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枋寮の漁港

次の普快車まで1時間半ほどあるので、枋寮の散策です。枋寮駅から、5分も歩けば海に出ます。漁船が係留されている川を渡ると、カジキマグロでしょうか、魚のオブジェのゲートがあります。その中の建物は、“枋寮区漁会漁民活動中心”の文字が、右からの横書きです。日本式にいえば、枋寮漁業協同組合でしょう。

建物の港に面した1階は吹き抜けで、魚市場です。昼近くになるので、今日の競りは終わっているのでしょう。その一角では、小売りをしているようで、女性が水揚げされたばかりの魚をさばきながら店番をしています。カメラを見せて、日本語で“写真を撮ってもいい?”と聞くと、皆さん快く応じてくれます。“ジャパーン?”と英語で聞かれて、中国語の“はい”がわからなったので“Yes”と返事をしておきます。

入口に魚のオブジェ 漁会は漁業協同組合でしょう
市場の中の魚屋さん シラスが山盛りに

隣には加工品の店もあり、山盛りのシラスや煮干し、目刺しも並んでいます。これって中華料理にはないので、日本統治時代の置き土産でしょうか。その上を、赤い布の蠅追いがクルクルと回っています。昔は日本の市場にもありましたね。

果物屋は、赤い蓮霧(レンブ)を並べています。ほんのり甘くてシャキシャキした歯触りでおいしいのですが、何故か日本では見かけません。

蓮霧(レンブ)を売る店も 塩ビパイプでできた漁船

岸壁に横付けしている漁船を見て唖然。船体は、先端を曲げた何本もの塩ビパイプを縛って構成し、その上に板を張り機関室やブリッジ、漁労機械を乗せています。木造やFRPで造った普通の形をした漁船もいますが、この塩ビ筏船が多数派です。大波をかぶればデッキ上の物だけでなく、乗組員まで持って行かれるのではと心配します。台湾は台風がよく来ますが、それ以外の時期は海が穏やかなのでしょうか。

耕耘機のエンジンを載せた、手作り感あふれるオート三輪が漁具を積んでいます。ナンバープレートがないので、港内専用車でしょう。

塩ビパイプの筏船が帰ってきた 手作り感あふれるオート三輪

駅へ戻る途中に葬儀屋さんがありました。花を運んだりして準備中のようです。日本は黒ですが、台湾の葬儀はクリーム色なんでしょうか。

駅から100m程先の交差点に、待合室を備えたバス乗り場があります。台湾最南端の墾丁行きのバスが発車していきます。高雄や屏東からの直通客を乗せ、枋寮で列車から乗り継ぐ人はごくわずか。

葬儀屋さんが準備中らしい 台湾最南端 墾丁行きのバス

 


枋寮

枋寮の港や街中が面白かったので時間を使ってしまい、枋寮駅に戻ってきたのは発車の30分前。ディーゼル機関車を先頭に、紺に白帯の普快車色3両の客車の編成が入線している横を、自強号が発車していきます。

普快車が入線 マルタイもいます

まずは、駅舎の横に回って3671次普快車の撮影です。先ほどの自強号から降りたのか、ホームの上でも写真を撮る人影が。向こう側の留置線には、マルタイや旧型客車を莒光号の塗色にした事業用車や貨車が留置されています。

向こうには業務用の車両も DLを先頭にした3671次普快車

編成全体の写真を撮り終えてから、駅の先の交差点にあるセブンイレブンで弁当を仕入れます。台湾のコンビニでは袋はもらえないのですが、弁当はチンして暖めたあと、こんな手提げに入れてくれます。

台湾の旧型客車には、両端デッキの日本製と、台車の内側中央よりに両開き2扉のインド製がありますが、この日の3671次普快車は3両とも日本製でそろえています。日本では、スハフ42以降は車掌室をデッキの外に置きましたが、台湾では車掌室が無いようで、3両ともデッキは端に寄っています。

セブンイレブンでお昼の弁当 3671次普快車の後部

向こうのホームに、高雄方面から時刻表にない列車が到着します。団体臨時列車でしょう、前方に莒光号の客車を、後方にはインド製の旧型客車を連結していて、乗客が次々と自転車をホームに降ろしています。青い方は、座席を撤去した荷物車代用車かもしれません。これから墾丁方面へサイクリングでしょうか。

交換の新左營行きの莒光号が出ていくと、3671次普快車の発車時刻が迫ってきます。

臨時列車から降りてきた自転車 新左營行きの莒光号と交換

 


枋寮から台東行き普快車

12時08分発、日中に走る1日1本だけの普快車に誰が乗るのかと思ったら、3両目の乗客は4人だけで車内はガラガラ。最後尾の席にはデジイチを持った若い男性。中程には、アラフォーの女性。先ほどホームで写真を撮っていた中年の男性から声をかけられました。日本人の方で、この普快車に乗るため今朝台北を新幹線で出発し、自強号に乗り継いで枋寮まで来たのだそうです。

ガラガラの車内 照明は一部だけ点灯

普快車の車内には、日本の国鉄のスハ44のような回転式のクロスシートが並びます。表面はビニール張りですが、座り心地は良好。アルミデコラの内装にアルミサッシ、網棚はパイプで近代的。スハ44とは世代が違います。天井では扇風機が回り、室内灯は何故か一部だけが点灯しています。

セブンイレブンの奮起湖弁当

セブンイレブンで買った弁当には阿里山森林鉄道が描かれ、弁当で有名な沿線の奮起湖の名前が入っています。定価は200円ほどで、9折(1割引)のシールを貼っています。中身は台鉄の駅弁によく似た台湾の標準的な構成で、ご飯の上にローストチキンを中心に厚揚げや炒めた野菜を散りばめています。台湾の弁当の味にも慣れ、おいしくいただきましたが、一緒に買ったマンゴービールは×、普通のビールにしておけば良かった。

マンゴービール 塩ビパイプの筏船

列車は、南廻線を枋寮から海岸に沿って南下します。窓を全開にしていると、先頭のディーゼル機関車の爆音が響きます。先ほど枋寮の港で見かけた塩ビパイプを縛った筏船が、海岸からごく近いところにいます。波はなく、この海なら筏の構造でも大丈夫でしょう。

区間車とこの普快車の、1日に2本の列車が停車するだけの駅から、1人の乗客が乗ってきます。列車が次第に高度を上げると、南廻線は台湾海峡に別れを告げて、台湾山脈を横断する山に向かいます。枋寮から3つ目の枋山駅は、台湾最南端の駅。無人駅のようで、側線のレールが撤去されています。

台湾海峡と分かれ山に向かう 枋山は台湾最南端の駅

 

枋野信号所

時刻表では、枋山駅と次の古荘駅間の所要時間は35分。列車はその途中で、2つのトンネルの間の山中に停車します。時刻表には掲載されていない枋野信号所で、職員さんも勤務しています。アラフォーの女性も窓から身を乗り出して、盛んに写真を撮っています。3両目では、わざわざこの普快車に乗りに来たと思われる4人以外の一般客は、先ほどの途中駅から乗った1人だけ。

この女性も鐵路迷?

枋野信号所

信号所の側線には、鉄の車輪を履いたフォークリフトや、怪しげな業務用車両が留置されています。開放の後部デッキに出ていると、やがて後方からヘッドライトが近づき、莒光号が高速で通過していきます。珍しく、ディーゼル機関車が重連で牽引です。

レール上を走るフォークリフト

DL重連の莒光号が通過

莒光号の通過を待って、3671次普快車が発車、トンネルに吸い込まれていきます。窓からの涼しい風とともに、ディーゼル機関車のエンジンの爆音が車内に響き渡ります。

     
莒光号の後尾      

中央山脈横断のトンネルへ

 


 

 

 

 

 

 

  

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