ポルトガル6日目はリスボン最終日。ホテルをチェックアウトして荷物をフロントに預け、午後便にのるため空港に向かうまで、残り半日でトラム博物館の見学です。前日も、ベレンに向かう電車で博物館の前を通っていますが、日曜日は休館のため最終日にまわしました。
昨日チャージした24時間券は、午後にリスボンを発つまで有効です。10時の博物館オープンまでの時間を活用して、初日に乗ったラヴラ線のケーブルカーにもう一度。朝のラッシュ時の車内は、地下鉄を降りて高台の職場に向かう通勤客で混雑しています。それにしても、女性が多いですね。
朝ラッシュ時のラヴラ線ケーブルカーの車内 | ラヴラ線ケーブルカーの運転台 |
ラヴラ線のケーブルカー |
今日も、サン・ペドロ・デ・アルカンタラ展望台に立ち寄ります。谷間の市街地をはさんだ向こう側に、アルファマ地区のノッサ・セニョーラ・ダ・グラサ教会と、その前に木が茂るグラサ展望台が見渡せます。
すぐ横の通りの安全地帯には通勤客の姿があります。黄色い停留所に表示された系統番号はバスのみで、この通りのトラムは15年以上前に廃止されていますが、クルマが通るので今も残っているレールはピカピカ。架線も張ったままなので、トラムが走れる状態が保たれているのかもしれません。※ 2018年になって、この区間が24番のトラムとして23年ぶりに復活しました! またリスボンまで乗りに行かねば。
グラサ展望台とノッサ・セニョーラ・ダ・グラサ教会 バス停になった
サン・ペドロ・デ・アルカンタラ展望台横の安全地帯
ケーブルカーで登ってきたのは、ここからトラムの廃線跡の通りを少し下ったところにあるサン・ロケ教会に立ち寄るため。16世紀の後半にリスボンを訪れた天正遣欧少年使節団が滞在したとかで、日本ともつながりのある教会です。9時のオープンに合わせて来たのですが、正面ファザードの扉は閉じられたまま。時間を間違えたかと思ってガイドブックで確認すると、月曜は休み。あー、やってしまった!
サン・ロケ教会はお休みだった | カモンイス広場 |
テージョ川を背に発車待ちのケーブルカービーカ線 |
そのままトラムの廃線跡の通りを下っていくと、ポルトガルの詩人、カモンイスの銅像が真ん中に立つカモンイス広場。ここまで来ると、広場を取り囲むように現役のトラムが運行しています。
カモンイス広場の一つ先の停留所で、昨日も乗ったビーカのケーブルカーと接続。昨日撮った車内の動画には、大阪のおばちゃんの話し声がずっと録音されていたのでボツにして、もう一度撮り直したテージョ川に向かって下っていく路面ケーブルカーの動画をご覧下さい。
ビーカの路面ケーブルカー
このあとも、昨日と同じコースでベレン方面に向かう15系統のトラムに乗車。今日は連接車が来ました。窓から外を見ていて、頭上を4月25日橋が横切るところで下車。
ラッシュを過ぎた連接車の車内 | 連接車の運転室 |
トラムの営業所があり、車庫にはたくさんの電車がならんでいます。ちょうど出庫する、赤い観光トラムが道路に出てきました。
車庫にならぶトラム | 出庫する観光トラム |
リスボンのトラムやケーブルカー、バスを運行するカリス社の博物館は電車通りに面した黄色い建物で、入口は守衛のいる門を入った構内です。ここでは主に、パネルや模型により、リスボンの市内交通の歴史や変遷について展示しています。
右の黄色い建物がトラム博物館 | トラムの模型 |
一通り見終わった頃に、係員が車庫からモニタールーフのヘリテージトラムを出してきて、この専用車で構内の奥、車庫の裏にある歴代のトラムやバス等、実物の展示館に案内してくれます。こんなアトラクションのある博物館は、他には知りません。
クラシックなトラムカー1号で車両の展示場を往復します
車両展示館まで乗せて行ってくれるクラシックトラム | 博物館にならぶトラム |
博物館にならぶトラム | 博物館にならぶ二階建てバス |
再びヘリテージトラムに乗って戻ってきてた所にある格納庫で、バスや業務用車両等を見学して終了。路面電車ファンには楽しいところです。
リスボントラム博物館 CARRIS MUSEUM については、こちらで詳しく紹介しています。
博物館の前からトラムで都心に戻り、コメルシオ広場で下車。平日のためか、晴天にもかかわらず人出は少なめ。
博物館の前からトラムに乗って | コメルシオ広場 |
観光トラムと路線バス | 勝利のアーチ |
勝利のアーチをくぐってリスボンの銀座、アウグスタ通りとアルファマ方面へのトラムや観光トラムが行き交う交差点で信号待ちをしていると、吊りかけモーター音を響かせて1台のトラムがやってきます。
28系統のトラム | 観光トラム |
方向幕に“RESERVADO”と表示し、系統番号は空欄にした744号です。車内は概ね満席のようで、愛好家による動態保存車の貸し切りでしょう。先ほど博物館で見た車両と同じ、両運転台でブリルの旧型台車に吊りかけモーター、屋根にはシングルアームのパンタはなくトロリーポールが1本だけのオリジナルスタイル電車が生き残っています。
最後に、リスボンからちょっといいプレゼントをもらった気分で、アウグスタ通りを地下鉄駅へ。ホテルに戻り、預けていた荷物をピックアップして空港に向かいます。
旧型台車吊りかけモーターの744号 | 勝利のアーチから続くアウグスタ通り |
リスボンの地下鉄やトラム、ポルトガル鉄道の近郊線に乗車するときに不可欠なICカードが
Viva
Viagem(ヴィア・ヴィアジェン)です。海外の駅の自動改札機で、日本のような紙の切符にも対応しているのは、日本製を導入している台湾鉄路局以外には知りません。リスボンの場合も、自動改札機のある地下鉄や近郊電車では紙の切符や磁気カードは既に無くなり、駅の窓口や自動券売機で購入するとICチップを厚紙ではさんだカード
Viva Viagem の切符が、カードそのものの代金0.5€が切符の料金に上乗せされて出てきます。
Viva Viagem は、以下の3種類の使用方法があります。
東京ではスイカ等でバスの1日乗車券を購入して、その有効期間内に地下鉄やJRに乗ることもできますが、Viva Viagem
は融通がきかず、1枚のカードについて上記3種類の使用方法の中から1種類しか選べません。また、残額がゼロにならなければ、他の使用方法でチャージすることもできません。
2014年2月現在で、チャージした Viva Viagem
で乗車する場合の料金は、地下鉄、トラム、バス、ケーブルカー、エレベータは1.25€です。地下鉄で Viva Viagem
を1回券として使うと1.4€、地下鉄以外は乗車時に運転士や車掌さんから現金でチケットを購入できますが、車両に張ってあるステッカーを見るとトラムが2.85€、ケーブルカーが3.6€と、エレベータは5€と2倍から4倍の法外な料金です。
Viva Viagem
の24時間券は6€ですから、まずは空港駅でこれを1枚買いました。翌日、ナザレから高速バスでセッテリオスバスターミナルに戻ってきた段階で前日買った24時間券の有効期間は終わり、Viva Viagem
の残額がゼロとなわっています。地下鉄駅の窓口が閉まっていたので、券売機を英語に切り替えて悪戦苦闘しながら5€紙幣でチャージします。チャージは5〜15€の範囲で紙幣のみ、投入した金額がそのままチャージされてお釣りは出ず、残額やカード代金0.5€の払い戻しは不可という、旅行者にとって融通のきかないシステムになっているようです。ホテルに戻るために地下鉄に乗って1.25€使用。
3日目の朝は地下鉄に乗って1.25€使用。ポルトガル鉄道のロシオ駅の窓口で、シントラからロカ岬方面の1日周遊券12€を購入。出てきたのは
Viva Viagem
カードで、支払金額はカード代0.5€を加えた12.5€。外見は、手持ちのカードと全く同じで区別がつきません。自動改札機やバスの読み取り機にタッチするときの間違えないよう、印を付けておきます。カイス・ド・ソドレ駅まで戻ってきてホテルまで、前日にチャージした方の
Viva Viagem で、地下鉄に乗って1.25€使用。
4日目の朝は、地下鉄に乗ってサンタ・アポローニャ駅へ。これで1.25€を4回使用して合計5€、残額はゼロになりうまく使い切きったつもりが、チャージ時にボーナスとしてついた0.15€が残っていたので次の24時間券のチャージには使えません。ポルトガル鉄道の遠距離は紙の切符使い、午後にサンタ・アポローニャ駅に戻ったとき、前日にシントラ方面の1日券として買い、通用日が終わって残額がゼロになった方の
Viva Viagem に券売機で24時間券をチャージ。
5日目の午後に、24時間券の通用時間が終わって残額ゼロになった Viva Viagem に、再び券売機で24時間券をチャージして、6日目の午後に地下鉄で空港に向かうまで使用。
融通のきかない Viva Viagem
ですが、6日間で2枚を使い回すことで、リスボンとその周辺の交通機関を利用することができました。旅行者は、少額ずつチャージするのがコツです。使い終わった
Viva Viagem はお土産にどうぞ。
2014年 2月旅
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旅のヒント
2014年12月記
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