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“ドイツ ハノーファー トラム博物館”  


ハノーファーは、首都ベルリンから西へICやICEで1時間50分、第二の都市ハンブルクから南へ1時間20分、フランクフルトから北へ2時間20分ほどに位置する北ドイツ主要都市の一つ。東西の鉄道の幹線が交差し、ライネ川の水運が加わる交通の要所です。

日本では、広島電鉄がハノーファー市から寄贈され、現役で活躍中の2軸の路面電車238号がおなじみですが、ドイツ鉄道DBのハノーファー中央駅の前を横切るトラムは、このイメージとはほど遠い両運転台、両側ドアにステップ付きの高床3車体連節車の2本併結。

広電238号も一時期所属していたらしいトラム博物館が市の南西郊外にあり、3月末から10月末までの毎週日曜日に開館しているというので、2015年のゴールデンウイークに訪問することに。ホームページに掲載されている行き方では、ハノーファー中央駅から1系統のトラムで Gleidingen まで行き390系統のバスに乗り換え Wehmingen 下車とあるものの、駅前にあるトラムの案内所でもらった路線図には、乗換駅も390系統のバス路線も載っていない。

ハノーファーのトラムの旧型車 3車体連接4台車2本併結 2015.5

ハノーファーのトラムの新型車 3車体連接3台車2本併結

もう一度案内所に戻って尋ねると、どうやら路線図の範囲外らしく6系統のトラムで Kronsberg まで行き、330系統のバスに乗り換える別のルートを教えてもらいます。Kronsberg は路線図に掲載されているものの、バスを下りる停留所の Wehmingen は図の外なので運転士に言っておくようにとのこと。路線図の外は Umland(周辺の田園地帯)ゾーンとなるらしく、このゾーンまでの運賃の切符を買えば、1枚でトラムからバスに乗り継げます。

6系統のトラムは地上の駅前電停ではなく、中央駅の先にある地下駅から乗車。すぐに地上に出て専用軌道を快走し、15分弱で乗換駅に到着。踏切のところにバス停を発見。330系統の時刻表を見ると、何と1時間間隔。それでも20分待ちで来るのでやれやれ。日曜日のところに何か注釈が書いてあるので Google で翻訳すると、何名か以上で乗るときは事前の連絡が必要だとか。

330系統のバスは日曜日はタクシーで運行(帰路に撮影)

時間どおりにバス停に横付けしたのは、フロントガラスの内部に系統番号の330と行き先を紙で表示したワゴン車。乗客の少ない日曜日はタクシー代行になるので乗車定員わずか8名。まとまった人数が乗るときは事前の連絡が必要な理由がわかりました。

運転士にトラム博物館に行きたいと伝えると、バス代行タクシーは野を越え森を抜けて15分、畑の中に住宅のまとまっているところで停まり、運転士が横の道を真っ直ぐ入っていけと教えてくれます。ここまで、乗客は私一人だけ。

馬も通るトラム博物館に向かう道
畑の向こうを行く電車

桜が咲き馬も通るこんな道の先にトラム博物館があるのかと心配になった頃、畑の遙か向こうを走る1台の電車を発見。広島電鉄のハノーファー車と同じだ!

バス停から5分程で赤煉瓦の博物館に到着。ハノーファートラム博物館は、300両以上の車両を保有していたドイツトラム博物館が破産したあとを受けて、1987年に設立したボランティアで運営する組織です。旧西ドイツを中心に一部東ドイツや周辺国の各都市のトラムや事業用の車両を補修して50両余りを展示し、一部は動態保存として鉱山の跡地を活用した構内や、外部の畑の中の標準軌の線路を使って運行しているのだとか。

ハノーファートラム博物館の入口
入場券を購入

7.5€の切符を買って入場すると、トラムファンや家族連れでそこそこ賑わっています。新しい車庫の屋根の下、外部につながる線路上に停まっている車両が動態保存車のようで、空いたスペースはこの日運転されている4両をはじめ、外に出ている車両の保管場所でしょう。

車庫に並ぶ動態保存車

博物館の入場料には動態保存車による運転の1回の乗車が含まれていて、2回目からは別途1€が必要とか。どれに乗ろうかなと見回して、一番古そうな黄色の2軸車に決めます。

この日運行するのは4両

下に示す Google map のトラム博物館周辺の航空写真で、乗車停留所のある上方から左下への敷地内を10分ほどで周回する路線と、途中から右方向に分かれて構外の畑に中を往復する路線があり、この日は前者は概ね20分毎に、後者は1時間毎に運転しているようです。

 

 

乗車した黄色い2軸車は、西ベルリン市電の5964号でした。動態保存車の運転の様子を動画でご覧ください。

 トラム博物館の動態保存車の運行

この日運行していた4両をご紹介します。大きな方向幕が特徴のオランダの首都アムステルダムの902号。1948年製で、日本の同時代、終戦直後の路面電車に比べるとずいぶんスマートです。3軸車で、動軸は前後の2軸、中央扉の下に車輪径の小さな付随軸を備えています。

オランダ アムステルダムの3軸車902号
902号の車内

2車体で2台車の連節車は、ブレーメンの3533号。同型の連接車を牽引するためか、240kWは路面電車としては大出力。1976年製と新しく、車内も近代的。

ブレーメンの連節車3533号
近代的な3533号の車内

乗車した黄色い2軸車は西ベルリン市電の5964号。正面が1枚窓のように見えますが、3枚に別れています。1924年製で、シートは革張りでしょうか、木のベンチが多いこの時代の車両の中で豪華版です。西ベルリンのトラム路線の廃止による1967年の廃車後はカールスルーエで再起し、1974年まで走ったとか。

ベルリンの2軸車5964号
5964号の車内

広島電鉄のハノーファー市電238号によく似た389号は、デュッセルドルフの2軸車。戦後に大量生産された西ドイツ2軸車の標準型で、広電と同じデュワグ製。こちらの方が1年新しい1951年製、ヘッドライトが1灯で、広電/ハノーファー車の縦に2灯と異なっています。

デュッセルドルフの2軸車389号

旧鉱山の施設だったのでしょうか、古い煉瓦造りの建物の中に馬車軌道の時代の客車が展示されています。メーターゲージの車両は、この幅の線路がないため、床に直接置かれています。静態保存でしょう。

ハンブルクのメーターゲージの1号は1912年製。両側にオープンデッキがあるのに客室への出入り口は片側だけ。出力2馬力とあるので、二頭立てだったのでしょう。

ハンブルクの馬車軌道の客車1号
1号の車内 窓の開き方に注目

1号の車内はロングシート。窓は、上に持ち上げるように内側に開きます。こんな開け方初めて見ました。

オープン車体でメーターゲージのハイデルベルク馬車軌道の客車6号は1891年製。こちらの方が大型ですが、同じく二頭立てのようです。

ハイデルベルクの馬車軌道の客車6号

ロートリンゲンのメーターゲージの2軸車21号は1912年製で出力60kW。車内は木製のボックスシート。

ロートリンゲンの21号
21号の車内

クラシックなスタイル、フライブルクのメーターゲージの2軸車32号は1909年製。車内は木製のロングシート。

フライブルクの2軸車34号
34号の車内

スイスバーゼルのメーターゲージの2軸車160号は1920年製。シートは木製ですが、車端部を除き転換式クロスシート。車内の屋根の形状がユニークですね。

スイス バーセルの2軸車160号
転換クロスシートの160号の車内

クラシックなメーターゲージのボギー車46号は、スイスヌーシャテルの1902年製。

ヌーシャテルのボギー車46号

三線式でメーターゲージの方の線路に乗っていて、方向幕にマンハイムと表示した馬ヅラの電車は、マンハイムやハイデルベルクに路線を有するOEGの27号と28号の2両編成。1928年製の高床車で、ステップ付きのドアは車体中央に1個所だけ。板台車枠のユニークな台車を履いていますが、コイルバネの枕バネは後年の改造でしょうか。

OEGのボギー車28号
28号のボギー台車

ここからは標準軌の車両で、動態保存と思われます。青とグレーの2軸車469号は、1929年製のオランダアムステルダム市電で出力110kW。連結している2軸の付随車757号は1916年製。側窓は固定で、その上にベンチレータがあるような。夏は暑そう。

オランダ アムステルダムの469号
オランダ アムステルダムの付随車756号

2軸の830号は1929年製のオランダデンハーグ市電で出力86kW。連結したボギー台車を履いた付随車756号も1929年製でほぼ同型です。756号の車内は、デッキ近くがロングシートの他は転換式のクロスシート。

オランダ デンハーグの830号
オランダ デンハーグの付随車756号
756号の車内

カッセルの2軸車218号は1936年製で出力120kW。2軸の付随車511号は1941年製。

カッセルの2軸車218号
カッセルの付随車511号

赤と白に塗り分けた2軸の4037号は、オーストリアのウイーン市電で出力93kWの1928年製。同型車がウイーンのトラム博物館でも動態保存され、ウイーン市内を走っています。連結している狭窓の付随車は1604号は1910年製。

オーストリア ウイーンの4037号
オーストリア ウイーンの付随車1604号

上の付随車と側窓の配置がよく似たウイーンの2軸の電動車2625号は1921年製。一方、4037号によく似た広窓の2軸の付随車5325号は1929年製。

オーストリア ウイーンの2625号
オーストリア ウイーンの付随車5325号

 


 

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