近郊電車を格上げしたインターシティー

隣のホームにいる黄色い顔の3両編成がローカル電車かと思ったら、正面窓下の表記と方向幕のLEDにインテルシダーデスと出ています。どうやら、ローカル仕様の電車の座席を交換して、急行用に格上げしたようです。そういえば、JR西のキハ65にも特急に化けたのがいましたね。

トマール行きの各駅停車は、さらに前方のホームにいます。ステンレス車体の3両編成で、両端の運転台付きの車両は2扉、中間車は1扉のローカル仕様です。インテルシダーデス格上げ車と外観上の違いは、正面の虎塗りだけでしょう。

トマール行き普通電車 普通電車の車内は4人と6人のボックスシート

前日のカスカイスからカイス・ド・ソドレまで乗った近郊電車と同様に、1980年代に製造したステンレス車の側面窓を固定式の連続窓ふうにして冷房を搭載し、正面に黄色いFRPのお面をかぶせて3枚窓を連続窓ふうに改造、ドアも4枚折戸をプラグドアに変更。車内の4人がけと6人がけのシートも交換しています。改造前の写真は、ここにあります

サンタアポローニャ駅で買ったトマールまでの切符は、リスボンとその周辺部共通のICチップを埋め込んだ厚紙のカードと違って、バーコードも印字されたスーパーのレシートのようなペラペラの紙。車窓には緑豊かな風景が続きます。

スーパーのレシートのような切符 緑豊かな車窓

各駅停車は意外と速く、リスボンから100kmと少々を1時間半ほどで駆け抜け、車窓に広い操車場やそこに留置されている車両群が見えてくると、ポルトガル鉄道の拠点駅の一つ、エントロンカメントです。駅のホームの向こう側に扇形庫があり、蒸気機関車やディーゼル機関車がならんでいるのが車窓からよく見えます。トマールからリスボンへの帰りに途中下車して立ち寄ることにというか、エントロンカメントのついでにトマールまで足を伸ばすことにしたのが本音。

車両基地のゲンコツ型電気機関車 鉄道博物館の扇形庫

 


 

 

 

 

 

 

 

  

inserted by FC2 system