ハーレムの入口と出口は別の場所になっているため、どこへ出てきたのか一瞬迷います。建物からみて、どうやら入口のある第2庭園の奥の第3庭園らしい。両方の庭園の間にある謁見の間へ。絨毯の展示室になっていました。
第3庭園 | 謁見の間は絨毯の展示室 |
一番奥の第4庭園には、高台からボスポラス海峡を見下ろす展望台があります。行き交う船の多いこと。雨は降っていないもののあいにくのお天気で、対岸のアジア側や海峡を跨ぐボスポラス大橋が霞み、まるで墨絵の世界です。
フェリーが向かうはイスタンブールのアジア側 | 遙か向こうにボスポラス大橋が霞んでいる |
第4庭園の奥に建つバーダット・キョシュキュは、17世紀半ばにバグダードの征服を記念して建てられた東屋。内部は華麗なイズニックタイルで飾られています。その横の金色の天蓋を持つ小さな東屋、イフタリエから、金角湾の向こうに丸いガラタの塔の建つヨーロッパ側の新市街が望めます。
イフタリエとバーダット・キョシュキュおよびその内部 | |
イフタリエから金角湾をはさんで新市街 | 第3庭園の図書館 |
第3庭園に戻り、図書館を見てからに宝物館へ。86カラットの巨大なダイヤを49個のダイヤが取り囲むスプーン職人のダイヤモンド、大きな3個のエメラルドと時計のついたトプカプの短剣をはじめとするオスマン帝国の至宝が展示されていますが、撮影禁止。下の3枚の写真は、まだ写真を撮ることができた17年前の訪問時、1997年に撮影したものです。
スプーン職人のダイヤモンド(1997年撮影) | 大きなエメラルド(1997年撮影) |
トプカプの短剣(1997年撮影) | スーベニアショップの中のカフェで簡単な昼食 |
ダイヤモンドの名前は、スプーン職人が拾った原石を、あまりの大きさにダイヤモンドとは思わずに市場で3本のスプーンと交換したという伝説によるそうですが、真偽の程は…。
帰りにスーベニアショップに立ち寄ったらカフェテリアがあり、歩き疲れたので簡単な昼食を兼ねて一休み。
トプカプ宮殿を出て、ブルーモスクの隣にある広場、ビッポドロームへ。ヒッポドロームとは、ギリシャ語の馬と道を組み合わせた言葉で、東ローマ帝国の首都コンスタンチノープル時代に競馬場だったところの一部だとか。
ここに3本の柱が立っています。トプカプ宮殿のある北側には、テオドシウス1世のオベリスク。古代エジプトの象形文字、ヒエログリフが刻まれていますが、紀元前15世紀にルクソールのカルナック神殿に立てられたものを、紀元1世紀にテオドシウス1世がコンスタンチノープルに持ってきた先頭部分。ルクソールに1500年、イスタンブールに来てから2000年が経過しています。
テオドシウス1世のオベリスク | ポッキリ折れている青銅の蛇の柱 | コンスタンティヌス7世のオベリスク |
真ん中の青銅の折れた柱は、紀元前5世紀のギリシャ製。やっぱりテオドシウス1世が頭に蛇の乗った柱をここに持ってきたもので、折ったのは十字軍だとか。
一番南のコンスタンティヌス7世が10世紀に立てたオベリスクが一番新しい、と言っても1000年以上経過しています。表面をを覆っていた金メッキを施した青銅の板は、十字軍に略奪されたのだとか。どれもすごい歴史がありますね。
電車通りまで戻ったところに地下宮殿の入口があります。ここは、東ローマ帝国時代4世紀から6世紀頃に造られた地下の貯水池で、この地にあった柱廊に囲まれた建物を解体して、その柱をリサイクルしたものだとか。でも、模様が異なる柱もあり、他からも調達しているのかもしれません。
列柱の並ぶ地下宮殿 | 柱はギリシャ時代の神殿からリサイクル |
一番奥には、柱の高さが不足したためどこから持ってきたのか、ギリシャ神話の怪物メドゥーサの頭を踏み台にして延長した柱が2本。この部分はメドゥーサの頭がよく見えるように、水をせき止めて貯水池の底まで階段で下りられるようになっています。
柱の高さ調整の土台にメドゥーサの頭が利用されている |
地下宮殿から、トラムが走る旧市街のメインストリートを西へ、グランドバザールに向かいます。ここは15世紀の中頃に建設され、16世紀に拡張された屋根付き市場で、宝石や陶器、絨毯や土産物などを扱う商店が4000店舗あり、いつも観光客で混雑しています。
アヤソフィアを背に | 地下宮殿近くを行くトラム |
賑やかな電車通りを歩いてグランドバザールへ | グランドバザールの入口 |
ところが、店を見て回っているときに突然の停電。築500年以上の建物に昔は電気などなかったので、通路には明かり取りの天窓があるのですが、店舗の奥は暗闇。しばらく待っても復旧しないので、早々に退散することに。
突然停電になったグランドバザール |
グランドバザールの西側、イスタンブール大学の北の高台にあるスレイマニエ・ジャミーへ。坂道を登っていくと、お墓の向こうにモスクが見えます。イスラムの墓石も、日本と似ていなくもないですね。
スレイマニエ・ジャミーの正面で、告別式に遭遇。異教徒は遠慮して待つことに。近くにちょっと変わった緑のトラックが停まっていると思ったら、参列者が担いできた棺桶を後ろに乗せて走り去りました。やっぱり霊柩車だった。
お墓の向こうにスレイマニエ・ジャミー | これがトルコの霊柩車 |
スレイマニエ・ジャミーは16世紀半ばの建設で、オスマン建築の最高傑作の一つといわれています。ブルーモスクを上回る高さ53mの大ドームを持ち、旧市街の高台に立地するその姿は市内の各地からよく見えます。ブルーモスクと違って団体の観光客は来ないので、青いステンドグラスの美しい内部は静かな時間が流れています。
スレイマニエ・ジャミー | 中庭 |
青いステンドグラスが美しい |
スレイマニエ・ジャミーから、北側の金角湾に向かって坂道を下っていくと商店が増えて賑やかになり、金角湾を跨いでヨーロッパ側の旧市街と新市街をつなぐガラタ橋のたもとに下りてきます。17年前の訪問時は、ここが旧市街側のトラムT1の終点でしたが、今では橋を渡って新市街に向かうT2へ直通運転をしています。
旧市街と新市街をつなぐガラタ橋を渡るトラム | イェニ・ジャミーとエジプシャンバザール |
中庭からみたイェニ・ジャミー | イェニ・ジャミーの内部 |
ここの橋のたもとに建つのが、17世紀に建設されたイエニ・ジャミー。モスクも3個所見ればもういいかな。
すぐ横には、エジプシャンバザール。昔は、エジプトからの貢ぎ物を集めて商売したことからその名がついたとか。今では香辛料を扱う店が多く並ぶことから、スパイスバザールとも呼ばれるそうです。その中を抜けてシルケジ駅方面へ。一旦、ホテルに戻って部屋で休憩です。
エジプシャン・バザールの入口 | 賑わうエジプシャン・バザール |
夕食は、先ほどのエジプシャンバザールの近くにあるトルコ料理のレストランへ。食後の散歩にガラタ橋周辺をウロウロ。ライトアップで高台のスレイマニエ・ジャミーが美しい姿を見せ、金角湾に架かるガラタ橋が光の道に。その上には新市街のシンボルガラタの塔、遠くに目をやれば視界が良くなってきたのか、闇の中にヨーロッパとアジアをつなぐボスポラス大橋が浮かび上がります。
ガラタ橋近くのレストランへ | ガラタ橋から見たスレイマニエ・ジャミーのライトアップ |
ガラタ橋とガラタの塔のライトアップ | ボスポラス大橋のライトアップ |