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莒光号で高雄から新營

台湾3日目は土曜日。高雄のホテルをチェックアウトして、週末に運行する製糖鐵路五分車と、阿里山森林鐵路に乗りに、新營と嘉義に向かいます。宿泊は台南駅近くのホテルを予約していますが、新營も嘉義もその先。台南で途中下車して荷物をホテルに預けようかとも思ったのですが、新營駅も嘉義駅にも行李房(荷物の発送や一時預かり)があるので、莒光号で新營に直行します。

七堵行き莒光号 旧型莒光号は手動の折戸

新營駅の改札で駅員に“行李房”と書いたメモ用紙を見せ、指さす方向に行くと行李房の表示は出ているものの、扉には鍵がかかっています。何か書いた紙が下がり、“一人服務”だけはわかります。改札に戻って行李房が閉まっていることを伝えると、駅員がメモ用紙に書いてくれます。漢字を拾い読みすると、駅に到着した列車の荷扱いをしているのでしばらく待てということらしい。

新營駅 新營駅の行李房

それらしき列車が発車からもう一度行くと、行李房の扉が開いていて17元で預かってもらえます。60円は安すぎると思ったのですが、翌2014年の訪台時には、荷物の大きさに応じて30、50、70元に、数倍に値上がりしていました。それでも、日本のコインロッカーに比べると安いのですが。


新營五分車

かつては台湾の主力産業の一つであった、サトウキビを原料にした製糖業。台湾南部には、サトウキビ畑と製糖工場の間に、線路幅762mmのナローゲージの線路が敷設され、収穫時にはサトウキビ運搬列車が運行されるとともに、一部の路線では周年にわたる旅客列車の営業も行われていました。その列車は、線路幅が標準軌の半分であることから、五分車と呼ばれたのだとか。

台糖のガソリンスタンドの先を左へ 小さなDLが踏切を渡る

製糖産業の衰退とともに、サトウキビ畑の路線の多くは廃線になり、旅客営業はバスに移行しましたが、残った施設を活用し観光用のトロッコ鉄道に衣替えして、今も運転されている鉄道が5個所あります。新營五分車はその中の一つで、台鉄新營駅から線路に沿った道を歩いて15分程度で行ける、交通の便の良いところです。

新營鐵道文化園区の看板 DLが車輪を積んだ貨車を牽引

台糖が経営するガソリンスタンドの角を曲がると踏切があり、小さなL型のディーゼル機関車が横断していきます。ここは、1907年に操業を始めた、台湾の4大製糖会社の一つである塩水港製糖の本社があったところ。今では、新營鐵道文化園区となっています。

踏切から台鉄新營駅方向にある機関庫にはディーゼル機関車が休み、ヘロヘロの線路の先にはサトウキビ運搬の貨車、蔗廂車を改造してベンチを置き、屋根を付けたであろうトロッコ客車が留置されています。

土に埋もれたヘロヘロの線路 奥に機関庫がある

踏切の反対側は整備され、広いヤードにディーゼル機関車や貨車、巡回車などがそれぞれに説明板を立てて展示されています。その一角に中興駅があり、毎週末と祝日に4.6km先の八老爺駅まで、片道30分かけて運行されるトロッコ列車の長い編成が停車しています。

新營糖廠五分車の始発中興駅 客車13両編成の五分車

駅舎の横には、かつてこの鉄道で活躍したベルギー製や台湾製の蒸気機関車、米国製ディーゼル機関車等が保存されるとともに、用途廃止となった多くの貨車が、赤錆た姿で留置(放置?)されています。

ベルギー製350号 台湾製382号
米国製54号 サトウキビ積載貨車の蔗廂車
無蓋車の廃車群 有蓋車の廃車群

西ドイツ製L型ディーゼル機関車が牽引するトロッコ列車は、ガタガタと猛烈な振動と騒音をまき散らしながら時速10km/hほどでノロノロ進みます。でも、タブレット式の閉塞、遮断機付きの踏切等、保安設備はトロッコにしてはしっかりしているようです。乗務員はこの鉄道のOBでしょうか、ガイドも乗車していてマイクを握り、路線の歴史や沿線の案内(だろうと想像しますが中国語はわかりません)をしてくれます。

中興駅と停車中の五分車 五分車が発車 三線区間を行く

運転間隔が1時間、距離も長いので、中間の信号所で列車交換が行われます。また、ここまでは台鉄の貨車が乗り入れていたのでしょう、1067mmと762mmゲージの三線区間になっています。

終点の八老爺駅には牧場をイメージした、ごく小さなテーマパークのような施設、乳牛的家(乳牛の家)もあります。ここで、機回り線を使って機関車を先頭に付け替え、中興駅に戻ります。

遮断機付きの踏切 途中の信号所で交換
交換した五分車の乗客 終点の八老爺駅 乳牛的家
八老爺駅売店のお菓子に変な日本語が 中興駅に戻る五分車

 


八老爺駅から中興駅へ戻る新營糖廠五分車の車窓の動画をご覧下さい

新營糖廠五分車は、こちらで詳しく紹介しています


新營から自強号で嘉義へ

台鉄新營駅に戻り、行李房から荷物をピックアップ。次の嘉義方面は自強号、途中に停車駅はなく15分余りで着きますが、台湾は列車種別毎の運賃設定のため、JRのような短距離では運賃より割高な特急料金が加算されることもなく、気軽に利用できます。

新營駅の貨車と貨車移動機 チキンラーメン色の1200型自強号

地下道を通ってホームに上がると、留置線には何両かの2軸貨車、その隣には小さな貨車移動機がいて、日本の国鉄時代の光景がここ台湾ではまだ健在です。基隆行きの自強号はチキンラーメン色、南ア製の200型を台湾で改造した1200型電車が入線してきます。

1200型の車内は、ごく普通のリクライニングシート。吊りかけモーターのはずですが、指定席が付随車だったのか懐かしい音は聞こえてきません。

1200型自強号の車内 北回帰線の太陽館

嘉義の近くに熱帯と温帯(亜熱帯)を分ける北緯23度6分22秒、北回帰線が通っています。北回帰線広場に建つ太陽館が車窓を横切ります。

 


嘉義駅

嘉義では、阿里山森林鐵路が接続しています。台風の被害を受け、嘉義−阿里山間の本線は山上の神木−阿里山間を除く大半の区間で運休していましたが、この訪問の3ヶ月前に平坦区間の嘉義−竹崎間が開通しました。平日は嘉義から1駅先の車両基地のある嘉義市内の北門まで、土日と祝日は嘉義から竹崎まで、午前と午後にそれぞれ1往復ずつの2往復の運転を再開しています。

2014年6月現在では、運転区間が三重ループの先の奮起湖まで延長され、2015年には阿里山本線全線で運行が再開される予定とか。

嘉義駅 コインロッカーがあった

日本統治時代の嘉義駅舎は築80年。竹崎往復の前に荷物を預けます。コインロッカーもありますが、ここでも行李房へ。日本人客も利用するためか、行李房の看板に日本語で“荷物をあずけます1つ毎日17えん”と併記。わかりやすい。

阿里山森林鐵路は、地震や台風による災害もあってか、民営化が失敗に終わり再び政府が引き取って、台鉄が運行を担当することになりました。でも、嘉義駅の切符売り場は台鉄とは別に外に面した専用の窓口があり、ここで竹崎往復を買い求めます。

       
嘉義駅の行李房         阿里山森林鐵路の切符売り場

発車時間まで余裕があるので駅周辺を散策すると、駅前広場の向こうに山と檜の神木、シェイ型蒸気機関車を配したモチーフを見つけました。ここは阿里山の入口です。

阿里山森林鐵路の乗り場は、台鉄嘉義駅構内。でもその切符は自動改札に対応していません。有人改札の上に設けた阿里山線の発車案内だけ、新しいからかフルカラー液晶で、やけに目立ちます。

駅前広場にある阿里山のモチーフ 阿里山線の案内だけフルカラー液晶

 


 

 

 

 

 

 

  

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