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ホテルをチェックアウトし、フロントで荷物を預かってもらって花蓮駅に向かいます。2014年6月に電化が完成する、花蓮から台東までの花東線は、日本統治時代の1919年の開通から1982年の改軌による北廻線との直通運転開始まで、軌間762mmのナローゲージの独立した鉄道でした。
その当時の車両が数年前から台北駅で保存展示されていますが、それ以前から花蓮駅前に静態保存展示されてきたディーゼルカーと客車、及び台東で保存されていた蒸気機関車が2010年に台湾鉄路管理局の手で動態に復元され、花蓮駅構内で運転されたことが日本でも報じられました。
ナローゲージの花蓮駅は現在地ではなく港に近い場所だったので、今の花蓮駅構内に軌間762mmの線路を新規に敷設したことになります。Google map の航空写真は粗く、狭い線路幅の路線を見つけるのは困難ですが、台湾の方のブログに“後站”と書かれているのを見つけました。駅の裏口、泊まったホテルのある北側のようです。
花蓮後站に腕木式信号機が保存 | 隣は台湾鉄路管理局花蓮運務段 |
北口(裏口)駅舎の東隣に“台湾鉄路管理局花蓮運務段”の表札の架かった門があります。部外者立ち入り禁止のような表示は見あたらないので、構内に入ってみることに。
あった。運務段の建物の裏手に幅の狭い路線と小さなホームが設けられ、その先は行き止まりになっています。カメラをぶら下げて構内をうろついていても、近くの職員から声をかけられることもありません。
762mmゲージの線路と小さなホーム | ナローゲージ時代の花東線のディーゼルカーと思われる車両 |
さらに、駅構内の線路の向こう側には、ナローゲージのディーゼルカーらしき、バス窓の塗装のあせた車両の姿も。間に北廻線の本線も通っているので、何本もの線路を横断して近くに行くわけにもいかず、遠くから望遠で撮るだけにしておきます。
花東線の改軌後、一部の車両は改軌して、ディーゼルカーはそのまま、ディーゼルカーの付随車は機関車に牽引される客車等として継続使用されたようで、向こうに見えるのは1067mmゲージに改軌された車両のなれの果てでしょう。構内には、ディーゼル機関車や貨車と並んで最新の通勤型電車、800型が口を開けた姿を見せています。
凸型DLの向こうにもとナローゲージの車両 | 800型電車と貨車(車掌車?) |
給水塔? | 名産の大理石 |
構内の道路に沿って敷設されたナローゲージの線路に沿って進んでいくと、コンクリート製の給水塔があります。一瞬、蒸気機関車に給水っと思ったのですが、ナローゲージの時代はここには路線が通っていません。近くには、太魯閣峡谷から切り出したのか、花蓮名物の大理石を積んだトレーラーも置かれています。
検収庫の向かいの貨物ホームでは、迷彩服の男が何やらやっています。軍の演習でしょうか。
検収庫前の入れ換え用DL | 軍の演習? |
車の積み込みホームとセメント工場脇に停まるホッパー車 | 客車改造の車運車 |
隣のセメント工場のわきにホッパー車が並び、車を積み込むように改造した客車が専用ホームについています。ここから乗せるんですね。
その近くがナローゲージの線路の終点でしょう。ホームが設けられていて、線路の先は鉄の扉の中へと続いています。この奥の動態復活した車両がいるのかと思って扉の隙間から覗いてみると、中には蒸機の灰を落とすピットも設けられているのですが、車両は1両もありません。
ナローゲージのホームの先に鉄の扉が | 扉の向こうはもぬけの殻 |
振り返ると車庫の中にナローゲージの車両 |
その場から花蓮駅方面を振り返ると、いた。コンクリート製の車庫の中にディーゼルカーと客車の姿があります。右側のディーゼルカーは戦後1950年代の片貫通式LDR2200型で、同型車が台北駅と苗栗鐵道文物展示館に展示されています。左側には日本統治時代に製造の木造客車が2両押し込められていて、3等座席車と3等座席と寝台の合造車のはずですが、扉には鍵がかかっていて奥までよく見えません。
今では、振り子式電車の普悠瑪号が1時間半で駆け抜ける花蓮−台東間を、ナローゲージの時代には7時間かけて夜行列車が走っていたのだとか。2004年の時は、花蓮駅で途中下車せずに、自強号で通り過ぎてしまい、その後動態復元されて、通常時は車両に近づくことができなくなってしまいました。現役時代は無理としても、花蓮駅前に展示されていたナローの寝台車を見ておきたかったなぁ。
木造客車が2両とディーゼルカー | |
奥にも蒸気機関車とディーゼルカー | 台車はロッド式の2軸駆動 |
LDR2200型ディーゼルカーの後ろには、LDK50型蒸気機関車59号がいます。これは、台北駅横のLDK58号と同形式で、台湾総督府鉄道時代の機関車です。その奥のバス窓ディーゼルカーは1960年代のLDR2300型で、車体にリブがあるので台湾製でしょう。苗栗鐵道文物展示館は同形の付随車(キサハ)が保存されています。
正面の茂みの奥の建物がナローの車庫 | DLが800型電車の入れ換え |
すぐ横では、ディーゼル機関車による800型電車の入れ替えが行われています。
花蓮駅から、市内をナローゲージの時代の旧花蓮駅方面に向かいます。途中に廃線跡を整備したと思われる歩行者専用道路がありました。“舊鐵道行人徒歩區”の石碑が立ち、その向こうには駅舎をイメージしたと思われる休憩所も。
道の真ん中には、白と黒の敷石でレールを表していますが、線路幅が広すぎます。その線路の上に何かあるので近づいてみると、小さな機関車と客車が置かれています。でも、先ほど見てきた本物はもっと大きかったけど。
ナローゲージの花東線の廃線跡を活用した歩行者道路 | |
小さな機関車と客車が置かれていた |
通り沿いの建物には、石の壁を突き抜けて飛び出してくるLDK59の絵が描かれています。花蓮では、ナローゲージの線路を部分的に復活させて列車を走らせ、町の活性化をはかろうとする構想もあるのだとか。
LDK59号蒸気機関車の絵 | 吉安駅に向けて廃線跡は続く |
その先には踏切のような標識もあり、微妙なカーブを描きながら廃線跡は続いています。向かう先は現在の花蓮駅ではなく、一つ台東よりの吉安駅の手前で今の線路に合流するのだとか。
まだお昼には早いものの、近くにワンタンの名店があるので立ち寄ることに。先にお金を払いますが、メニューはワンタンだけ。あれこれ迷う心配はなし。店の人にことわって、つくっているところを写真にパチリ。
花蓮のワンタン専門店 | 挽肉の餡を包んでいるところ |
茹でてスープと | できあがり |
ワンタンの店の近くに、古い日本式の木造建築を活用した“花蓮文化創意産業園區”があります。廃校の木造校舎かと思ったら、花蓮舊酒廠だった建物だそうで。
花蓮文化創意産業園區 | 旧花蓮駅に続く廃線跡 |
先ほどの廃線跡まで戻り、今度は反対側、旧花蓮駅の方に向かいます。