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アルト・ゴーダウから国鉄ICでルツェルンへ

国鉄のアルト・ゴルダウ駅は、ゴッタルドトンネルでアルプスをくぐり抜け、イタリアのミラノとチューリッヒをむすぶ幹線からルツェルン方面が分岐する駅。チューリッヒ方面のホームは大きくカーブし、ルツェルン方面は直線になっています。

Re460型の牽くチューリッヒ行きのIR Re420型の牽くIR

次のルツェルン方面の列車は、アルプスの南のルガーノから来るバーゼル行きのICN。アルストム社とスイス国鉄が共同開発の振り子式電車RABDe500型で、最高速度は200km/h。

バーゼル行きICNが入線 ICNの食堂車

スイスに来て、初めて混雑した列車に乗りました。空席を探して車内を移動中に食堂車を通ります。30分足らずの乗車時間では、ここに腰を落ち着けるわけにもいかず、それ以前に空いたテーブルがありません。後方の車両は、団体貸し切りなのか、貫通扉の窓に何か書いた紙が貼ってあり、高校生の団体が占領していて実に賑やか。ドイツ語の辞書を引くのも面倒だし、車端部に空席があったので気にせず座ります。

先ほど、リギ山頂から見たツーク湖が車窓に広がります。アルト・ゴルダウで分かれたチューリッヒ方面の路線は、ツーク湖の対岸を走っているはずです。

ICNの2等車内 車窓のツーク湖

ICNは、ほどなく頭端式ホームのルツェルン中央駅に到着。スイッチバックで進行方向を変えて、バーゼルに向かいます。隣のホームの急行列車IRは客車列車。ここまで牽いてきたRe420型電気機関車を切り離し、最後部に新たに機関車を連結して折り返していきます。

ルツェルンに到着したICN Re420型EL

近郊電車Sバーンには国鉄の他にBLS AGが運行する路線もあり、シュタッドラーのRABe526型が入線しています。4両編成ですが、中間に車体長の極めて短い2軸車のドライブモジュールをはさみ、片側のみに台車を有する3両の部分低床車体の台車のない側を隣の車体に乗せかける、ユニークな方式の連接車です。低床車の屋根上に重量物を積載したくないとの考えから生まれたようです。

長い編成ではドライブモジュールを2個所に組み込み、エンジン駆動の発電機を搭載したドライブモジュールに置き換えると電気式ディーゼルカーになる汎用性の高い車両で、スイスに隣接する各国以外にもスペインやギリシャ、米国でも活躍しています。BLS AGのSバーンは、ドライブモジュールの上にパンタグラフが上がってるので電車です。最初のページでご紹介したMOBの角張った電車は、これの3車体連接メーターゲージバージョンです

Sバーンの部分低床車RABe526型 駅構内のCOOP

駅構内のCOOPで買い物をして、ホテルに戻ります。


ルツェルン市内観光

スイス5日目は、ルツェルン市内観光のあと交通博物館を訪問して、宿泊地のクールに向かいます。クールは国鉄と氷河急行を運行するレーティッシュ鉄道(RhB)の接続駅。時間が遅くなれば国鉄で直行もできますが、ゴッタルド峠で氷河急行線に乗り換えて車窓を楽しみながら行きたいと計画しました。

       
新市街の噴水         フランシスコ教会裏広場

まずは新市街で泊まったホテルの近く、聖母子像が立つ広場に面したフランシスコ教会へ。13世紀後半に建てられたゴシック様式の教会の入口の上にはフレスコ画があり、内部の壁もがフレスコ画が描かれています。

       
広場の聖母子像         フランシスコ教会
       
フランシスコ教会の内部         イエズス教会とカペル橋

すぐ隣は、フィアヴァルトシュテッター湖から流れ出るロイス川に面したイエスズ教会。2つのねぎ坊主が乗った15世紀のバロック様式の教会です。内部は白を基調に、バロック式やロココ調で装飾されています。見事な壁画が描かれた丸みをおびた天井は、18世紀の改築によるものだとか。

  イエズス教会の内部  

イエスズ教会の前のロイス川に、屋根の付いた木造橋が2本かかっています。湖に近い方は有名なカペル橋。下流に架かるもう1本はシュプロイヤー橋。川の教会側が新市街で、対岸が旧市街です。シュプロイヤー橋の向こうには、ルツェルンの街を守る防護壁、15世紀に造られた旧市街を取り囲むムーゼック城壁と丸い塔が見えます。

       
シュプロイヤー橋の向こうにムーゼック城壁         シュプロイヤー橋の梁にかかる絵

シュプロイヤー橋の新市街側は15世紀の架橋された部分で、旧市街側は19世紀の再建。橋の真ん中にぶら下がる尖り屋根の丸いのは、17世紀の礼拝堂です。橋の梁には“死の舞踏”と呼ばれる17世紀後期ルネッサンス期の絵画が掲げられています。

       
橋の中央の礼拝堂         シュプロイヤー橋から見たイエズス教会

時間の関係でムーゼック城壁はパスして、旧市街の通りを湖の方へ。川沿いの旧市街中心部に立つ旧市庁舎は、15世紀初頭に建てられたイタリアルネッサンス様式の建築。1階にはギャラリーがあり見学無料とのことですが、まだオープン時間になっていません。市庁舎の横には新しい歩道橋が架かり、カペル橋の向こうにはリギ山の姿が見えます。

       
旧市庁舎         カペル橋の向こうにリギ山

ルツェルンシンボル、ロイス川に架かるカペル橋は、ムーゼック城壁とともにルツェルンを敵の攻撃から守るために、14世紀前半に造られたヨーロッパ最古の木造橋。名前の由来は、旧市街側の橋のたもとにある、ザンクト・ペーター教会のチャペル(ドイツ語でカペル)にちなんで名付けられたのだとか。

新市街から見た対岸の旧市庁舎 カペル橋と川の中に建つ塔

カペル橋もシュプロイヤー橋と同様に、それぞれの梁には絵が掲げられています。ルツェルンとスイスの歴史やルツェルンの守護聖人にまつわる伝説などを描いていますが、1993年の火災で橋とともに大半は焼け落ち、その後20年を経ても再建部分は木材が白いので、旧来の部分との違いがすぐにわかります。

見張り台として橋に隣接して建てられた八角形の塔は、時代に応じて監獄や拷問部屋、貯水塔などに用途を変え、今ではお土産屋さんになっています。

花で彩られたカペル橋 カペル橋近くのザンクト・ペーター教会

 

ライオン記念碑と氷河公園

カペル橋の周辺は、日中韓のパックツアーの団体さんでいっぱい。旧市街から離れて、ガイドに連れられた皆さんがゾロゾロ歩いていく方向に行くと、小さな公園のような所にライオン記念碑があります。今でも、バチカンはスイス人の傭兵が守っていますが、昔は出稼ぎが多かったそうで、18世紀末のフランス革命時にブルボン王家に仕え、パリで勇敢な死を遂げたスイスの傭兵を偲んで作られた記念碑です。砂岩の岩壁を掘った中に、矢を受けた瀕死のライオンが横たわります。

ライオン祈念碑 氷河公園

団体さんは写真を撮るとすぐに引き上げますが、すぐ近くに氷河公園がありスイスパスが有効とのことで行ってみることに。ガイドブックの地図が不適切で行きすぎてしまい、通行人や店で聞きまくり、最後にカフェのウエイトレスに教えてもらった場所は、ライオン記念碑のすぐ隣。貴重な時間をずいぶん無駄にしてしまいました。

氷河公園グレッチャーガルテンは、2万年前の氷河期にできた巨大な穴や、氷河によって運ばれてきた石がそのまま残された展示があります。屋内では、地質学や科学的観点から、氷河に関する情報を紹介している他、昔の民家の部屋を再現したコーナーも 。

       
ポットと呼ばれる渦巻く水の流れが作った穴

一通り見終わって次に行こうとしたら、管理人がこちらの部屋も見て行けと勧めます。入ってみたら何とそこは鏡の迷路。氷河には直接関係はなく、19世紀末のジュネーブ万博の展示物を移設したものらしく、頭をぶつけないように出口を探すのが大変。

昔の民家を再現したコーナー 万博の置き土産 鏡の迷路

 


 

 

 

 

 

  

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