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“ブダペスト ハンガリー鉄道歴史公園”


ハンガリーの鉄道博物館

ハンガリーの首都ブダペストの市内と近郊には、4つの鉄道博物館があります。都心のメトロ博物館、市民公園の中にある交通博物館(2017年現在閉鎖中)、市内北東部のハンガリー鉄道歴史公園、それに郊外電車で北へ40分のセンテンドレ都市交公共交通博物館です。それらの中で、国鉄の機関区の跡地を活用した、一番規模の大きなハンガリー鉄道歴史公園 にご案内します。

14番のトラムをRokolya utcaで下車

ブダペスト中心部からの行き方は、ペストの中心で地下鉄博物館があり地下鉄1、2、3号線が交差するDeák Ferenc térから市内を南北に貫く地下鉄2号線で北へ3駅、Lehel térで始発の14番のトラムに乗り換えて7停留所目のRokolya utcaで下車。住宅街を東に歩いて10分ほど。鉄道歴史公園の門が見えてきます。

ハンガリー鉄道歴史公園入口の門

1700フリント(約850円)と、ハンガリーにしては高価な入場券を買って入ると案内板があります。入口は、この看板の絵の一番下。ハンガリー国鉄MÁVの旧ブダペスト北部基地の跡地7ha以上を使い、100両以上の車両を集めて鉄道博物館が開館したのが2000年。

 

ハンガリー鉄道歴史公園の蒸気機関車と古典客車

看板の絵の中央のターンテーブルの周囲には扇形庫はなく、青空の下にたくさんの蒸気機関車が並んでいます。数えてみると何と18両。左から順に見ていきましょう。小さな看板が出ているものの詳しい説明はハンガリー語のため、見てわかるのは地名と数字程度です。

ターンテーブルの回りにすらっと並んだ蒸気機関車

動輪が3軸、軸配置がCのテンダ式蒸気機関車1026号は、1882年にドイツのベルリンで製造された貨物用。動輪径1262mm、軸重12.8t、蒸気圧10bar、テンダを含む全長14.79m、重量37.8t、最高速度45km/h。出力の記載がない。

C型の貨物用テンダ機1026号

薄緑色で動輪が3軸、軸配置がCのタンク式蒸気機関車480号は、1883年にオーストリアのウィーンで製造された支線用。動輪径1130mm、軸重9.5t、蒸気圧10bar、全長7.82m、重量28.1t、最高速度40km/h。

C型のタンク機480号

動輪が3軸、軸配置がCのタンク式蒸気機関車765号は、1886年にハンガリーのブダペストで製造された支線用。動輪径1262mm、軸重12.8t、蒸気圧10bar、全長7.78m、重量37.8t、最高速度45km/h。

C型のタンク機765号

動輪が4軸、軸配置がDのタンク式蒸気機関車2号は、1913年にオーストリアのウィーンで製造された入れ換え用。動輪径910mm、軸重9.2t、蒸気圧10bar、全長8.75m、重量36.5t、最高速度30km/h。

D型のタンク機2号

動輪が3軸、軸配置がCのテンダ式蒸気機関車17号は、1885年にオーストリアのウィーンで製造された貨物用。動輪径1204mm、軸重13.3t、蒸気圧10bar、テンダを含む全長15.19m、重量39.4t、最高速度55km/h。

C型のテンダ機17号

動輪が3軸、軸配置がCのテンダ式蒸気機関車2459号は、1889年にハンガリーのブダペストで製造。動輪径1220mm、軸重13.3t、蒸気圧10bar、全長15.13m、重量39.4t、最高速度45km/h。

C型のテンダ機2459号

動輪が3軸、軸配置がCのタンク式蒸気機関車377,493号は、1912年にハンガリーのブダペストで製造された支線用。動輪径1110mm、軸重9.7t、蒸気圧10bar、全長8.11m、重量29.1t、最高速度45km/h。なお、377は型式、493は番号と思われます。

C型のタンク機377,493号

珍しい形の蒸気機関車は、火気が使えない場所で稼働するためボイラを持たず、外部から供給された蒸気で稼働する無火機関車。動輪が2軸、軸配置がBのタンク式無火機関車91,001号は、1915年にオーストリアのリンツで製造。動輪径800mm、軸重12.3t、蒸気圧12bar、全長7.60m、重量22.5t、最高速度10km/h。

B型の無火機関車91,001号

動輪が3軸、軸配置がCのテンダ式蒸気機関車7111号は、1902年にハンガリーのブダペストで製造された支線用。動輪径のデータ無し、軸重10.3t、蒸気圧12bar、全長12.31m、重量30.6t、最高速度50km/h。

C型のテンダ機7111号

動輪が3軸、軸配置が1C1のタンク式蒸気機関車375,1032号は、1959年にハンガリーのブダペストで製造。375型は1907年から50年以上にわたって製造され、1032号機はその末期の製品のようです。煙室扉には共産党の赤い星。動輪径のデータ無し、軸重10.9t、蒸気圧12bar、全長10.93m、重量53.6t、最高速度60km/h。

C型のタンク機375,1032号

動輪が3軸、軸配置が1C1のタンク式蒸気機関車376,615号は、1911年にハンガリーのブダペストで製造された支線用。動輪径1040mm、軸重9.27t、蒸気圧12bar、全長9.82m、重量46.35t、最高速度50km/h。

C型のタンク機376,615号

動輪が4軸、軸配置が1D1のタンク式蒸気機関車442,013号は、1921年にハンガリーのブダペストで製造された通勤列車牽引用。動輪径1606mm、軸重14.5t、蒸気圧12bar、全長14.29m、重量86t、最高速度85km/h。

D型のタンク機442,013号

動輪が3軸、軸配置が2C1のテンダー式蒸気機関車301,016号は、1914年にハンガリーのブダペストで製造。過熱式4気筒の急行列車牽引機。動輪径1826mm、軸重15.7t、蒸気圧12bar、全長21.81m、重量84.7t、最高速度100km/h。

C型のテンダ機301,016号

動輪が3軸、軸配置が2Cのテンダー式蒸気機関車328,054号は、1922年にハンガリーのブダペストで製造。過熱式で高速列車牽引用。動輪径1826mm、軸重14.3t、蒸気圧12bar、全長19.14m、重量68.4t、最高速度100km/h。

C型のテンダ機328,054号

動輪が3軸、軸配置が2C2のテンダー式蒸気機関車303,002号は、1951年にハンガリーのブダペストで製造。過熱式2気筒の急行列車牽引機。動輪径2000mm、軸重18t、蒸気圧18bar、全長25.39m、重量109.5t、最高速度120km/h。

C型のテンダ機303,002号

動輪が4軸、軸配置が2Dのテンダー式蒸気機関車424型は、過熱式2気筒の客貨両用機。1924年から1958年まで、ハンガリーのブダペストで35年間に365両製造された汎用機。トップナンバーの424,001号とラストナンバーの424,365号が並んでいます。デフの有無や煙室扉のナンバープレートの有無で印象が異なりますね。

動輪径1606mm、軸重14.75t、蒸気圧14bar、全長21.05m、重量86t、最高速度90km/h。424,365号煙室扉には共産党の赤い星。

C型のテンダ機424,001号

C型のテンダ機424,365号

動輪が5軸、軸配置が1Eのテンダー式蒸気機関車520,034号は、1943年にポーランド南部のフシャノフで製造。フシャノフは第二次世界大戦中はドイツに占領されていたので、日本のD52に相当するドイツの戦時型貨物機52型だと思われます。過熱式2気筒の貨物列車牽引機。動輪径1400mm、軸重15.1t、蒸気圧16bar、全長22.98m、重量84t、最高速度80km/h。

E型のテンダ機520,034号はドイツの52型

門鉄デフがなく、煙室扉の形状が違うので正面からの印象は異なるものの、520型の特徴的な船底型のテンダは、ドイツの52型そのもの。

機関車のロッドを利用したベンチ

蒸気機関車のロッドを使用したベンチでは、親子連れが休んでいました。

 

扇形庫前の保存車両

蒸気機関車が周囲を取り囲むターンテーブルの先に、もう一つのターンテーブルがあり、こちらの周囲には1911年に建てられた扇形庫が残っています。

もう一個所のターンテーブルと扇形庫

動輪が3軸、軸配置がCの緑色のタンク式蒸気機関車27号は、ハンガリー国鉄ではなく、ブダペストの郊外電車HÉVの機関車。同型の28号が、センテンドレにある都市公共交通博物館に静態保存されていますが、この27号機はネット上に運行中の写真があるので動態保存機のようです。

連結している2軸の古典客車25号は、4つのコンパートメント毎にドアがあるタイプ。茶色の部分は3等客室、ダークグリーンの部分は郵便室で、日本式にいえばハユ。

C型のタンク機27号と2軸の古典客車

動輪が2軸、軸配置が1B1のタンク式蒸気機関車22,034号は、ハンガリー国鉄で1928年から40年まで製造された22型。動態保存機かもしれません。動輪径1220mm、蒸気圧13bar、全長9.67m、重量28.5t、最高速度65km/h。

後ろに連結している2軸の古典客車366号は、5つのコンパートメント毎にドアがあるタイプで全室3等車。

もう1両、扇形庫の近くに停車していた動輪3軸、軸配置Cのタンク式蒸気機関車5号。これも動態保存機かもしれません。

C型のタンク機5号

オープンデッキの2軸客車が2両。赤い50002号はビュフェワゴンの標記があるので食堂車でしょう。緑の1574号は2等車。窓配置からみて、コンパートメントが4室でしょう。

2軸車22号+21号の編成

モニタールーフでデッキに扉の付いた2軸客車が2両。緑の59号は1等と2等の合造車。茶色の4743号は3等車。

丸屋根の鋼製2軸客車は3等車。屋根に突き出ているのはストーブの煙突?

2両の2軸客車 1+2等の合造車59号と3等車4743号

2軸の3等車

902号は、ロシア製УАИКАの乗用車を鉄の車輪に交換した巡回車。屋根上のヘッドライトは増設でしょう。

 


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