“オーストリア インスブルックのフンガーブルクバーン” |
オーストリアのインスブルックは、周囲を2000mを超えるアルプスの山々に囲まれたチロル州の州都。インスブルック中央駅の前から赤い低床の新型トラムに乗って旧市街へ。
インスブルックの街を行く赤い低床トラム |
宮廷教会や王宮、大聖堂の横を抜けた先に、市街地の北にそびえるノルトケッテ(北の鎖)連峰に登るケーブルカーの乗り場があります。
旧市街の宮廷教会 |
旧市街の王宮 |
標高560mの市街地から2334mの展望台ハーフェレカーまで、1本のケーブルカーと2本のロープウェーを乗り継ぎます。
第1走者は、標高860mのフンガーブルクまで登るケーブルカーのフンガーブルクバーン。1906年の開業から2005年までの99年間は、市街地から離れたイン川の河畔から出発していたものを、2007年のリニューアルで経路を変更の上で路線長を839mから1838mに延長して、市街地を地下で旧市街まで至り、現在のゴングレス(Congress)駅が設けられて便利になりました。
フンガーブルクバーンの始発コングレス駅 |
駅の入口に下向きの矢印があるように、乗り場はエスカレータを降りた地下になっています。ちょうどケーブルカーが到着したところ。降車と乗車のホームが別けられ、それぞれにホームドアが設けられています。
地下ホームにケーブルカーが到着 |
上下式のホームドアが床面まで下がると、車両のドアが開きます。2005年までは、線路の勾配にあわせた階段状になった一般的なケーブルカーの車両でした。路線の延長により、急勾配から平坦まで対応できる特殊な構造の車両が導入されました。
自転車も乗ってくる |
このケーブルカー、グレーの車体枠の上辺から、ピンを介して立方体に近い形状の水色の5つの独立した客室ユニットがぶら下がり、車体枠の傾斜角にかかわらす客室の床は水平を保つ構造。
青い2号車に乗客が乗り終わった |
乗客が乗り終わると客室のドアが閉まり、下からホームドアがせり上がってきて、ケーブルカーは発車していきます。
ホームドアが下からせりあがってくる |
平坦区間もあるので単純なるつるべ式ではなく、車両の前後に牽引用のロープが設けられています。
上下するホームドアの構造と線路間のワイヤロープ |
しばら待つと、トンネルを抜けてケーブルカーが到着します。水色の2号車に対して、1号車は黄色の車体。先頭に並んで、5つぶら下がった客室ユニットのうち最前部に乗車することに。
トンネルから黄色い1号車が到着 |
両端の客室ユニットには乗務員室が付属。各種スイッチや押しボタンから監視カメラのモニターまで並んでいますが、ワイヤロープで牽引されるケーブルカーだから、運転するための制御器やブレーキ弁のようなものはありません。
両端のユニットには乗務員室が付属 |
車内を映すモニタも |
発車すると372mの地下区間を走ります。トンネルの断面が四角なので、道路の下をオープンカットで掘ったのでしょう。
発車して地下区間を行く |
前方に明かりが見えて勾配を登り、地上に出たところがレーヴェンハウス(Löwenhaus)駅。ホームは平坦です。
地上に出てたところにあるルーヴェンハウス駅 |
レーヴェンハウス駅を発車すると、すぐにイン川に架かる橋を渡ります。ラインの支流の一つで、スイスからオーストリアを経てドイツバイエルン州のパッサウでラインに合流する川です。
イン川を渡る |
イン川を渡ったら何とまたトンネルに潜ります。全長445mのトンネルは丸い断面なのでシールド工法で掘ったのでしょう。中間には行き違い設備が設けられ、向こうから来る水色の2号車とすれ違います。
再びトンネル区間へ |
中間地点ですれ違い |
行路の半分以上を過ぎたトンネルの出口の手前から、いよいよ登りの急勾配。やっとケーブルカーらしくなってグイグイ高度をかせぎます。勾配の途中にあるのがアルペンツォー(Alpenzoo アルプス動物園)駅。
地上に出ると一気に急こう配を登りアルプス動物園駅 へ |
各客室ユニットは、床面を除く周囲4面と天井がガラス張り。傾斜角は30度程度でしょうか。後ろを振り反ると、窓越しに隣の客室ユニットの屋根上が見えます。
ガラス張りの客室から隣のユニットの屋根が見える |
腰をかがめると、下の方から隣の客室ユニットの室内が覗けます。
各客室ユニットは車体枠にピンでぶら下がり床が水平を保つ |
隣接する客室ユニットの車内 |
始発のコングレスから全長1838m、8分程で高低差300mを登り終点のフンガーブルクに到着。駅構内は傾斜が緩くなったものの、階段状になったホームに降り立ちます。
フンガーブルクに到着 |
終点フンガーブルク駅 |