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蒸気機関車が終点エルムシュタインに到着

下降式の窓を開けて、カーブで前方の蒸気機関車を撮ろうとしても、雨で湿度が高いため排出したドレンの霧がなかなか消えません。

やがて、車窓に団体客を迎えに先行した観光バスが見えると、終点のエルムシュタイン。片面1線のホームで、線路は車止めで行き止まり。先頭まで行くと、家族連れが蒸気機関車の前で記念撮影。

ドレンで煙幕を張られてしまった 蒸気機関車の牽く博物館列車
団体客を迎えに来たバス 機関車の前で記念写真

 

博物館列車の編成

乗客が降りた後、博物館列車の車両の見学です。まずは機関車ですが、軸配置は0C0。ボイラの両サイドに“SPEYERBACH”号のプレートと、キャブに“HUMBOLDT 1904年”の楕円形のメーカープレートを付けています。その上の“DGEG”のプレートは、“Deutsche Gesellschaft für Eisenbahngeschichte” ドイツ鉄道歴史協会の所有を表しているようです。

以前にドイツ東部のドレスデンでアルシュタット機関区鉄道博物館を訪問したときに、この機関車にそっくりの東ドイツ国鉄89.60型に出会っています。タンク機関車をテンダ機関車に改造したもので、オリジナルはフンボルトの1902年製。本機と見比べると、キャブ側面の窓や出入り口に違いはあるものの、後年の改造によるものかもしれません。

終点のエルムシュタインに到着した列車
キャブ側面のプレート 1両目の貨車は自転車積載用

機関車の次位の茶色の2軸貨車には、自転車を描いたプレートを付けているので、乗客の自転車を積載する荷物車代用のようです。その次の2軸貨車は、車内に椅子とテーブルを並べ、客車と連結する側にはオープンデッキに出る扉を設けてカフェ車になっています。

2両目の貨車はカフェカー カフェカーの車内
2軸の3等車 木製の座席

3両目の2軸の古典客車は、窓2つ1組で4人がけのボックスシートを構成しています。車外のIIIの標記から3等車のようです。ドイツも、昔は日本の国鉄のイロハのように3つの等級があったのでしょうか。

4両目の、床下にトラス棒の付いたボギーの古典客車は2等と3等の合造車。3等の方は前の2軸客車と同じ木製でクッションなしのシートですが、片側4人、通路をはさんで6人のボックスです。2等室は、クッションのある4人のボックスシート。

ボギーの2等と3等の合造車 板バネを多用したボギー台車
3等客室 2等客室
トイレ 洗面所

2等室側の車端部には、トイレと洗面所を備えています。トイレは、穴から線路のバラストが見える垂れ流し式。台車は、枕バネも軸バネも板バネ。

もう一両、トラス棒付きの古典客車は3等車。4人と6人のボックスシートで、広窓のために1ボックスに窓は一つ。ここまで3両の客車は側窓の上にベンチレータがあり、窓の開け方は下降式。閉めるときは、窓枠の下端に取り付けた革のベルトを持って引き上げます。

3等ボギー車 3等ボギー車の車内
3等ボギー車 3等ボギー車の車内

続く2両は、オープンデッキではあるものの側面がフラットな近代的な車体。側窓は、一昔前の近鉄電車のようなサッシュレスの窓ガラスに2個所の取っ手を直接取り付けた下降式。近畿車輛がドイツにならったのかな。1両は側面に3の標記があるので3等車でしょう。木製でクッションのないボックス席。

もう1両は、これに乗ってきたのですが、車体に等級表示がないもののビニール張りでクッション付きのボックス席で、2等でしょうか。台車はシュリーレンタイプのようなコイルバネの軸バネで、路面電車の台車ような枕バネが線路方向の板バネ。台車の外側に発電機をつけています。トイレはもちろん垂れ流し式。

オープンデッキの連結面 標記がないが2等ボギー車?
クッションの付いたボックスシート 台車の発電機

最後部は、ドアがある密閉式デッキの客室と荷物室の合造車。アルミの2段サッシで、窓間の側壁とボックスシートの背の部分に設けたパーティションは何のためでしょうか。荷物室にも長いテーブルと椅子が置いてあり、片隅には車掌室も。台車はミンデンドイツ型で120km/h対応と書いてるものの、蒸気機関車の最高速度は40km/h。

半室荷物の合造車 客室
荷物室 車掌室

 

エルムシュタイン駅構内

エルムシュタイン駅構内の線路には、鉄枕木が使われています。腕木式信号機もありますが、この路線に乗り入れる列車が博物館列車だけなら、全線1閉塞でよいのかもしれません。駅構内の外れにある踏切は、警報機のない日本でいえば第4種。通るクルマはほとんどありません。

腕木式信号機 鉄枕木
警報機のない踏切 オープンデッキの2軸客車

その構内の外れの車止めのところに、オープンデッキでホイールベースの長い2軸客車が1両。かつてはレストランか売店としてでも使われていたのでしょうか。駅舎内では売店やカフェがオープンしていて、列車から降りた乗客で賑わっています。

 

車両の入れ換え

エルムシュタインでの折り返しの時間は1時間と40分余り。乗務員が昼食を済ませたのか、しばらくすると車両の入れ替えが始まります。切り離した蒸気機関車を残して、最後尾のL型ディーゼル機関車が客車を牽きだします。ホームの途中にあるポイントを転換して、蒸気機関車が単機で機回り線へ。

ディーゼル機関車で入れ換え 蒸気機関車が出てきた
パパ撮って 切り離した車両を側線に留置

親子連れがL型ディーゼル機関車の運転士に声をかけ、坊やが入れ換え中の機関車の運転台に乗せてもらいます。一旦、全部の客車を車止めの直前まで押し込んでから、比較的新しい3両を切り離してL型ディーゼル機関車とともに留置線へ。これからのSバーンと接続するランブレヒト駅までの1往復は、蒸気機関車と古典客車で運用し、夕刻にノイシュタットへの帰りの列車にまた併結するのでしょう。

1904年製の蒸気機関車SPEYERBACH号

 


 

 

 

 

 

 

  

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