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ゴルムド(格爾木)駅

ゴルムド駅には翌朝8時20分頃に到着します。広い中国で使われている時間は北京時間のみ。秋分の日が近いこの時期、北京から遙か西に離れたゴルムドの朝8時はまだ太陽高度が低く、ホームに影が長く伸びています。

この駅では、機関車を一般用から高地専用の米国GE製NJ2型と付け替えるため、20分間の停車時間がとられています。最前部の15号車まで移動してデッキで待ち、車掌さんがドアを開けると先方の機関車に駆け寄ります。

       
ゴルムド駅舎         チベット文字を併記した駅名標

西寧からゴルムドまでN919次快速を牽引してきたのは、日本の国鉄特急色の東風4Dディーゼル機関車の重連でした。すぐに切り離されて引き揚げていきます。ホームには、大勢の乗客が外の空気を吸うために下車していますが、わざわざ最前部まで機関車の交換を見に来たのは私の他には1人だけ。

ゴルムドまで重連で牽引してきた東風4D型ディーゼル機関車 切り離された東風4D型が引き上げていく

現在では、西寧−ゴルムド間は複線電化され、この間の牽引機は電気機関車に交代して、スピードアップされているとのことです。

ホームに残された客車の方を振り返ると、向かいのホームに何台ものバキュームカーが停車し、ホースが線路の上を跨いでトイレの汚物を抜き取っています。環境に配慮してか、青海チベット鉄道の客車は、新幹線なみにタンク式のトイレを備えています。

バキュームカーで汚物の抜き取り中 機関車の駐機場

ゴルムド駅の3面5線のホームの向こう側は広い操車場になっていて、貨車がならんでいます。青海チベット鉄道はチベット自治区との間の貨物輸送の大動脈です。

操車場には貨車がならぶ 汚れたタンク車

また、ここは保線等の基地でもあるのでしょう。駅の片隅の屏で囲まれた基地の中に、レールバスのような業務用のディーゼル車も待機しています。片運転台で、屋根上にエアコンを乗せている車両もあります。

レールバスのような業務用ディーゼル車

東風4D型が引き揚げた駐機場から、客車と同じダークグリーンに黄色の帯、片運転台のND2型ディーゼル機関車の70号機と73号機を背中合わせに連結した重連が出てきます。ヘッドライトが6灯も付いていて、中国では珍しく正面貫通式です。青海チベット鉄道の写真では3重連で牽引する列車の姿も見かけますが、正面窓下の小さな貫通扉から隣の機関車に移動可能なようにしているのでしょう。

青海チベット鉄道 ゴルムド−拉薩間の高地専用機 NJ2型ディーゼル機関車
NJ2型の運転台 NJ2型の連結面

機関車が連結されたのを見つけて、ホームに降りて一息入れていた乗客が写真を撮りに集まってきます。この先、5000mの峠を越えて拉薩まで14時間の長い行路の途中に乗務員が交代する駅は無いと思いますが、運転台を見ると機関士は2人乗務のようです。

NJ2型73号機が先頭に立つN919次快速
ホームの売店 車掌が入口に立つ

客車のドアは1両おきに開け、車掌さんが立ちます。ホームとの間に板を渡して赤い絨毯をひくのは、他の列車ではあまり見かけません。

3号車までホームを歩いて戻る時に、窓越しに様子をうかがったところ、プラチナチケットといわれる軟臥車でも上段の寝台には使われた形跡の無い部屋もあり、臨時列車のN919次快速には空席が目立ちます。


ゴルムドを発車した天空列車

西寧から西に向かって進んできた列車は南東に向きを変え、ゴルムドから先はいよいよ2005年に開通した区間です。これから列車は標高4767mの崑崙山峠に向け、2000m近い登りの行路が始まります。青海チベット鉄道の概略地図は、風の旅行社のサイトに解りやすく掲載されています

硬臥車の車窓 砂漠地帯を行く

ゴルムドから先の車窓には、砂漠地帯が続きます。線路の横を拉薩に向かう西蔵公路が並行しますが、車の通行はあまり見かけません。青海チベット鉄道が開通するまでは、長時間バスに揺られて拉薩に向かったのでしょう。車内のLED表示を見ると、列車は90km/hで快調に走行し、4軸の大型タンクローリー車を追い抜いていきます。

拉薩に向かう道路が線路と並行 タンクローリーを追い抜く

乾燥地帯のようですが、激しく浸食を受けた山容も見られ、豪雨になることもあるのでしょう。線路は築堤の上に敷設されていますが橋梁部分もあり、野生動物の通行を妨げないように配慮しているのだとか。

カーブで前方に見える機関車を撮ろうとしても、ガラスの反射でうまく写せません。

       
浸食を受けた山         窓越しの撮影
       
雪山の手前にこれから通る線路         窓越しの撮影

 

トイレの窓から列車の写真

新幹線タイプの車両以外では、未だにトイレが垂れ流しの中国にあって、青海チベット鉄道のトイレはタンクを備え、飛行機のような真空式になっています。以前の中国の夜行列車では、一夜明けて翌朝になるとトイレの惨状は外国人には耐えられないものでしたが、この列車では車掌さんが定期的に掃除をしてくれているのか、許容範囲に収まっています。

真空式のトイレ 手前の窓枠にピントが合ってしまった

そのトイレの窓の上部が、内側に少しだけ開くのを見つけました。この隙間ではデジイチは通りませんが、コンパクトデジカメなら何とか外に出すことができます。背面の液晶画面は見ることはできないものの、適当に前方に向けて何回かシャッターを切ると、カーブにさしかかった列車が先頭まで写った写真が得られます。よく見ると、手前の窓枠にピントが合ってしまっているので、オートフォーカスを切って無限遠に固定。

砂漠地帯を行くN919次快速

列車がカーブにさしかかるのが見えるとトイレに駆け込み、窓の隙間からコンデジを外に出して手探りでシャッターを押した中から何枚かご覧下さい。

山が迫る 工事関係者でしょうか
築堤と鉄橋を行くN919次快速 9号車と8号車のトイレの窓も開いている

写真をよく見ると、他にもトイレの窓の上部が開いている車両がありますね。列車の最後部のデッキから流れゆく車窓の写真を見たこともありますが、拉薩行きは電源車が最後部となるため、乗客は立ち入ることができません。

上り勾配が続く線路 雪山が迫ってきた

列車は徐々に高度を上げ、雪山が近づいてきます。


 

 

 

 

 

 

  

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