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臨津江沿いの高速道路をソウルへ

バスに乗ってソウルに戻る途中、高速道路が臨津江の近くを通ります。タブレットの地図を見ていると、臨津閣からしばらく行くと臨津江の中を休戦ラインが通るようになり、対岸は北朝鮮。韓国側の高台には監視塔が建ち、川からの侵入を防ぐために岸には二重の鉄条網が張り巡らされ、一定間隔で監視塔が現れます。目の前に、この国の置かれている現実があります。

臨津江の対岸は北朝鮮 高台に建つ韓国側の監視塔
鉄条網が二重に 一定間隔で監視塔も

 


ソウル市庁徳寿宮

ソウルのロッテホテルに戻り、板門店ツアーは解散。すぐ近くのソウル市庁の旧庁舎前では、花を飾って何かのイベントが行われていますが、文字が読めず。

ソウル市庁前で何かイベントが 花で飾られた門

市庁の建つ交差点の向こうは、ソウル市内にある5大王宮の一つの徳寿宮。正門にあたる大漢門前で、門将の交代式が行われています。紅葉の名所とのことで入ってみることに。銀杏の葉が黄色く色づき見頃を迎えています。

ここは王族の邸宅であったものが、豊臣秀吉による壬辰倭乱(文禄・慶長の役)で多くの宮殿が破壊されたときに、臨時の王宮となり、それ以後宮殿としての性格を持つようになったのだとか。20世紀の初頭の火災で大半の建物が焼失し、その後の再建だそうです。

徳寿宮の正門 大漢門 徳寿宮の紅葉
紅葉のトンネル 中和門

中和門の向こうに建つ中和殿は、徳寿宮の正殿。天井には皇帝の権威を象徴する2匹の龍が刻まれています。ヨーロッパ式の庭園の背後に建つ、ソウルの宮殿には珍しい西洋建築の石造殿はイギリス人の設計だとか。

中和殿 天井には2匹の龍
西洋式の石造殿 徳寿宮の横 紅葉の石垣道

徳寿宮を出て、その外壁に沿った紅葉の道、石垣道を散策します。


ソウル歴史博物館のソウル市電381号

石垣道を通り抜けた先にあるのが、ソウル歴史博物館。大通りに面して、ソウル市電381号が保存展示されていますが、ソウル科学館の383号とは塗色が異なります。ドアが開放されていて、車内には博物館の職員でしょう、中年の女性が店番をしてるところは、梅小路公園の京都市電に通じるものがあります。

日本車両製で、もとは前後左右対称の3扉車を、非対称の2扉車に改造したようで、後部扉を閉めきるとともに、中央の両開き扉を側窓2つ1組後ろに移して、片引き戸に変更されています。

ソウル市電381号
ドアが開いていて車内に入れる 吊革やシート、室内灯も復元

日本車両が復元に協力したそうで、ソウル科学館の383号と違って車内の吊革、天井の照明や運転台のコントローラにブレーキ弁も復元され、座席にはモケットも張られています。これが半世紀近く前の、現役時代最後の姿なのでしょう。窓上には、1960年代の広告や路線図も。ソウル歴史博物館前の通りを市電が走っていた縁で、ここに保存されているのかもしれません。

座席にハングルで何か書いた札が置かれているので、念のために職員に“座っても良い?”と尋ねたら“ダメ”とのこと。一部に座席がなく、窓下に手すりが設置されていて、ラッシュ対策で撤去したのでしょうか。この部分に2体の人形が立っています。頭をかく学生に対して、車外には妹を連れ、赤ちゃんをおんぶして弁当を差し出す母親の姿が。

運転台には制御器やブレーキ弁も おーい 弁当を忘れているよ
窓の上には1960年代の広告や路線図

車内の職員に“博物館を見ていけば”と勧められたのですが、“今夜の便で日本に帰るので”と言って次に向かいます。あとでネットで見たら、ソウルの都市博物館だそうで、次の機会があれば訪ねてみましょう。

 

慶煕宮

ソウル歴史博物館の隣にあるのが、ソウル市内にある5大王宮の一つの慶煕宮。というか、慶煕宮の跡地の一部にソウル歴史博物館が建っているのだそうで。

17世紀に王室の離宮として建設されたもので、日本の植民地時代に破壊や移築でその姿が失われ、まだ1980年代末から始まった復元工事の途上なのか入場も無料。移築で復元された興化門をくぐり、崇政門を抜けると正殿である崇政殿。天井にはやはり2匹の龍の姿が。新築されたようでまだピカピカ。

興化門 崇政門
崇政殿 天井には2匹の龍

 


ソウル駅へ

慶煕宮からソウル駅に向かう途中で、京義線の踏切を発見。遮断機が下りはじめているのに踏切内に車が取り残され、係員が早く出ろと追い立てています。やがて、電気機関車に牽かれたムグンファ号(の回送?)がゆっくりと通過していきます。車両基地に出入りするKTXも、ここを通るのでしょう。

ソウル駅北の踏切 ムグンファ号が通過
最後尾の客車 ソウル駅

 

文化駅ソウル284

今までのソウル訪問時にはずっと閉鎖されていた、東京駅丸の内駅舎に似た赤煉瓦のソウル駅旧駅舎が、内部を改造して博物館とギャラリーを兼ね備えた“文化駅ソウル284”として再生オープンしたとのことで行ってみることに。ところが、入口が閉鎖され、一部開いている扉から荷物が搬出されています。その場にいた職員に聞いてみると、“チェンジ”と言っていたので、どうやら展示内容の変更のための改装で、一時閉鎖中らしく残念。また次回まわしとします。

文化駅ソウル284は改装中のようだった

ソウル駅のロッテマートで土産を仕入れ、地下鉄で一旦ホテルに戻ります。


空港鉄道A'REX

ホテルに預けていた荷物をピックアップして、金浦空港に向かいます。地下鉄5号線なら直通ですが、駅数が多くて時間がかかるので、新しく開通したソウル駅と金浦空港・仁川空港を結ぶ空港鉄道A'REXについてフロントで聞いてみましたが、ソウル駅での乗り換えが遠くて時間を要するので、トータルの所要時間は5号線と変わらないとのこと。

それなら新しい路線に乗ってみようと、地下鉄4号線でソウル駅へ。案内に従って乗り換え通路を行きますが、動く歩道があったりエスカレータがあったり、結構遠くて東京駅の京葉線に乗り換えのよう。

東京駅の京葉線のようなソウル駅の空港鉄道の乗り換え通路
スイング式ドアの自動改札機 中央に吊手の並ぶ一般列車の車内

乗り場は、直通列車 Express Train と一般列車 All Stop Train に別れていて、直通列車は仁川空港までノンストップのため金浦空港へ行くには使えません。一般列車の運賃は、地下鉄や広域電鉄線と共通。自動改札は、大きな荷物を持っていると通りにくい地下鉄のバー回転式に比べ、スイング式になって改善されています。

ガラス張りとはいえ、ホームドアのために車両がよく見えませんが、一般列車の両開き扉は日本や韓国のような戸袋式ではなく、香港やシンガポールをはじめとする東南アジア各国で一般的な外吊り式。ロングシートの車内にスタンションポールが立ち、吊手も中央に1列と、これも東南アジア式。今は、韓国鉄道公社が運行していますが、開業当時のA'REXは私鉄だったそうで、輸出車両の設計を取り入れているのかもしれません。

コーナーには大型荷物置き場も ホームドアで電車の撮れないA'REX
向かいは地下鉄9号線のホーム 帰りのアシアナ便の機内食

各駅に停まる一般列車でも地下鉄と比べると駅数は少なく、漢江の鉄橋を渡る前後には地上区間もあり、5号線に1時間乗り続けるより空港鉄道を使った方が快適です。

金浦空港駅の地下ホームは2層になっていて、上層、下層とも向かいの地下鉄9号線にホーム上で直接乗り換えができ、なかなか良くできています。でも、5号線もそうですが、駅から空港のチェックインカウンターまでがちょっと遠い。


旅のヒント

韓国鉄道公社も、海外から列車のネット予約ができ、日本語にも対応しています。韓国鉄道公社 予約サイトをクリックして日本語にすると、韓国鉄道乗り放題(広域電鉄線や地下鉄を除く)のKORAILパスの画面になります。一般の乗車券を予約する場合は、“乗車券”をクリックして日時や発着駅を入力して照会をクリックすると列車の候補が示されます。通常の列車以外に、DMZトレイン等も予約が可能です。この画面で表示されるハッピーレイルパスは、韓国在住外国人用のKORAILパス相当の乗り放題チケットです。

候補の中から、一般室か特室(連結していれば)を選び、氏名、性別、パスポート番号、国籍、メールアドレスを入力し、クレジットカードで決済すれば予約確認票の画面となり、これをプリントしてします。

e-ticketではないので、乗車前の発車時刻までに駅の窓口で、パスポートを見せて乗車券と交換する必要があります。自動券売機には対応していないようで、窓口の混雑を見越して余裕をもって駅に行く必要があります。

日本や台湾は改札があるため、JR東海のExperss ICを除いて、自動改札に対応した切符に交換する必要があるのはわかるのですが、韓国は広域電鉄線や地下鉄を除けばヨーロッパのように改札がなくなりました。e-ticketでそのまま乗車できるようにすれば、より便利になると思うのですが。

それに比べると、日本のJR各社で海外からのネット予約に対応できるのは、JR東の“えきねっと”の英語のホームページだけのようですが、他社路線のチケットでも受け取れるのはJR東の駅やビュープラザだけという、知らなければ酷い目に遭う可能性のある欠陥品です。エクスプレス予約など、ガラパゴスの典型でしょう。のぞみやみずほに乗せないジャパンレイルパスも含め、おもてなしや新幹線の輸出もいいですが、外国人を迎える基本を整備してもらいたいものです。

2015年11月旅
2015年12月記


お役に立つリンク集

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