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上海からT99次特快で広州へ

上海駅の構内に入るには、例によって手荷物のX線検査が待ち受けています。エスカレータで2階に上がり、案内表示に従って乗車する列車別に分かれた待合スペースに向かいます。

乗車する上海始のT99次特快は、1997年の香港の英国から中国への返還に合わせて運航を開始した北京発のT97次特快の姉妹列車で、交互に広州東行きと香港行きを隔日で運行。上海−広州東間は、他の快速列車等が18〜23時間要するのに対して、T99次特快は上海18:20発−広州東10:17着停車駅は金華西と株洲の2駅のみ。仙台−鹿児島間に相当する1800kmを16時間で走破します。評定速度113km/h。

香港行きの運行日には、一等寝台である4人部屋個室の軟臥車は広州東で分割する香港行きに連結され、上海駅で出境手続きを行うため、広州東までの乗客は利用できません。そこで、全編成が広州東行きとなる日を選んでスケジュールを立てました。

上海の玄関 上海駅 入り口で手荷物のX線検査
エスカレーターで2階へ T99次特快の待合室は大混雑

T99次特快の待合スペースはすぐに見つかりますが、そこには日本の高度成長期、帰省ラッシュ時の上野駅のような光景が広がっています。人と荷物であふれ、ベンチは先に占領され床に座る込んでいる人も。本数が多いのと運賃が高いことで空いている中国新幹線が別格で、中国の鉄道は今でもこの状態があたりまえの世界でしょう。

発車時刻が近づくと改札が始まり、大きな荷物を抱えた乗客が一斉に殺到します。寝台は確保されているのだから、嵐が過ぎるまでしばらく待ってから改札を抜けてホームにおります。T99次特快は上海駅発の看板列車なのでしょう、一番駅舎よりのホームで乗客を待っています。数えてみると、客車は実に19両。先頭に立つのは韶山9型でしょうか、赤い電気機関車はホームからはみ出ているので、遠い先頭まで写真を撮りに行くのは諦めます。

車両の側面窓下の“上海−広州東”のサボは、ステッカーが貼り付けられています。この客車は、T99次特快の広州東編成専用車のようです。停車中は、各車両デッキの入り口に号車札を差し込み、車掌が立って乗客の切符をチェックします。

1番線に停車中の広州東行きT99次特快 機関車はホームからはみ出ている
上海−広州東のサボはステッカーが貼ってある 各車両の入り口に車掌が立つ

指定された寝台は、依頼した旅行会社が発売と同時に確保してくれたのか、9号車の1番。4人部屋の個室で、希望通りの下段です。既に3人の先客が乗っていて、ニーハオと声をかけて入ると、乗客の一人の若い女性が“日本の方ですか”と日本語で話しかけてきます。彼女は中国東北地方の出身で、日本の中国地方の国立大学に留学して学位を取得し、上海の大学に赴任してまだ半年の若い李先生で、日本語を話すのは半年ぶりとのこと。出張のため、広州から高速列車に乗り継いでマカオの隣にある珠海まで行くのだとか。軟臥は料金が高いので、乗るのは公費が使えるときですね。

上海駅では軟臥の乗客にはVIP(と彼女は言っていました)待合室があり、一般の乗客より先に、階段を使わずに直接ホームに入って乗車できるのだと教えてもらいました。そういえば、21年前に上海駅から軟座に乗ったとき、乗車前にガイドに案内されてフカフカソファーのラウンジを使った記憶があります。

     
軟臥車の廊下       軟臥車の4人個室

在来線の軟臥車も、新しい客車には新幹線の寝台並みに各ベッドに液晶モニターを備えています。でも、そのおかげで廊下の天井の収納スペースが少なくなって、ベッドの下に入らない大きな荷物を持ち込むと困ることに。相変わらず上段のベッドに上がる梯子はなく、液晶モニタ横の小さな折りたたみステップに足をかけてよじ登ります。

発車すると車掌が検札にきて、切符を預けて換票証をもらいます。車掌は切符を管理して、途中駅で下車する乗客を起こしに来てくれますが、今回の乗車は終点まで。この列車の換票証はプラスチックのカードで、中国独自開発の動力集中式の高速列車でしょうか、新曙光のデザインです。

各ベッドに液晶モニター付き 車掌が切符と交換に渡す換票証

大学の李先生(中国語で先生は男性の敬称ですから、李女士ですかね)との会話です。独り言以外で日本語を話すのは4日ぶり。彼女は7ヶ月ぶりの日本語と言っていましたが、日本の大学院のときは各地を旅行し、SL人吉にも乗ったそうです。大学院の修了から上海赴任までの時間が短く、計画していた北海道旅行に行けなかったのがとても残念とのこと。中国人には北海道が人気ですね。

復旦大学や上海交通大学などと違って、彼女の大学は有名校ではないため地元の学生が大半で、講義は標準語(北京語)で行うものの、学生同士の会話の上海語が理解できないことが悩みだとか。“私にとって上海は外国です。日本が懐かしい”と言うのも、あながちリップサービスではなく、広い国土を持つ国民の悩みなのかもしれません。

 

T99次特快の食堂車

夕食は食堂車へ。李女士は、食堂車の料理は高くておいしくないとのことで、持参のカップラーメンにするのだとか。

ワープロ打ちのメニューを見て、スープと炒め物(青椒牛肉絲)にご飯、それにビールを注文します。何故か、バドワイザーが出てきましたが、グラスはなし。上海鉄路局持ちの食堂車の料理は46元で、コストパフォーマンスは良くないものの、味はまずまず。

食堂車で夕食 46元 売店の中は物置状態

食堂車の車端部には、椅子が3脚だけですがカウンター席もあり、向かいの売店とともに使っている形跡はなし。物置状態です。

上海を発車してから3時間、最初の停車駅は金華西。ここで降りる人はいないようです。夜が更けてくると消灯。

片隅にカウンター席もある 最初の停車駅 金華西

翌日、目が覚めると雨が降っていて、列車の進行方向が逆になっています。深夜に株洲に停車したことには気付かなかったのですが、ここで付け替えたのか、カーブで見える先頭の電気機関車が赤から青に変わっています。次の停車駅は終点広州東。

食堂車の西式早餐の朝食 20元 朝食を積み込む車販のワゴン

再び食堂車へ。朝食のメニューは、目玉焼きに食パンとジャム、コーヒー(インスタントだった)の西式早餐と、お粥に漬け物、焼きそばの中式套餐、それに湯麺です。20元の西式早餐を選んだけど、10元の湯麺の方が人気がありますね。

食堂車で作ったお粥や暖かい弁当をワゴンに積んで、車販が出発します。でも、乗客の多くはカップラーメンを持ってデッキの給湯器へ。

こちらは一般の車半のワゴン 給湯器でカップラーメンをつくる

 

T99次特快は遅れて広州東へ

食堂車から帰ると、李女士が困った顔をしています。列車が1時間以上遅れているのだそうで、広州南駅から予定の高速列車に乗り継げないと会議に間に合わないとか。私の持ってきた地○の歩き方で広州の地下鉄路線図を見ると、この列車の着く広州東駅と広州南駅の間は1号線と2号線を乗り継ぎ、この間に19駅もあって遠そう。上海にいる旦那にメールして、次の接続列車を調べてもらっています。

車窓に高速鉄路の路線 東風4型DLと貨車
入れ換え用DLと貨車 和諧号EL

私は先を急ぐわけではないので気楽なもの。過ぎゆく車窓に目を向けると、高速新線が近づいたり、通過する駅にはおなじみの機関車や珍しい事業用車が停車していたり。

工事用?レールバス 終着広州東駅に到着

車掌が切符を戻しに来て、街中に入り、高速列車のCRH1と頻繁にすれ違うようになると、1時間10分遅れて、終着広州東に到着です。李女士とはここでお別れ、彼女は広州南駅までタクシーを飛ばすこのこと。ホームに降りて先頭まで行ってみると、牽引機は韶山8型電気機関車に交替していました。

先頭は韶山8型ELに交代していた 人民元と香港ドルの窓口が並ぶ広九直通車の切符売り場

広州東駅では、北京駅で入手できなかった翌日の香港行きの切符の購入です。広九直通車の売り場は、中国国内の路線とは別の場所にありました。通貨別に、中国人民元と香港ドルの窓口があり、人民元の方に並びます。翌朝9:03発のT807次准高の切符が入手できました。

お昼時になったので、駅構内の永和大王でソーセージパンとスープの昼食にします。

駅の永和大王で昼食

 


地下鉄1号線で陳家祠へ

地下鉄1号線でホテルに向かいます。券売機でICチップ入りのトークンを購入し、自動改札を通ります。北京や上海地下鉄のような手荷物検査はありません。南京と同様にホームドアのため、電車の写真は取りづらい構造です。

広州地下鉄の切符はICチップ入りトークン ホームドアの地下鉄1号線

電車のシートは、ステンレスのツルツルです。ホテル最寄りの陳家祠駅で下車して地上に出ると、外は猛烈な雨。地元の人と一緒に20分ほど、地下鉄構内で雨宿りをしていると小降りになります。広州は熱帯であることを思い知らされます。

地下鉄はステンレスの座席 豪雨でしばし雨宿り

 


 

 

 

 

 

 

  

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