それでは、鉄道車両を見ていきましよう。ミラノの公共交通機関として、レールの上を走る鉄道馬車が開通したのは1860年。ここにある鉄道馬車の客車は1885年製。ミラノからその北東16kmにあるモンツァを2時間で結びました。車輪が小さいですね。
▲ 鉄道馬車の客車
▲ 鉄道馬車の車内
19世紀末になると、動力が馬からより強力で経済的な蒸気機関に交代します。軸配置Bの小さな蒸気機関車を箱形の車体の中に納めたスチームトラムは1909年製で、一度に何両もの客車を牽引しました。連結しているのは、1921年製のオープンデッキの2等客車。車内は上の鉄道馬車の客車より簡素です。
▲ スチームトラム
▲ スチームトラムが牽くオープンデッキの2軸客車
▲ 客車の簡素な車内
イタリアの蒸気機関車は、機関車トーマスのようにカラフルな英国等と違って、日本と同様に黒。前面と動輪の赤がアクセントになっています。
軸配置2Bのテンダ式蒸気機関車552型036号機は1900年製。1890年から1914年まで毎週、英国のロンドンからインドのボンベイ(ムンバイ)までのメール(郵便車と寝台車に食堂車の編成でフランスとイタリアを通過して船に乗り換えスエズ運河を渡る)を、ミラノからイタリア半島のかかとに位置するブリンディジまで牽引しました。大きな動輪で最高速度は100km/h。
▲ 552型036号
軸配置1C1のテンダ式蒸気機関車685型600号機は1908年製。高出力と高速性能から、ローマ-ナポリ間の幹線等で活躍しました。685型が引退したのは1968年。
▲ 685型600号
軸配置Eのタンク式蒸気機関車470型092号機は1908年製。イタリア北西部山岳地帯の急勾配区間で使用され、重量軽減のために2軸の水槽車を別に連結する構造です。石炭はキャブの前方、ボイラの上に乗った四角い箱に積載したのだとか。
▲ 470型092号
▲ 470型092号
水槽車にも乗務員室なのか荷物室でしょうか、部屋が付いています。バック運転の時はこの水槽車を反対側、ボイラの前に連結している写真があります。ちょっと変わった機関車です。
▲ 470型092号の水槽車
▲ 470型092号の水槽車
軸配置1Cのタンク式蒸気機関車880型159号機は1914年製。 ローカル線で短編成の列車の牽引が主な仕事。1930年代になるとディーゼルカーやディーゼル機関車に交代していったものの、1970年代まで生き残っていました。
▲ 880型159号
軸配置2C1のテンダ式蒸気機関車631型022号機は1914年製。 イタリア製では最速の幹線の旅客用蒸気機関車。ミラノ-ヴェネツィア間やミラノ-ボローニャ間で1950年代後半まで活躍しました。
▲ 631型022号
▲ 631型022号のテンダ
▲ 631型022号のキャブ
軸配置Cのタンク式蒸気機関車250型05号機は、北ミラノ鉄道で活躍した1917年のドイツ製。煙室扉が観音開きになっています。北ミラノ鉄道は1877年に開業した鉄道馬車がルーツで、本機は1952年に電気機関車と交替。
▲ 250型05号機
250型05号機の後ろに連結しているのは、2軸でオープンデッキの北ミラノ鉄道の客車。
▲ 北ミラノ鉄道の客車
軸配置1D1のタンク式蒸気機関車940型001号機は1922年製。ローマからイタリア半島を横断してアドリア海に面したペスカーラを結ぶ路線で、急勾配区間の補機として活躍しました。
▲ 940型001号
軸配置1D1のテンダ式蒸気機関車746型031号機は1923年製。 第二次大戦後に大出力の電気機関車が登場するまでは、イタリアで最大かつ最速の機関車で、1957年までミラノからバーリ、ターラント、シチリア島への路線をはじめ、イタリア国鉄の主要幹線で急行列車を牽引しました。
▲ 746型031号
軸配置Cのタンク式蒸気機関車835型186号機は、駅や貨物ヤードでの入れ換え機。製造年の記載がありません。
▲ 835型186号