前回の訪問時は閑散としていましたが、平日にもかかわらず子供連れを中心に一定の入場者がいます。まずは脱水状態にならないよう、入ったところにある売店で水分補給に水を購入。
▲ 売店とその後ろに並ぶ蒸気機関車群
入口は南北に長い広大な展示館の真ん中付近にあり、北側は蒸気機関車が、南側には電気機関車やディーゼル機関車が並んでいます。
▲ 蒸気機関車の展示コーナーと電気機関車やディーゼル機関車の展示コーナー
正面中央の一等席を占める2両の蒸気機関車は、毛沢東号と朱徳号。解放1型蒸気機関車で、軸配置はD51と同じ1D1のミカド型。1941年と1942年日本製のミカイ型で、南満州鉄道や満州国国鉄から中国に引き継がれてから、主席の毛沢東や副主席の朱徳の装飾が付けられています。
▲ 毛沢東号と朱徳号
前回訪問時にはなかった機関車脇の黒いポストが撮影の邪魔。キャブの機関士や整備士の人形が加わっています。蒸気機関車の展示には一部の配置が変わった程度で新しく導入された機種はなく、詳しくは前回訪問時のこちらをご覧ください。
▲ 機関士や整備士の人形が乗っている
蒸気機関車のある北側の部分で、一番東の1線だけは5両編成の客車が展示されています。前回訪問時には説明の看板がなかったので詳細がわからなかったのですが、両端の大きな曲面ガラスの密閉式の展望車2両は1936年に満鉄の工場で3両作られ、奉天(瀋陽)−北京間の急行に使われたあと、釜山−北京間の急行“大陸”の最後尾を飾った展望1等寝台車テンイネ2型だといわれています。
▲ 公務車 GW 97349 の後部
今回は、このうち4両の車内が10元の別料金で公開されています。カーペットを痛めないようにか、靴の上から青いビニールのカバーを履いて車内に入ります。
▲ 客車の車内公開のチケット販売窓口
▲ 車内の床のカーペットを痛めないよう靴の上から青いビニールカバーを履く
まずは、公務車GW97349号へ。満鉄から中国に引き継がれてから、展望車を要人の専用車に改造したのでしょう。片廊下で机とベッドを備えた個室にある大きなアルミ鋳物で折りたたみ式、蛇口が付いているので洗面器でしょう。
▲ 個室の折りたたみ式洗面器とベッド
▲ バスタブ付きの風呂とトイレ
次の個室は、バスタブ付きの風呂とトイレ。床と壁はタイル張りに。トイレの配管に圧力計が付いているところがユニーク。
▲ トイレと洗面台
この風呂場とトイレに、窓側の専用のドアで通じているデスクとベッドを備えた個室に、滕代遠の名前があります。一体誰だ?と思ってネットで検索すると、中華人民共和国鉄道部部長、日本でいえば国鉄総裁に相当する人物のようですが、軍人で共産党員。
▲ 滕代遠は中華人民共和国鉄道部部長
満鉄の展望車は国鉄総裁専用車に改造され、最後尾の展望室はサロンに。外観は丸屋根ですが、車内の天井は二段屋根ふうに仕上げています。
▲ カーペット敷きの廊下 ▲ 展望室の天井は二段屋根ふう
▲ 最後尾の展望室
展望車の隣に連結されている車両の表記は、日本でいえばB寝台の硬臥車YW60959。車体の形状から見て、1950年代後半の東ドイツからの輸入車だと思われます。前回の訪問時には、ドアをガムテープで押さえたまま片隅にひっそりと置かれていましたが、窓の配置や3軸ボギーの台車から見てただの硬臥車とは思えませんでした。なお、傍らの駅員と整備員は人形です。
▲ 硬臥車YW60959となってはいるが
▲ 3軸ボギー台車
展望車から連結面を通って硬臥車へ。硬臥車の表記はカムフラージュのためでしょうか。車内は展望車と同じような造りになっています。特注で要人用の車両を東ドイツに発注したのでしょう。
▲ 連結面を通って東ドイツの客車へ
扉の開いている部屋は、まずはベッドとデスクのある個室。続いてバスタブのある風呂とトイレ。壁面の一部のみタイル張りになっています。
▲ ベッドとデスクの個室
▲ 風呂とトイレ 壁面は一部タイル張り
ここから専用の扉でつながるのは、ベッドとデスクを備えた毛沢東の寝室。硬臥車とカムフラージュしていたこの車両は、毛沢東の専用車でした。製造は、文化大革命を始める数年前でしょう。
▲ 毛沢東もと主席の寝室
その先のサロンに毛さんが座っていました。テーブルに中国の地図を広げて何をしているんでしょうか。
▲ サロンの毛沢東