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続いてディーゼルカーの登場です。 1920年代から高速化や支線での運用のためにエンジン付きレールカーの開発が始まり、FIAT、Breda、Officine Meccaniche(OM)などのメーカーがイタリア国鉄に納入しました。

正面にFIATのマークを掲げたALn556型1200番台は、1936年にフィアットが製造。両運転台で、ボギー台車の上に出力55kWのディーゼルエンジンを2台搭載。最高速度110km/h。クラッチや変速機、逆転機を電磁空気制御で遠隔操作し、重連総括制御が可能な高性能車。FIATのマークのところを開けると連結器のフックが出てくるのだとか。

日本の省電モハ52と同世代。世界的に流線型の流行った時代です。1976年まで運用。車内は公開していなかったので、トルコイスタンブールのコチ博物館で撮った同型の運転室や客室の写真をご覧ください

▲ フィアット製ALn556型1202号

同じALn556型のディーゼルカーで、車体のデザインの異なる2300番台は1938年から1940年にブレダが製造。95.5kWのエンジンを2台搭載し、最高速度140km/h。1980年代まで現役だったとか。

▲ ブレダ製ALn556型2312号

台車の上に乗ったエンジンには、大きなラジエターが目立ちます。走行中にカーブでは、エンジンも一緒に首を振る構造ですね。

▲ 台車に搭載されたディーゼルエンジン

正面にラジエターグリルの無いLn55型は無動力のトレーラー。ディーゼルカーに牽かれて走ったのでしょう。

▲ Ln55型104号

ALn772型はALn556型の改良版。1940年から1957年にOfficine Meccanicheが製造。110kWのディーゼルエンジン2台で最高速度130km/h。エンジンを車体の正面、運転席の横に搭載した最後の型式。

▲ ALn772型3375号

ALn880型は1950年から1953年にブレダが製造したディーゼルカー。315kWのエンジンを床下に搭載することで騒音の軽減になったとか。最高速度130km/h。ローカル線で1985年まで使用。

▲ ALn880型2018号

 

ALe792型はこの博物館で唯一の電車。1935年にブレダが12製造した流線型の両運転台車で、出力375kW、最高速度115km/h。車内や運転席にも立ち入れます。イタリアの鉄道は日本と同じ左側通行ですが、制御器とブレーキ弁の配置が日本とは左右逆ですね。

側窓は、窓下のハンドルを回して開閉するのでしょうか。

 

▲ ALe792型004号

 

▲ 運転席

 

▲ 車内はボックスシート 窓の下にハンドルが

 

客車も展示されています。

濃紺のボギー客車はフィアットがイタリア王国時代の1929年に、王室用に製造したサルーンカー。戦後に共和制に移行後は、大統領用の車両になったとか。車内には、長いテーブルと椅子がセットされています。

 

▲ サルーンカー

 

▲ サルーンカーの車内

デッキがなく、側面に各コンパートメント毎に開き戸を有する茶色のリベットどめ車体のボギー客車、ABz66.546は1936年製の1等、2等、3等合造車。1等は4人、2等は6人のコンパートメントで、3等は中央通路の両側に4人のボックスシートを有する開放室。シートの間隔が同じですね。

 

▲ ABz66.546

 

▲ 1等室

 

▲ 2等室

 

▲ 3等室

上の客車とよく似たリベットどめ車体の3軸車は、各ドアにIIIの標記がある3等車。

 

▲ 3軸の3等車

溶接車体になって、広いデッキのある緑の客車。端面の窓に庇とワイパーがあり、その下にはヘッドライトも付いているので、機関車とセットでプッシュプルで運行する制御客車でしょうか。車内はボックスシートで、網棚は座席の直上。

 

▲ プッシュプルの制御客車?

 

▲ 広いデッキ

 

▲ ボックスシートの客室とトイレ

木造車体の3軸客車Uy2-007は郵便車。端面の高い位置に取り付けた小部屋は何でしょう。

 

▲ 3軸の郵便車 Uy2-007

3軸のワークショップカーVLy800.087は、1941年にピエトラルサ工場で製造した修理をした機関車の試験に使う車両。

 

▲ 3軸のワークショップカー VLy800.087

扉が車体中央のみで窓が極端に小さい特殊な2軸客車、K48-114号は囚人護送車。囚人は鍵のかかる小部屋に収容され、ドアに部分には看守の席が設けられているようです。

 

▲ 2軸の囚人護送車 K48-114号

 

▲ ドアの前の看守の席と囚人の部屋

2番目の展示館から外に出ると、海の向こうに広がる市街地を背景に、ナポリ王フェルナンド2世の像が立っています。

 

▲ ナポリの市街を背景にナポリ王フェルディナンド2世像

 

3番目の展示館に入ります。

箱型車体に軸配置BBのD342型は、1957年から1959にアンサルドが17両製造した液体式のディーゼル機関車。出力590kW。最高速度110km/h。

 

▲ D342型4011号

箱型車体に軸配置BBのD341型は、1957年から1963年にフィアット、アンサルド、ブレダ等のメーカが105両製造した、イタリアで最初の電気式ディーゼル機関車。出力はメーカーにより異なり970〜1076kW。最高速度110km/h。1991年まで使用。

 

▲ D341型1016号

L型車体で軸配置Cのロッド式325型は、1957年から1960年に45両製造した入れ換え用ディーゼル機関車。出力348〜400kW。最高速度40km/h。

 

▲ 325型3005号

L型車体で軸配置Bのロッド式、215型入れ換え用ディーゼル機関車。

 

▲ 215型006号

機械のようにも見えますが、207型のナンバープレートがあるので入れ換え用の機関車でしょう。

 

▲ 207型020号

工場で使用していたと思われる機械類も残されています。

 

▲ 整備工場で使用していた機械類

アクリルケースに収められた大型の車両模型。

 

▲ 車両の模型が並んでいる

蒸気機関車、電気機関車、ディーゼルカーや電車の他に移動変電所らしきものや車両のカットモデルも。

   
   
   
   
   

▲ 各種模型車両

ETR300型セッテベッロの編成。これを真似て日本でも小田急ロマンスカーや名鉄パノラマカーができました。

 

▲ ETR300型セッテベッロの模型

ジオラマもあるけど、入館客がほとんどいないので動いていません。

 

▲ ジオラマ

ミュージアムショップでは、こんなものがならんでいます。

 

▲ 売店の品物

同行者とのナポリ中央駅での待ち合わせ時間が近づいてきたので、1時間半ほどの駆け足見学を切り上げピエトラルサ駅に戻ってきました。

 

▲ 向かいのホームにやってきたサレルノ方面の列車

向かいのホームからサレルノ方面の列車が発車した後、一人の男性が声をかけて来ます。イタリア語は解らないものの、彼が指差している先にあるLEDの時刻表示を見ると、アッ! 1時間間隔だと思っていた列車が、何故かこの時間だけ抜けている!

 

▲ イタリア鉄道の職員が声をかけて来た

鉄道の職員が忠告してくれたらしく、彼の後を追いかけ“ナポリ・チェントラーレ”と聞くと、メモ用紙に書いてくれた時刻までまだ1時間以上。隣のナポリサンジョバンニバッラ駅で折り返す列車があることを思い出し、1駅間歩こうと広い通りに出たところに停留所。トロリーバスがやってきました。

1日券を持っているのでこれに乗り、Google mapにGPSを重ねて見ていると海岸沿いの道を都心方面に向かっています。

 

▲ トロリーバスでナポリ中央駅まで帰ることができた

途中から、道路の中央でトラムの線路が工事中。トロリーバスもポールを降ろしてエンジンを起動し、バスに変身して走行。ナポリ港に向かう通りから、三叉路を曲がってガリバルディー広場で下車。広場の向こう側はナポリ中央駅。無事に帰ってこられた、やれやれ。

ピエトラルサ国立鉄道博物館へは、ガリバルディー広場のバス停から254番のトロリーバスでも行けそうですね。

ピエトラルサ国立鉄道博物館の公式ホームページは、こちらにあります


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