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バスと地下鉄で台北駅へ

歩き疲れたので、近くの圓環の停留所からバスに乗って、行きつけのパイナップルケーキ専門店で土産を仕入れるため、中山に向かいます。台北でも低床バスが増えています。LEDの方向幕に、行き先と低床車を表す“低地板公車”を交互に表示しています。

台北のバスも低床車が増えた 低地板公車というらしい  この車は日本の市内バスよりシートが立派

悠遊卡の残額が少なくなってきたので、チャージします。この加値機は、悠遊卡を指定の場所に置いて現金を入れるタイプ。地下鉄で台北駅に向かいます。ホームドアの工事中。旧来の路線でも、設置駅が増えてきました。

加値機でICカードにチャージ ホームドア工事中

車内は、扉間に背中合わせのクロスシートが1組のセミクロスシート。台湾以外でこの配置は見かけませんが、混雑対策かオールロングシートへの改造車も増えてきました。昨日下車した、台北駅に隣接する台北轉運站(台北バスターミナル)には地下でつながっていて、地下と1階はショッピングモール、上層階はホテルの複合ビルで、台湾各地に向けて各社の高速バスが頻発しています。

       
台湾式セミクロスシートの車内         台北轉運站(バスターミナル)

 


台北駅の保存車両

台北駅東側の出口をでたところに、1982年の改軌まで762mmだった花東線で活躍したナローゲージの車両が展示されています。LDR2200型ディーゼルカーは1956年の台北機廠と花蓮機廠の合作。日本でいえば国鉄の工場に相当します。阿里山森林鐵路の中興号と同様に、2軸駆動の台車はロッド式。日本製でしょうか、住友のマークが浮き出ています。両運転台で、片側は2枚窓、機関車と連結したもう一方は貫通扉付きになっています。

花東線のLDR2201 ロッド式2軸駆動

説明板の漢字を拾い読みすると、ここにあるのは同型のトップナンバーLDR2001号。同時期に4両製造され、黄と白の塗色から“黄皮仔車”と呼ばれたとか。同型車は花蓮で動態保存、苗栗にある鉄道文物展示館でも静態保存されていて、貫通側の写真は、こちらにあります

LDK50型の蒸気機関車はD型のタンク機で、貨物列車や入れ換えに従事したとか。米国製とそれをコピーした日本製が計13両あり、ここにいるLDK58号は日本統治時代に海を渡った1923年の日本車両製。同型の59号機が花蓮で動態保存されています。

狭軌の蒸気機関車とディーゼルカー LDK58号

ちょうどお昼時で、台北駅構内の台鐵便當の売店は長い行列で大賑わい。旅行者だけではなく、駅構内のベンチに座って駅弁でお昼にする人も。

その隣は、鉄道グッズを扱う“台鐵夢工場”。以前は“台鐵本舗”の名前で営業していて、店を広げてリニューアルしたようです。太魯閣号と並んで新しい台鐵の看板列車、普悠瑪号の模型も展示されていますが、売れすぎたのか“補貨中”は取り寄せ中のことでしょう。

台鐵便當の賑わい 台鐵夢工場
太魯閣号と普悠瑪号は補貨中 ちょっとレトロな台北駅の地下商店街

 


後車站懐旧広場の流線型ディーゼルカー

台北駅から、ちょっとレトロな雰囲気の漂う地下商店街を抜け、台北バスターミナルから少し西に行った後車站懐旧広場に出ると、水色と白に塗り分けた日本の国鉄のキハ42000、後のキハ07のような半円形をした流線型のディーゼルカーが保存されています。

正面5枚窓のスタイル、ちょっと小型で側面はバス窓にアルミサッシで結構新しい。ドアに至ってはステンレスの無塗装。側面には雨樋があるのに、正面は張り上げ屋根で、おでこに飾りのようにあるリベットは大きすぎ、暑い台湾で正面5枚窓全てがHゴム支持で開放不可と、現役当時にこの格好だったとは考えられない仕様です。

         

後車站懐旧広場のキハ07もどきの流線型ディーゼルカー

車内は一方向の木製シートですが、新規に設置したように見えます。ドアの部分にステップが置かれているので、車内に立ち入れる時もあるのでしょう。網棚の一部を撤去して、家庭用のエアコンが取り付けられています。

台湾にも、日本統治時代に鉄道省のキハ42000に相当するが正面窓が1枚少ない5枚窓の車両が導入され、戦後台鐵に引き継がれています。また、何年か前に台鐵本舗で買ってきた鉄道旅行(現在休刊)7号ナロー時代の花東線の特集号に、1980年のLDR2100型の貴重な写真が2枚掲載されています。1939年の日本車両製で、当時流行の流線型をしていて正面貫通式と非貫通式があり(あるいは片側だけ貫通式?)、非貫通式の写真では、正面窓のうち3枚だけHゴムに改造されているようです。ただし、側面窓は一段下降式。

車内には木製シートと家庭用エアコン 台湾の鉄道雑誌“鉄道旅行”掲載の花東線流線型ディーゼルカー

側面窓の形や個数からみて、この保存車両は花東線のナローゲージの気動車に連結していた1970年前後に製造の付随車(キサハ)で、改軌して客車として使用してきた車両のドアから前を、LDR2100型に似せて改造したものと思われます。もとになったと思われる花東線の付随車は、苗栗に保存されている写真が、こちらにあります


台北市内観光

後車站懐旧広場から西へ、地下を台鉄や高鉄が通る大通りが南へ向きを変える交差点の中に取り残されたかのように、北門が建っています。承恩門ともよばれ、清の時代に築かれた台北府城を取り囲む城壁の東西南北にあった門の一つで、城壁や他の門は日本統治時代に取り除かれたが、北門だけは当時の姿のままで残っています。小南門と東門(景福門)は戦後に再建されましたが、西門は台北の渋谷として繁華街に地名が残るだけ。

交差点の中に取り残された北門 鴨肉扁の店が綺麗になっている

その北門から西門に向かう途中にあるのが、ガチョウ料理の鴨肉扁。ここでお昼にします。店の名は鴨でも、店先で中華包丁を振り上げて叩き切っているのはガチョウの燻製。特性のソースを付けていただきます。メニューは、これとガチョウスープの麺(中華麺または米粉)だけ。注文に迷うことはありません。しばらくぶりに来たら店が綺麗になって、伝統の味を守るために店はここだけ、支店は出さないようなことが書いてあった看板はなくなっています。

鵝肉湯麺と鵞肉 総統府

西門から今度は東へ、旧台湾総督府、現在の総統府のある台北の官庁街を抜け、東門(景福門で戦後の再建)から蒋介石の顕彰施設、中正紀念堂へ。民進党への政権交代で“台湾民主紀念館”に名称変更後、国民党が政権を奪還して“中正紀念堂”へ戻したものの、門の看板は“自由広場”のままに。以前に撮った写真を見ると“大中至正”だったようです。

東門(景福門) 中正紀念堂

何度も来ているのでパスしたのですが、後で、中正紀念堂で“アジアの歌姫を忘れないテレサ・テン生誕60周年特別展”が開催されていたことを知り、惜しいことをしました。

地下鉄で、西門乗り換えで龍山寺に向かいます。混雑対策でしょうか、先頭車はオールロングシートとなり、なおかつ一部の座席が撤去されています。

中正紀念堂駅にはまだホームドアがない 先頭車はオールロングシートで座席が少ない

地下鉄龍山寺駅と龍山寺の間にある艋舺公園の下に龍山寺地下街があり、改札口に直結していて商店街を通って龍山寺方面に行けます。台北初の地下2層の商店街とのことで、地下鉄につながる地下1階の店には客が入っていますが、わざわざもう1階下まで降りる人は少ないのか、まだできて数年ですが地下2階は店が撤退した後のシャッター通り。

でも、奥の方から歌声が聞こえてきます。空き店舗を老人相手のカラオケやダンスホールに改装したいくつかの店が営業していて、その一角だけ爺さん婆さんで賑わっています。何か、見てはいけないようなものを見てしまったような……。

龍山寺駅地下商店街の下層階はカラオケにダンスの老人の憩いの場

地上に出ると、そこは龍山寺の山門。いつも参詣客で混雑していて、台湾らしさと台湾のエネルギーを感じられる場所で、台北に来ると必ず訪れる場所です。18世紀前半の創建で、例によって仏教や道教の仏様や神様が一堂に集まる百貨店です。

龍山寺の門 境内には張りぼてが並ぶ

この日は、門をくぐったところに張りぼてが置かれ、上から下がった提灯や張りぼての神様の下で祈ると願いが叶うのか、順番待ちの長い行列ができていますが、面倒なのでパス。もう一つ門をくぐると観音菩薩を祀る本堂があり、線香で煙っています。

行列ができている 観音様を祀る龍山寺本堂

本堂の裏に回ると、健康・金運・出世・学業・恋愛・子宝等々、それぞれの専門店が店を連ねではなく、道教の神様の祠が並び、その前で長い線香を掲げて熱心にお祈りする人々がいます。若い人に人気があるのは、やっぱり月下老人かな。

龍山寺の石段に腰を下ろして、ボケーットしているのが至福の時。お参りの後は、近くの艋舺紅豆餅の店へ。紅豆餅は小豆の粒あん入りの今川焼きです。

いつ来ても参詣客でいっぱい おやつにあんこの入った今川焼

夕刻が近づいてきたので、ホテルに戻って荷物をピックアップ。市内バスで松山空港に向かいます。


旅のヒント

台東線の花蓮−台東間の一部路線の付け替えを含む電化工事が完成し、2014年7月16日のダイヤ改正が予定されています。台鉄のホームページで列車時刻検索をすると、従来からのディーゼルカーの自強号も一部残るものの、台北(始発は樹林)から北廻線経由で振り子式電車の普悠瑪号を含む電気運転の自強号が台東に直通し、所要時間が大幅に短縮されます。

台東線のローカル列車は、一部に機関車牽引の復興号の車両を使用した区間車があったものの、多くは最古参で非冷房でも回転式クロスシートのディーゼルカー、DR2700型で運行する普快車でした。改正後の時刻表を見ると、全て区間車になって普快車は全廃。車両は花蓮以北で運用されている、ロングシートの電車になるのかと推測します。なお、引退するDR2700型の一部は動態保存するそうです。

冷房はないがクロスシートの50系客車がロングシートの701系電車に置き換えられた、かつての東北本線の再現のようにも思えますが、同じ各駅停車でも冷房なしの普快車から冷房付きの区間車になると運賃が値上げです。2往復の増発とセットにはなっていますが。

一方、ローカル列車がディーゼル機関車牽引の普快車と区間車それぞれ1往復ずつだった南廻線の枋寮−台東間は、今回のダイヤ改正でも時刻に変更はあったものの、そのまま維持されました。旧型客車の3671次普快車は枋寮発が10時50分に、台東発が16時08分にそれぞれ繰り上がります。最後に1往復だけ残った窓の開く普快車ですが、こんな時間の最終列車に誰が乗るのでしょうか。日本から乗りに行かれる方は時刻変更にご注意ください。

2013年3月旅
2013年7月記


お役に立つリンク集

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