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ニューデリー発コルカタ行 ラジダーニ・エクスプレス

インドの優等列車としては、首都デリーと主要都市間の夜行寝台列車“ラジダーニ・エクスプレス”や、日着圏内にある大都市間の“シャターブディ・エクスプレス”が特急列車相当で、運賃に食事のサービスが含まれています。その他の急行相当として“インターシティー”や“メイル・エクスプレス”等があります。

ラジダーニエクスプレスのコルカタ着予定は翌日の10時45分。1463kmを17時間45分で走破します。表定速度84.2km/h。これがメイルになると24時間ほどかかり、コルカタ着は翌日の夕刻になります。午後半日が使える、この差は大きい。

AC3に乗り込みます。さすがに線路幅1676mmブロードゲージの車両の横幅は広く、枕木方向の3段寝台6人に加え、通路をはさんでレール方向2段寝台2人のボックスがあり、発車時点では座席として使われています。この構造では、日本や中国の寝台車のように廊下の上を荷物入れにできないため、スーツケース等は座席の下に押し込みます。天井では扇風機が回っていますがエアコン付き、窓は固定で直射日光を避けるためか小さくて色つきのガラスがはまり、外が見えづらい。

ニューデリー駅ホームの売店 固定窓のラジダーニ・エクスプレスAC3車両
AC3の車内 3段6人のボックス
2段2人のボックス 窓上の水のペットボトルは全員に配布 両側の背ずりを倒すとベッドになる

3段寝台は、中国の硬臥に比べて中段と上段のベンドの位置が低く、座席として使用するときは中段を跳ね上げています。2段寝台の方は下段の背ずりを倒すとベッドになる構造で、上段は固定です。寝具は上段に置いてあり、セルフサービスでセットします。ベッドにカーテンはありません。私とガイドで2段の上下となり、ラッキー。

ラジダーニエクスプレスでは、飛行機の機内サービスに準じているのでしょう、発車するとまずは大きな水のペットボトルが配られます。続いて、軽食やジュースの乗ったトレイがきます。サーブするのは年配の男性。制服らしきものは着ていますが、足元はサンダル履き。6人のボックスの方には窓側にテーブルがありますが、2人のボックスは下段をベッドにする構造上、テーブルは設置できません。

乗務員が飲み物を配布中 2人のボックスにはテーブルがない
隣の席の家族連れ デッキの洗面台
車両の連結面 2段寝台カーテン付 AC2の車内

車内の見学に出かけます。エアコン3段寝台が何両か続いて、その先にカーテンのあるエアコン2段寝台、さらに前方に行くと厨房のあるパントリー車で行き止まり。食堂車はなく、ここで調理した温かい食事を各席まで配達するシステムです。

トイレは、ご覧のような垂れ流し式。トイレットペーパーはなく、コップに受けた水で洗うインド式です。不浄な左手だけを使うのでしたね。

パントリー車の車内 インド式トイレ
ホームの売店が賑わう夜の途中停車駅 夕食の準備

夕食の時間の前に、ベジ or ノンベジの確認があり、ノンベジ食を注文します。はじめにこんなトレーが来て、ヤカンからコップにスープを注いでくれます。続いて2種類のカレーにご飯とナン、フルーツにラッシーまで満載したトレーが来ます。

はじめにこんな物が来て 2種類のカレーにナンとライス フルーツにラッシー

食事が済めばもうすることはありません。夜の窓の外は暗い上に、色つきガラスではほとんど何も見えません。車内でガイドといろいろ話をしました。日本語のレベルは必ずしも十分とはいえないので、通じないところは英語の単語を交えながらの会話です。以下( )内は彼の口から直接聞いたことではなく、話のつながりから私の想像です。

彼は日本人と結婚して埼玉に住む弟を頼って(観光ビザで)日本に入国。東京のインド料理店マ○○○ャで店員として働きながら日本語を習得。日本は私にはもうビザはくれないと言っています(入管に見つかり強制送還になったのでしょう)。デリーに戻ってからは、日本の中小の旅行会社から仕事を受けるデリーの会社で(アルバイトとして)ガイドをしている(ガイドとしての知識は不十分で話し相手、通訳としてなら使える程度。儲からない1人や2人の旅行客相手では、良いガイドを付けるのは無理)。

チップをいくら渡すか相場を探るために、インド人の給与を尋ね、教員をしてる彼の姉の実績から7日間拘束して土産物5万円購入に相当する5千円とはじき出したと記憶しています。その後、円に対してインドルピーは下落していますが、経済成長と高いインフレ率からみて、10年後の現在では給与は数倍になっていることでしょう。

 

翌朝のラジダーニ・エクスプレス

インド3日目の朝を迎えてからも、ラジダーニ・エクスプレスはいくつかの駅に停車していきます。ホームに降りてみると、新聞屋さんから朝刊を買い求める人、バケツに入れた素焼きの容器を持ち歩き、ヤカンに入れたチャイを注いで売る人、乗客を相手にした商売が始まっています。ホームに降りて歯磨きをする乗客も。

翌朝途中駅に停車 ホームを行き交う新聞屋さんやチャイ屋さん
ラジダーニ・エクスプレスのサボ ホームで歯磨きをする人も
ホームの売店も営業中 パントリー車から朝食が届く

パントリー車から朝食が届きます。パンとオムレツ、バナナとジュースの洋食です。

色つきの窓ガラスに加えて、ガラスが汚れていて外がよく見えません。内側は手持ちのウエットティッシュで拭いたのですが、停車駅のホームが窓の反対側のため、外側の掃除ができません。やむなく、列車が速度を落としたところを見計らってデッキの扉を開け、振り落とされないように片手で手すりをしっかりと握りしめての撮影です。

 
汚れた色つきガラスの車窓 デッキの扉を開けて撮影
何故か線路内に人がいっぱい 留置線に国電が並んでいる

駅が近づき、留置線に並ぶの国電の横をすり抜けていきます。何故か、線路内に人がいっぱい。日本なら電車が止まるところですが、ここはインド。誰も気にしている様子はありません。

子供が列車を追いかけて走り飛び乗ってくる 貨物列車の先頭に立つ電気機関車

ゆっくりとホームを通過する列車を追いかけて、デッキに何人もの子供が飛び乗ってきます。車内の床に転がる空になった水のペットボトルを素早くかき集めて、すぐに飛び降りていきます。ガイドに聞いたところ、また水を詰めて売るのだとか。水を買ったら、開封していないかよく確認してから飲まないと、お腹をこわすことになるそうです。毎日、この時間にゆっくり通過する列車には、ペットボトルがあることをよく知っているんですね。

ゆっくりとホームを通過 この女性は線路内で何をしているのでしょう
貨物列車の最後尾の車掌車 ディーゼル機関車

操車場に、電気機関車が牽引する長い編成の貨物列車が停車しています。先ほどの機関車と同じ顔と塗色ですが、側面のベンチレータの配置が違いますね。インドの車両は、写真で見るパキスタン等近隣国を除いて他では見かけないスタイルです。クルマから原爆まで、何でも国産化する国ですから、機関車も電車も客車も貨車も、国鉄の車両はみんなインド製でしょう。

先ほどの機関車と同じ顔だが側面が異なる 長い編成の貨物列車

 


 

 

 

 

 

 

  

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