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それでは、園内に展示されている車両を見て回りましょう。林森西路に面した門から入った右手に、シェイ型蒸気機関車23号機がオープンデッキの客車を引き連れて展示されています。28トン型の3気筒機ですが、クランク軸と台車を結ぶ推進軸が外されてしまっています。1914年製で1970年まで使用。登りは11km/h、下りは14km/hのスピードだとか。

▲ シェイ型蒸気機関車23号機

赤いオープンデッキの木造客車は、日本統治時代のものです。機関車の次位の客車は車内が覗けたのですが、車体の前方にだけフカフカのロングシートが残っています。1等車だったのでしょうか。

▲ オープンデッキの木造客車とその車内

その次の赤い客車には、“貴賓車廂與随重調理車廂”と書いたプレートが掲げられています。用途は“國家元首及高級貴賓乘用”とのことで、調理室付きの貴賓車でしょうか。内部はいくつかの部屋に分かれています。1925年、阿里山森林鉄路修理工廠の製造です。

 

▲ 貴賓車

そういえば、これらの客車をモデルに最近新造した檜造りの木造車の編成がいるはずですが、見つかりません。シャッターが降りた車庫があったので、その中なのかも。

赤い客車の後ろに連結された、二段窓の黒いオープンデッキの客車は一般車でしょう。車内は簡素なロングシートで、背ずりは板のままです。

▲ オープンデッキの客車とその簡素な車内

中央に扉が1枚の赤い旧型客車は、以外に新しくて1960年の阿里山森林鉄路修理工廠の製造です。運材平板車を改造したもので、26年前に初めて阿里山森林鉄路に乗ったときはまだ現役でした。

▲ 戦後製の旧型客車

床下に塩ビの配管のある客車がいます。トイレに改造されて、配管は公共下水道につながっているのでしょう。換気扇も後付と思われます。

▲ トイレに改造された客車

シェイ型蒸気機関車13号は、18トン型2気筒の小型機です。ダイヤモンドスタックの煙突が、いかにもアメリカ製。1910年製で、1977年まで使用。ちなみにメーカのリマ社は中国語では“萊馬”、シェイは“夏依”と書くそうです。

▲ シェイ型蒸気機関車13号機

黒い小さな2軸のディーゼル機関車の側面には、“KATOWORKS”の赤い文字があります。1926年加藤鉄工所(現在の加藤製作所)製の7トン型で1977年まで使用。後にディーゼル化としているので、製造時はガソリン機関だったのでしょう。補助的とはいえ、阿里山森林鉄路では早い時期から内燃機が使われていたことがわかります。

▲ KATO(加藤製作所)製のB型ディーゼル機関車

DL2は、1953年の新三菱重工三原製作所製のC型ロッド式の25トン車。阿里山森林鉄路の最初のディーゼル機関車で、255HP/1400rpmのディーゼル機関を搭載しています。苗栗の鉄路文物展示館には、改造により前後輪を追加して、1-C-1の軸配置になった相棒がいます。
https://tabinosyasoukara.yu-nagi.com/miaoli/miaoli2.html

▲ 新三菱重工三原製のC型ディーゼル機関車

足回りがカバーされたディーゼル機関車は、1976年のドイツ Orenstein & Koppel 製の28トン機。静かで強力なエンジンを搭載して、客貨両用に使われたとしていますが、入線から13年後の1989年に退役しているのは何故? 留置線にいる同型機は現役でしょうか。

▲ ドイツ製のD型ディーゼル機関車

ディーゼル機関車によるプッシュプル運転が主体の阿里山森林鉄路で、かつて“中興號”で大活躍したディーゼルカーは1970年の日本車両製。262HP/2100rpmのディーゼルエンジンを搭載して、ロッド式の2軸駆動です。26年前の訪問時には元気に活躍していたのですが、冷房がなかったため生き残れなかったのでしょうか。車内は転換式のクロスシートです。

▲ 日本車両製のディーゼルカー中興号

▲ 中興号はロッド式の2軸駆動

▲ 転換式クロスシートが並ぶ中興号の車内

台鐵西部幹線の嘉義駅から北門駅までは、阿里山森林鉄路で1駅6分。2013年3月現在で、嘉義発北門行きは9時と14時の1日2本。土日祝日は竹崎まで延長運転されます。北門駅から阿里山森林鐵路嘉義車庫園區まで徒歩5分。嘉義駅から歩いても20分程度の距離で、入場無料です。


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