HOME  page1  page2  page3  page4


旅の車窓から

トルコ イスタンブール


2014年の冬、ポルトガルへの往路にトルコイスタンブールに立ち寄りました。メトロ、トラム、国電、メトロバス、ケーブルカーを使ってイスタンブールを巡る旅にご案内します。
 

17年ぶりにトルコのイスタンブールへ

2013年11月から、トルコ航空の成田−イスタンブール便が、毎日1便から2便に増便になりました。従来からの昼便に、夜便が加わり、翌朝イスタンブールで乗り継ぐと昼にはヨーロッパの各都市に到着できる便利なダイヤです。でも、いきなり座席数が2倍になるのですから、はじめは乗客を集めるためでしょう、成田からヨーロッパ各都市往復が25,000円だったでしょうか、破格の正規割引運賃が出ました。といっても、燃油サーチャージや空港使用料を加えると、支払総額は8万円を超える都市がほとんどですが。正規割引運賃の大盤振る舞いは年内で終わったのですが、旅行会社に卸す包括旅行運賃の大幅値引きは2014年1月末まで続けたようです。

2011年の秋に、ポルトガルでユーロ危機による緊縮財政反対のゼネストに当たってしまい、リスボン行きを諦めて前日にLCCでポルトからスペインのマドリードに脱出しています。もう一度、リスボンのトラムを求めて、エアーとホテルだけ、空港送迎もない格安のパックツアーを予約しました。

羽田からのヨーロッパ便は日付が変わってから出るのでしょうが、成田は門限があるのでTK53便の出発は22時30分。イスタンブール着は未明の4時20分。リスボンへの乗り継ぎ時間が6時間以上あります。この間でイスタンブール市内に出られないか調べたのですが、地下鉄の始発が6時で、路面電車に乗り継いで都心まで1時間。時間的に無理があるので、それならストップオーバーにできないか旅行会社に問い合わせたら、追加料金なしですんなりOK。しかも、イスタンブールのホテルは自分で手配したいと言ったら、これも離団扱いでOKしてくれました。融通を利かせてくれた旅行会社は旅工房です。

ということで、リスボンへの往路に2日間立ち寄ったイスタンブールです。

※ 4ページの末尾にそれぞれリンク先を設けました。詳しく知りたい方はご利用ください。


イスタンブールへ

トルコ航空は、2013年のベストエアライン・ヨーロッパを受賞しています。エアライン・オブ・ザ・イヤーでもヨーロッパ最高の9位にランクイン。これより上位は中東かアジアの航空会社で、日本ではANAが4位に入り、JALは何故かランク外です。トルコ航空は、離陸前にトルコのお菓子が配られ、耳栓にアイマスク、歯ブラシや靴下のアメニティーグッズの提供も。昔は、ほかの航空会社でももらったことがありますね。

成田の門限を気にしてか、定刻22時30分のところ、出発時刻を22時変更して離陸。エコノミーの機内食も、陶器のプレートに乗ってきてナイフやフォークも金属製で気合いが入っています。お味もなかなか。さらに増発の夜便の機材はエアバスA330で、2-4-2の座席配置。もちろん、先にウエブチェックインで2人がけの窓側と通路側、AとCの並び席を確保しています。昼便に使われているボーイング777のような、3人並び席ではないところが良いですね。

トルコ航空成田−イスタンブール便エコノミーの機内食

 

アタチュルク空港からシルケジ駅へ

成田を30分早発したため、定刻より30分以上早く、未明の3時半過ぎにイスタンブールアタチュルク国際空港に到着。入国後、空港内のATMを使い、クレジットカードのキャッシングでトルコリラを入手します。

次に、イスタンブールの交通機関で使うICカード、イスタンブールカードの購入です。出発階のチェックインカウンターの奥にあるフォトショップで入手できるとの情報があり、エスカレーターで上のフロアへ。店は24時間営業らしく、7トルコリラ(TL)で1枚購入して、ついでにチャージもお願いします。絵柄は、夕刻のボスポラス海峡の向こうにアヤソフィアとブルーモスクのシルエット。

イスタンブールカード メトロ1号線アタチュルク空港駅

始発時刻の6時近くまで空港内で時間を潰し、ホテルに向かうため地下鉄(メトロ)の空港駅に移動します。イスタンブールカードの良いところとは、1枚で1度に何人でも使えるところ。自動改札機に当てて入場し、そのカードを相方に渡してもう1回。メトロやトラム等は均一料金だから、入場時に運賃を引き落とすだけのため、こんなことが可能です。

しかも現金でチケットを買うと3TL(約150円)のところが1.95TL(約100円)に割引。1時間以内に乗り継ぐときは、イスタンブールカードだけ1.25TLの乗り継ぎ割引料金が自動的に適用されます。現金の場合は乗り継ぎ割引なし。

メトロM1号線の電車 メトロM1号線の車内

メトロM1号線の電車は、2車体連接車を2本併結した4両編成。空港駅からしばらく地下を走った後、地上に出て高架線を走行します。ホテルはボスポラス海峡をはさんだイスタンブールのヨーロッパ側の旧市街、かつてのオリエント急行の終着駅、シルケジ駅の近くのため、途中駅セティンブルグでトラムT1号線に乗り換えます(その後、地下鉄の延長で国電と乗り継げるようになっています)。

17年前に乗ったトラムT1号線は、メトロM1号線と同じ車両で路面に階段で上がる高いホームが設置されていました。今では低床の3車体連接車2本併結に変わり、ホームも低い安全地帯になっています。でも、ヨーロッパで一般的な信用乗車方式ではなく、安全地帯の周囲を柵で囲い、入口には自動改札機を設置しています。線路側は開いているので、その気になればどこからでも安全地帯に入れますが。

朝から混雑するトラムT1の車内 シルケジ駅近くを走るトラムT1

乗り換えたトラムは、早朝から通勤客でよく混雑しています。空港から1時間、やっと明るくなったシルケジ駅前に到着です。イスタンブールはグーグルマップのストリートビューがまだなく、電停からホテルまでのシミュレーションができていませんでした。しかも、詳細な地図をプリントするのを忘れてきてしまったので、電停近くの店でホテルのバウチャーを見せて場所を聞きます。

教えられた方向に行っても、該当するホテルはありません。あっちで聞いてこっちで聞いて、急な坂道もある周辺を荷物を引きながらぐるぐる徘徊すること30分、別のホテルに入ってフロントで聞いても知らなかったものの、ネットで検索してくれて場所を確定。すぐ近くで、電車通りの向こう側と判明。細長いペンシルビルのホテルで、隣のホテルに比べて出ている看板の小さく目立たないこと。

       
この真ん中のペンシルビル 隣は別のホテル         勧めてくれた朝食

フロントでは、まだ部屋が用意できないとのこと、荷物を預かってもらって駅近くのトルコのゴマパン屋、シュミット・サライに行こうとしたら、食堂で朝食を食べていけばと勧めてくれます。口コミの点数で選んだホテルですが、こんなところにも高評価の要因があるのでしょう 。


ブルーモスク

イスタンブール最大の見所、トプカプ宮殿、アヤソフィア、ブルーモスクはホテルから電車通りを徒歩で10分ほど。歩道の側に沿ってひかれた線路上を、青いボンバルディアのフレキシティー・スイフトと赤いアルストームのシタディスが行き交います。

       
ボンバルディアのFlexity Swift         アルストームのCitadis

混雑するであろうトプカプ宮殿は、9時半のオープンにあわせて入ることにして、先にスルタンアフメット・ジャーミィ(ブルーモスク)に向かいます。

17世紀のはじめに、オスマン帝国の第14代スルタン・アフメト1世によって建造されたスルタンアフメット・ジャーミィ。世界で唯一、6本のミナレット(尖塔)を持つ、美しいモスクです。

6本のミナレットが立つスルタンアフメット・ジャーミィ スルタンアフメット・ジャーミィ(ブルーモスク)の中庭

回廊に囲まれた中庭から階段を登り、靴を脱いでモスクの中に入ると床には一面の絨毯。太い4本の柱で支えられた天井には、中央に直径27.5m、高さ43mの大ドーム、それを4つの半ドーム小ドームが取り囲んでいます。無数の小窓や青いステンドグラスから柔らかい光が差し込み、壁面の青いイズニックタイルを照らします。

モスクを支える太い柱 直径27.5mの大ドーム
メッカの方向を示すミフラーブ この場所は? アラビア文字が読めません

広場をはさんで、ブルーモスクの向かいに建つのはアヤソフィア。でも、今日は月曜で休館日。明日また来ることにします。その間に、スルタン・アフメット1世廟があります。

アヤソフィアは月曜は休館日 スルタンアフメット1世廟

 

トプカプ宮殿ハーレム

続いて、オープンの時間になったトプカプ宮殿に向かいます。ここは、コンスタンティノープルを征服したメフメット2世が15世紀の半ばに建設したオスマントルコの宮殿。19世紀の中頃にスルタン・アブドゥルメジドが新市街のドルマバフチェ宮殿に移るまでの400年余りにわたり政治の中心であるとともに、歴代オスマン帝国のスルタンとその家族が暮らした宮殿でした。今では、その栄華を伝える博物館になっています。

聖イリニ教会 宮殿の入口は2本の塔が立つ送迎門

電車通りの門をくぐり、坂道を登っていくと第1庭園が広がり、4世紀東ローマ帝国の時代に建てられた聖イリニ教会があります。その後ろはアヤソフィア。

宮殿の入口は、2本の塔が立つ送迎門。ここで入場券を購入します。門をくぐるとセキュリティーチェックがあり、第2庭園に入ります。左手にあるのが正義の塔。見張り塔だったのでしょう。市街地や、ボスポラス海峡を行く船から高台を見上げると、この塔がトプカプ宮殿の目印になります。オフシーズンの平日の朝とあって、さすがに、まだ観光客の姿はまばら。

正義の塔 至福の門はハーレムの入口

正義の塔のある建物はハーレム。宮殿内の女性達の居住区で、スルタンとその皇子以外にこの中に入れる男は去勢された黒人宦官だけ。真の実力者はスルタンの母で、一夫多妻の愛憎や息子をスルタンにするための権力闘争が渦巻く世界だったとか。ちなみにトルコ語でハーレムとは、禁じられた場所という意味だそうです。ハーレムは別料金のため、また入口でチケットを買うことに。

最初のここは何の部屋だったか? 青いイズニックタイルが見事なホール

ハーレムに入った感じは、以外と狭い。ホールの壁面は、青いイズニックタイルが見事です。アラビア文字で何か書いてありますね。宦官の部屋の格子窓から中を覗くと、エジプトの南部、ヌビア地方から連れてこられたという黒人の(元?)男性がいます。入口に近いところに警備員を配置する構成です。

宦官の部屋 格子のはまった窓から中を覗くと

金ピカの大鏡の置かれた通路から、外から見えないように囲われた侍女達の中庭を抜けると、いよいよ大奥。

天井の高いスルタンの母后の部屋には、壁面の上部に下界の風景が描かれています。もう一つの中庭に面した建物にある2階の窓は、皇子を産んだ大勢の侍女達の小部屋です。

       
大鏡の置かれた通路         侍女達の中庭
       
スルタンの母后の部屋         ずらりと連なる小部屋がある侍女達の居住区

天蓋付きのベッドのあるスルタンの部屋。壁面には2段になった水槽があり、蛇口から流れる水音で会話を聞かれないようにしたのだとか。

スルタンの部屋 部屋に水道がある

皇子の部屋は、スルタンになれなかった異母兄弟達を幽閉した“黄金の鳥かご”。愛妾のテラスからはボスポラス海峡が望めます。

皇子の部屋 愛妾のテラスから見た皇子の部屋の外観

 


 

 

 

 

 

  

inserted by FC2 system