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ハルツ狭軌鉄道の蒸機列車でブロッケン山へ

ハルツ山地の北部と南部をドイツ鉄道(DB)のローカル線が東西に走り、この間を南北につなぐハルツ狭軌鉄道(HSB)の総延長は140km。ヴェルニゲローデの他に、ノルドハウゼン・ノルドとクエードリンブルクでDBと接続しています。今回乗車したのは、下の図で左上、ヴェルニゲローデから黄色い線でドライ・アンネ・ホーネ、水色のブロッケン線でブロッケンまでの34kmの往復だけです。

ハルツ狭軌鉄道の時刻表には、駅の標高が併記されていて、ヴェルニゲローデは234m。7時25分の始発列車は、黄色い線と黄緑の線の接続駅、アイスフェルダー・タールミューレ行きの単行のディーゼルカーですが、それ以降は蒸気機関車の牽引する列車となります。

8時55分、定刻に99 7234号機の牽引するブロッケン行きが発車。1両の長さが13mほどの客車の車内は、テーブルを備えたボックスシート。4人座るとかなり窮屈そうですが、平日の朝のためか乗客は各車両に数名だけ。車体の中央にトイレのある客車もあり、便器の穴から線路のバラストの見える垂れ流し式。個室内には、手洗いの設備もありません。

ヴェルニゲローデを発車 客車の車内 中央はトイレ
ヴェルニゲローデ西門駅に向かう DRマークの貨車

列車がよく見えるように、最後尾8両目の客車の後部デッキを確保します。列車はDBの線路と別れて大きく南に進路を取り、次のヴェルニゲローデWestemtor(西門)駅へ。ここには検修施設のある工場が併設され、いろんな車両が留置されています。旧市街にも近く、この駅からも数名の乗車があります。

ヘッドライトを持つ客車? ヴェルニゲローデ西門駅

列車は住宅地を走り、踏切でクルマを待たせ、やがて森の中に入っていきます。勾配を稼ぐためでしょう、線路は右に左に大きくカーブしますが、木が生い茂っていて最後尾から機関車までなかなか見渡せません。前方のデッキから身を乗り出しているカメラを構える人もいますが、最後尾のデッキは場所の選択を誤りました。

大きな踏切で自動車を待たせ 列車は森の中へ
カーブがきつくて森の中では最後尾のデッキから機関車まで見渡せる場所は少ない

続いて2個所のヴェルニゲローデの名が付く駅に停車したあと、場内信号機をこえると本線からブロッケン線が分岐する、標高540mのドライ・アンネ・ホーネに到着。ヴェルニゲローデから15kmに40分弱を要し、200m余り登ってきました。

この駅は1番線から3番線までありますが、まだ交換する列車はありません。機関車の給水のため、10分余りの停車時間が取られています。ここまでクルマで来る人も多いようで、乗客が乗ってきます。

場内信号機をこえてドライ・アンネン・ホーネ駅へ 分岐駅ドライ・アンネン・ホーネからも乗車
ブロッケン線へと入っていく 沿道の道案内にも汽車が

発車するとポイントを渡ってブロッケン線に入ります。酸性雨による被害でしょうか、沿線には立ち枯れの木が目立つ場所も。デッキから顔を出していると機関車のはき出すシンダが飛んできて、目に入ると痛い。頭は髪の毛の中までジャリジャリに。物好きですね、ホント。

ブロッケン線の中間駅は、ドライ・アンネ・ホーネから5kmの距離にあるシールケ駅の1個所だけ。標高605mのこの駅は、軍事機密のある山頂近くが立ち入り禁止になっていた東ドイツ当時の終着駅だったとか。今でも、この先はクルマの乗り入れが禁止されているとかで、この駅から乗車してくる客もいます。山に向かう本日の1番列車のため、ここでも交換は無し。

シールケ駅からも乗車 クルマが入れるのはシールケ駅まで
スイッチバックの信号所 視界が開けてきた

シールケ駅から先は勾配がきつくなり、山頂までの15kmで標高差が510mもあります。でも、勾配用に設計された動輪径の小さな5軸の機関車は、1000分の30を超える急勾配でも小刻みなドラフト音を奏でて軽々と登っていきます。

駅間距離が長いため、途中に水平の側線が1本だけの簡単な構造のスイッチバック式の信号所がありますが、まだ待っている下りの列車はいません。

 

ブロッケン山

周囲が開けてくると、山頂の電波塔が見えてきます。日本の山と違って、ブロッケン山はなだらかな山頂です。列車は、左へ左へと山頂の周囲をほぼ一周するかたちで回り込みながら、高度をかせいでいき、デッキで風に当たっていると寒くなってきます。

登りつめて場内信号機を抜けた先が、標高1125mの終着ブロッケン駅。ヴェルニゲローデから1時間40分をかけて標高差891mを登ってきました。数少ない乗客が下車している先頭では、機関車の切り離し作業が行われています。

電波塔の立つプロッケン山の山頂が見えてきた 場内信号機をこえると
ブロッケン駅に到着 すぐに機関車を切り離す

年間300日近くは霧が発生し、そのうち100日は山頂が終日霧に覆われるといわれているブロッケン山。この日も残念ながら下界の見通しはききません。山頂の電波塔も、時々上の方が霧に隠れてしまいます。

狭軌の台車に乗った標準軌のタンク車がいた 主動輪(第3動輪)にフランジがない
駅員さんが乗って機回り 客車に連結

キャブの手すりに駅員さんがぶら下がって機回りです。逆向きで、下り側の客車に連結。中央のバッファを付き合わせて、その両側のピンを締め上げて出発準備完了。横から機関車を見ると急カーブに対応してか、日本の4110型と同様に主動輪である第3動輪にフランジがありません。

山頂に滞在わずか15分で、99 7234号機はドライ・アンネ・ホーネまでのブロッケン線の内区間列車となり、逆向きで牽引して山を下りていきます。ヴェルニゲローデからブロッケンへ直通の7往復に加えて、乗客の多いブロッケン線内の区間列車が1日4往復と、ノルドハウゼン・ノルドからドライ・アンネ・ホーネを経てブロッケン間に1往復設定されています。

バッファの両サイドの連結器ピンを締める 出発準備完了
山を下るドライ・アンネ・ホーネ行きの列車

一旦聞こえなくなった列車の音が山頂の周囲を一回りしたころ、また下の方から響いてきますが、霧の中で姿は見えません。

 

2番列車が登ってきた

しばらく待つと、遠くから風に乗ったドラフト音が響いて、途中の信号所で交換した2番列車が登ってきたようです。先ほどの列車では車内からうっすらと山頂の電波塔が見えていたのですが、霧が濃くなったのか音のする方向は全く視界がききません。線路ぎわで待っていると、一旦途切れたドラフト音が再び大きくなり、向こうから列車が姿を現します。

一時的に霧が晴れた山頂の電波塔 機関車が見えた
戦前型の99 222号機 ブロッケンに到着

牽引機は、戦前型の99 222号機、何故か他機が一年中装備している赤いスノープローを、本機だけは付けていません。

目の前を通り過ぎた列車が到着したブロッケン駅のホームには、先ほどとは比較にならない多くの乗客がはき出されます。ヴェルニゲローデでの接続列車の関係でしょうか、平日にもかかわらず、この列車の乗車率は高いですね。

この列車から下車する乗客が多い すぐに機関車を切り離して
ポイントの操作は駅員さんが現場で 後ろ向きで客車に連結

切り離した機関車は、先ほどと同様に駅員さんが添乗して機回り。逆向きで下り側の客車に連結して、ヴェルニゲローデ行きの出発準備完了。この99 222号機をよく見ると、何故かフランジの無いのが一番後ろの第5動輪です。

出発準備完了 99 222号機は第5動輪にフランジがない

 


 

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