“トルコ イスタンブール鉄道博物館” |
ボスフォラス海峡をはさんで、ヨーロッパとアジアにまたがるトルコ最大の都市イスタンブール。かつてはパリからやってくるオリエント急行の終着駅だった、ヨーロッパ側のシルケジ駅。
最近まで、イスタンブール近郊を走る国電のターミナルになっていましたが、2013年の秋にボスフォラス海峡トンネルでヨーロッパとアジアをむすぶ路線が開通してからは、国電のホームは地下に移りました。
▲ シルケジ駅 旧駅舎
トーマスクック時刻表2013年夏・秋(日本語版最終巻)に掲載されているシルケジ駅発着の列車は、ベオグラードとブカレスト行きを併結する夜行国際列車と、トルコとブルガリア・ギリシャとの国境までの列車のそれぞれ1本ずつだけ。でも、列車の発着がなくなってしまったアジア側の終着駅、ハイダルパシャ駅に比べれば、駅として生き残っているだけ、まだ良かったのかもしれません。
▲ 駅舎の横にはB型のタンク機関車が展示
赤煉瓦の駅舎は、19世紀後半の建築。横には小さな蒸気機関車が展示されています。でも、国電を利用する乗客は、この旧駅舎は使わずに、トラムの走る通りに面した新しい駅舎から地下深くのホームに降りていきます。
▲ 旧駅舎の内部
旧駅舎は、事務室の他、“ORIENT EXPRESS”の看板を掲げたレストランとして使われており、その一角にトルコ国鉄TCDDの鉄道博物館もあります。14年前に、国電に乗ってシルケジ駅に降り立った時には、レストランはあったものの鉄道博物館の存在には気付かなかったと思ったら、2005年のオープンだそうです。
▲ このドアが鉄道博物館の入口
開館は、祝日を除く火〜土曜。入場無料です。ドアを開けて中に入ると、職員が一人、他には誰も見学者はいません。目の前には、トルコ国鉄で活躍した通勤電車の運転台部分が鎮座しています。
▲ トルコの国電8027号の運転台部分
裏に回ると、この車両に付いていたプレートでしょう、フランスのアルストーム社1962年製の8027号です。14年前のシルケジ駅で撮った写真を見返してみると、塗色は異なっていますが、この型式の電車に乗っています。
▲ トルコの国電8027号の運転台内部
横には、大型模型も展示されています。同じ型式の新製時の姿でしょうか、実物は雨樋を追加して屋根上にヘッドライトを増設したようです。
▲ トルコ国電の大型模型
博物館は1部屋だけ。中にはいろんなものが雑然と並んでいます。鐘がぶら下がっていますが、ホームで発車の時に鳴らしたのでしょうか。説明がないのでよくわかりません。
▲ 駅の鐘
オリエント急行(トルコ語では ORIENT EKSPRES と書くようです)で使われていたナイフやフォーク等が展示され、当時の写真もあります。
▲ オリエント急行で使われたナイフやフォーク
食器も展示されているですが、これはオリエント急行のマークではないですね。
▲ オリエント急行のマークとは違うような…
食堂車のモックアップがありますが、窓枠やテーブルと椅子から見て、トルコ国鉄の食堂車を再現したものでしょうか。イスタンブール急行 イスタンブール ミュンヘン と書いた札が掲げられています。
トルコ国鉄の食堂車の再現でしょうか |
写真は、かつてのトルコ国鉄の看板列車でしょうか、国旗と同じ星と三日月ヘッドマークを掲げています。その横には車両のプレートや列車のサボも。
▲ 写真はトルコ国鉄の昔の看板列車でしょうか 車両のプレートや列車のサボも
▲ 車両に付いていた各種プレートから石炭ストーブまで
駅の備品でしょうか、電話器、タイプライター、ラジオ、時計、秤などなど。
▲ 電話、タイプライター、ラジオ etc. 駅の備品でしょうか
▲ 秤もあります
駅員か車掌か、国鉄職員の制帽や徽章も。
▲ 乗務員や駅員の帽子から徽章まで
昔懐かしい、Oゲージの三線式の鉄道模型があります。小さな路面電車は、新市街のイスティクラル通りを走る実物とは、型式が違いますね。
▲ 3線式Oゲージの鉄道模型
HOゲージのレイアウトもあり、見学客が運転できるようになっています。
▲ こちらはHOゲージのレイアウト
このように、駅舎の中の一部屋だけの小規模な鉄道博物館です。