三菱鉱業美唄鉄道

美唄鉄道の車両

美唄鉄道の想い出

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2号機の牽く
混合列車
'69.8 美唄炭山

E型タンク機
2号機
'69.8 美唄
E型タンク機
4142
号機
'69.8
美唄
D型テンダ機
9600型 6号機
'69.8
美唄
  
美唄鉄道の終点
常盤台駅構内
'69.8
常盤台
気動車
キハ101ほか
'69.8
常盤台
気動車
キハ102
'69.8
美唄
ラッセル車
キ101
'69.8
美唄
       

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かつての日本では、エネルギーの多くを石炭に依存していました。北海道と北九州は日本のエネルギーの供給基地で、多くの炭坑が操業し、掘りだした石炭を輸送するための鉄道が敷かれていました。北九州の筑豊炭田には国鉄線が網の目のように走り、D51や9600型蒸気機関車の牽く石炭列車が運転されていました。一方、石狩炭田をはじめとして北海道では多くの炭坑が専用鉄道を持ち、国鉄との接続駅まで自社の蒸気機関車が石炭車を牽引し、そこからD51に引き継がれて消費地へ運ばれていきました。

北海道の専用線の蒸気機関車には、一部に自社発注の独自型式や国鉄型式のものもみられるものの、多くは国鉄払い下げの機関車で、明治生まれの古典機をはじめ、珍しい型式が残存している鉄道にはファンの注目が集まっていました。

専用鉄道は、やまに住む炭鉱労働者のための足でもあり、石炭列車の合間をぬって国鉄の列車に接続する旅客列車も運転されていました。1960年頃になると、客貨分離のために気動車の導入が始まり、国鉄払い下げの機械式の戦前型や、国鉄のキハ22型タイプの新車の導入が始まり、運炭鉄道最後の華やかな時期を迎えました。石炭貨物輸送は、比較的遅くまで残った一部の鉄道で、国鉄DD13タイプのディーゼル機関車が導入されたい外は、最後まで蒸気機関車が活躍していました。

1960年代後半になると、石炭から石油へのエネルギー転換が急激に進み、採算のとれない炭坑の閉山が始まりました。この頃、北海道に残っていた炭坑鉄道としては、留萌本線・羽幌線沿線の留萌鉄道、天塩炭坑鉄道、羽幌炭坑鉄道、根室本線沿線の三井芦別鉄道、尺別鉄道、雄別鉄道、夕張線沿線の夕張鉄道、三菱鉱業大夕張鉄道などがありましたが、私が訪れたのは交通の便の良い函館本線美唄と常盤台10.6kmを結んでいた、三菱鉱業美唄鉄道だけです。

美唄鉄道には、動輪が5つもあるE型のタンク機関車、4110型がいることで知られていました。今では山形新幹線の通る奥羽本線板谷峠の補機として生まれた勾配用の機関車で、国鉄から美唄鉄道の払い下げられた数両の他に、自社発注が3両いました。払い下げ機は国鉄時代のナンバープレートのまま、自社発注機は2〜4号を名乗っていました。この他に、国鉄払い下げの9600型が2両いて、続き番号で5と6というナンバーをもらっていました。

函館本線の美唄駅に降り、気動車に乗り換えて常盤台に向かいました。運転台の横でカメラを構えていると、まわってきた車掌さんが“次の駅で蒸気機関車の牽く上りの混合列車と交換するよ”と教えてくれました。付け加えて、“今日は日曜日だから蒸気機関車の牽く列車はこれだけだよ”と。炭坑がお休みの日曜日には、石炭列車は全て運休することを私は知りませんでした。1カットだけ撮せた4110型2号機がバックで美唄に向かう混合列車を牽く写真は、保存状態が悪くポジフィルムの乳剤面にカビが発生した部分が青く変色しており、お見苦しいものをお目にかけることになってしまいました。

気動車は、国鉄キハ05の払い下げが、101〜103までの3両いたと思います。機械式から液体式に改造されて総括制御が可能となり、正面にはひき通しのジャンパ栓を装備しています。

当時の旅客列車は、朝の美唄方面と夕方の常盤台方面の1往復の4110型が牽引する混合列車があり、その他の美唄方面5本と常盤台方面4本は気動車で運転されていました。もっとも、この間には三菱バス(今の美鉄バス)の路線が並行しており、私も常盤台から美唄への帰りには適当な列車がなくてバスを利用した記憶があります。

美唄には機関区があり、庫の中で機関車が休んでおり、屋外には気動車やラッセル車がいました。気動車の前に写っているターンテーブルは人力でまわしていたようで、長いレバーが見えます。

炭坑の閉山によるものだったと思いますが、三菱鉱業美唄鉄道は1972年5月末日で廃止になりました。廃止になる少し前から、4110型の一部は正面のナンバープレートが板谷峠時代のオリジナルの円形になり、人気を集めました。廃線あとはサイクリングロードとなり、今でも駅舎が残る東明駅近くには2号機が保存されているそうです。

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