HOME 1/15page 2/15 3/15 4/15 5/15 6/15 7/15 8/15 9/15 10/15 11/15 12/15 13/15 14/15 15/15page
ジェノバ・プリンチペ駅の西側のトンネルのすぐ上に、赤い小さな電車が停まっています。プリンチペと丘の上のグラナローロを結ぶ鉄道です。施設の更新のために部分的に運休していたようで、全線の運行を再開したのは2012年11月中旬。訪問の10日ほど前です。
全長1136mで高低差が194m。平均勾配16%、最急勾配21.4%、スピードは7.2km/h。線路幅は1200mmで、全線に渡ってラックレールが敷かれ、電車の車体もケーブルカーのように勾配にあわせて段差を設けた2軸の単車です。架線電圧550Vのパンタグラフによる集電ですが、何故か下り側にはトロリーポールも付いています。1929年のプレートを貼った車内は木製。定員45人で、ロングシートにもクッションはなし。でも、なかなか良い雰囲気で、楽しい乗り物です。
トンネルの上に登山電車の始発駅 | 単行運転の可愛い電車 |
登山電車の運転台 | レトロな車両は1929年製らしい |
電車は吊りかけ音をうならせて、ゆっくりと急勾配を登ります。地元民の足となっているようで、途中に7個所の駅があり、うち3個所は2012年に新設しています。途中駅では一定の乗降がありますが、運転士と乗客はみんな顔見知りなのか、降りる駅を心得ているようです。
中間に交換可能な場所もありますが、ポイントの構造から見てケーブルカーと同様に車両によって通過する方向が決まっている様です。でも、上から降りてくる電車はありません。現行ダイヤでは1両だけが平日は40分ごとに、日曜日は1時間ごとに往復しています。
車内は段差がついている | ラックレールを頼りに急勾配を登る |
高いところまで登ってきて、乗客が全員降りたので終点と思って私も踏切のところで下車しました。実際の終点は、もう一駅先だったようです。と言っても、50mほど先の駅舎があるところですが。最終区間は併用軌道になっていますが、2本の線路の間にはやっぱりラックレールが。
併用軌道を終点のグラナローロに向かう | 終点の丘から見下ろすジェノバの街と地中海 |
踏切から道路を少し上ると、眼下にジェノバの街や港が広がりますが、朝は太陽が向こうから照らして逆光となるのがちょっと残念。
電車の写真を撮っていたら、出発準備中の運転士がここから乗れと手招きしてくれますが、勾配を下りてくる電車を撮るため、踏切脇のホームから乗車します。カンカンと警報機が鳴りはじめ、正面の窓越しに運転士がハンドブレーキをゆるめるのが見え、電車はソロソロと勾配を下りてきます。
丘の上のグラナローロ駅 | 下りの客は一人だけ |
発車すると、運転士はコントローラを逆転の電気ブレーキの位置に入れ、吊りかけモータ音がうなります。下りの電車には乗客は私だけ。乗降客のない駅は通過です。そういえば、上りの電車から線路の脇を降りてくる人をよく見かけたので、皆さん下りは歩いて上りだけ電車を使うのかもしれません。
終点が近づくと、ぎりぎりまで電気ブレーキを使って減速し停止します。トリノの登山電車もそうですが、こんな旧式のシステムで安全運行を続けているイタリアに拍手を送りたくなります。急勾配を上り下りする登山電車を動画でごらんください。
プリンチペとグラナローロ上り下りする登山電車
次は、ジェノバの高台にあるマニン駅から出ているジェノバ-カッセラ線の郊外電車を見に行きます。あらかじめネットで調べて、マニン駅へは33系統の市バスで行けることがわかり、通る停留所の一覧を市内の路線図とあわせてホームページからプリントしてきました。
でも、始発のジェノバ・プリンチペ駅前広場で33系統のバス停を探しても見つかりません。近くにいる運転士にプリントを見せて尋ねると、36系統に乗れと言います。路線図では、36系統は33系統の区間運転のように描かれていますが、系統番号が変更になってホームページが更新されていないのか。
36系統のバス | ジェノバ-カッセラ線のマニン駅 |
36系統のバスに乗ると、街の中心には向かわずに、駅の背後の急勾配の道を上っていきます。どこかで見たところだと思ったら、先ほどエレベータで上がった城の横を通ります。路線図を見ながら降りるところに近づいたかなと思っていたら、運転士が教えてくれました。
バス停からマニン駅への道は、街角に表示が出ていますがちょっと複雑。ちょうど電車が発車したあとで、運転間隔も2時間近く開き、駅には人はいません。改札口がないことを幸いに、駅の構内に入って車両の撮影です。両運転台の電動車がクモハニが付随車サハを牽引する運転のようで、どれも良く年季の入った車両です。車体への落書きがすごいですが、車内はきれいに保たれているようです。構内の先の方には廃車体の姿も。
マニン駅の全景 | 後方の丘陵地帯に集合住宅が並ぶ |
付随車 | 丸い電動車 向こう側は仮台車を履いている |
角張った電動車 | 上と同型だが廃車体? |
古風な付随車 | 車内は木製 |
再び36系統のバスに乗り先に進むと、山から降りて街中に戻ります。地図で見ると、道路トンネルの向こうにケーブルカーがあるような。36系統はジェノバ・ブリニョーレ駅に向かうので、ロータリーのある交差点で下車してトンネルをくぐるバスに乗り換えます。
トンネルを向こうに抜けたところで下車して、ケーブルカーの駅を見つけました。大勢の乗客が待つ中に、小さなケーブルカーが降りてきます。これも1日乗車券で乗れるので、上に登ってみますが、ケーブルカーの距離は短く終点は住宅地、というか、先ほどマニン駅に向かう36系統のバスで通ったところです。視界もきかないのですぐさま折り返し。
ちょっとわかりにくいケーブルカーの入口 | 小さな車両が降りてきた |
段差のある車内はロングシート | 中間で交換 |
ケーブルカーの駅の横にエレベータの入り口があり、PANORAMA DELLA CITTAと書かれています。街を見下ろすパノラマが期待できそうです。崖の下を掘り進んだ歩行者トンネルが奥へと続いていて、行き止まりに2台のエレベータがあります。壁面には自動券売機と黄色い刻印機も。こちらは上下に動くだけで、座席はありますがつり革はなし。
道路トンネルの右 エレベータの入口にPANORAMA DELLA CITTA |
右に券売機と黄色い刻印機 |
座席付きのエレベータ車内 | 地面を突き抜けたエレベータの出口 |
エレベータが垂直のトンネルを上に突き抜けると、降り場は3方に市街地や港の見渡せるガラス張りの展望台になっていて、眼下にジェノバの街や港、その先には地中海が見渡せます。あっ、この場所はBSテレビ番組の世界ふれあい街歩きで見た。
ジェノバ旧市街方面の展望 | 大型船も停泊するジェノバ港の向こうは地中海 |
展望台の背後は公園のようになっていて、近くにもう一台のエレベータがあるはず。古い二階建てビルの中に見つけました。今度は箱が大型で木造の古風なタイプ、やはり垂直に地中深く降りていきます。
近くにもう一個所のエレベータ | エレベータ乗り場 |
エレベータから下りると、水平の歩行者トンネルが延びていて外に抜けるようになっていますが、このトンネルが山の中で道路トンネルと平面交差していて、信号付きの横断歩道まであります。クルマは、トンネルの中で信号待ち。おそらく、旧市街の裏山にバイパスの道路トンネルを掘ったときに、エレベータの歩行者トンネルとの平面交差ができたのでしょう。
エレベータはクラシックな木製の内装 | バイパスのトンネル内に エレベータから外に向かう歩道の交差点 |
エレベータから外に向かう長いトンネルの歩道 | トンネルから左奥の階段下に出てきた |
横断歩道を渡ってさらに歩行者トンネル進むと、旧市街にある建物の1階からキオスクのあるガリバルディー通りに面した広場に出てきました。ちょっとした迷路です。