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Sバーンでラーデボイル・オストへ

この日の午後は、運行している全列車を蒸気機関車が牽引するレスニッツグルント鉄道に乗りに行くことに。ドレスデン・ノイシュタット駅は工事中ですが、駅ナカの売店は営業中。例によって昼食の時間がなく、サンドイッチとビールを買ってSバーンに持ち込むことに。

ビールは、店員が栓を抜くかと聞いてきます。ドイツの列車のテーブルには、スハ43やキハ58の様なテーブルの下に栓抜きは付いていないので、買ったときに抜いてもらってから持ち歩かないと飲めません。次回は、日本から栓抜きを持ってこようっと。

駅ナカのパン屋さんでサンドイッチを ビールも買って乗車
電気機関車の推進で二階建てSバーンが入線 Sバーン1階の自転車スペース

今朝、ベルリンからドレスデンまで使ったジャーマンレイルパスが今日1日まだ有効。大屋根に覆われたホームに、定刻にドレスデン中央駅の方面から、電気機関車が4両の二階建て客車を推進するS1系統のマイセン行きSバーンが入線。いくらクロスシートでも、ベルリンやミュンヘンのSバーンの電車では、ビールにサンドイッチはちょっと遠慮ですが、ドレスデンのSバーンは自転車の積める1階の一部が跳ね上げ式のロングシートの他はクロスシート 。

Sバーン2階の2等客室 車内で遅めの昼食に

回転しない一方向のシートの背面には折りたたみテーブルが、4人のボックス席には窓側にテーブルが用意されています。乗る前からビールは飲み始めていますが、ラーデボイル・オストまでの所要時間はわずか8分。早く食べ終わらねば。


蒸気機関車の走るレスニッツグルント鉄道

ドレスデン郊外にある住宅街の駅、ラーデボイル・オストでSバーンから下車。隣に小さな客車が停車しているのが見えますが、乗るには地下道をくぐって駅の裏側に回る必要があります。腕木式信号機が出迎えてくれますが、これは飾りかな。

レスニッツグルント鉄道は、DBに接続するラーデボイル・オストから北へ16.6km、ラーデブルクを結ぶ軌間750mmの狭軌鉄道で、東ドイツ当時は当然ながら国鉄の支線。東西ドイツ統一後にDBから切り離されて民営化(三セク?)。全列車が蒸気機関車牽引で、終点のラーデブルクまで行く列車は1日わずか3往復。途中の起点から8.6km先、城のある観光地のモーリッツブルク折り返しの区間列車が4往復設定されています。途中で列車交換なしの、1本の列車が往復するだけで賄えるダイヤが編成されています。

ラーデボイル・オストに到着したSバーン この腕木式信号機は飾りかな
火を落とした99 791号機 99 791号機の側面

側線には、軸配置1E1の99 791号機が留置されていますが、火は落としているようです。よく見ると、連結器の形状が違うので、現役の車両ではないものと思われます。ボイラの上には、こぶが4つも乗っていますが、蒸気溜と砂箱が2つずつでしょうか。4つのドームと主動輪である第3動輪にフランジがないのは、現役のE型機も同じ。

1面2線のホームには8両編成の、ボギー台車を履いたオープンデッキの客車が停車しています。先頭は自転車の絵の入った荷物車、2両目も荷物車のようで3両目からは座席車。前方の4両は切り妻屋根。その後ろは、6両目の屋根のないオープンカーを除いて後部3両は丸屋根になっていますが、窓はいずれもアルミのユニットサッシ。最後尾の客車では記念写真を撮っている人もいます。

ホームに停車中の客車 先頭は荷物車 最後尾で記念写真を撮る乗客
側線に留置の貨車や客車 DRマークを付けたクラシックな車体

側線に留置された客車の中には、車体にDRの文字を描いた下降式窓の客車もいます。これがオリジナルで、他は更新改造の時期の違いが形態に反映されているのでしょうか。いずれも側面から見て台枠が丸見えで、トラス棒代わりの鋼材を付けていて、もとは古い車両と見受けます。

線路の先に機関庫があり、1両は煙室扉を開けて掃除中。2両が煙を上げていて、99 1608号機は先ほど交通博物館で見た軸配置BBのザクソンメイヤー式のようです。発車時間が近づくと1950年代の東ドイツ製、軸配置1E1の99 1777号機が出動、隣のホームの脇を通り過ぎ一旦前方に出て、バックで先頭の客車に連結。連結器は密着式のようなものを装備しています。

機関庫に3両の蒸気機関車 99 1777号機が出動
ホームの横を通り抜けて

この鉄道、今はDBではないのでジャーマンレイルパスは使えません。車掌さんが来たので切符を何処で売っているのか尋ねたら、その場で発券してくれます。金額別に区間を切り取るようになった補充券で、残念ながらハルツ狭軌鉄道のような硬券ではありません。終点のラーデブルク往復が13.6€。なかなか良い値段です。切符を見ると、SDGザクセン蒸気鉄道会社となっています。

列車の先頭に機関車を連結 中間にオープンカーを連結
ラーデボイル・オストを発車する列車 街中には遮断機付きの踏切

見晴らしの良い6両目のオープンカーに席を確保して、定刻の14:28に発車。もうこれが、終点のラーデブルクまで行く本日の最終列車です。しばらくは、カランカランと鐘を鳴らしながら住宅街を走り、5分程でトラムとの平面交差を渡ると最初の停車駅。ここでも乗車があり、荷物車に自転車を積み込む人も。それまで、学校帰りの女子高生2人と私だけだったオープンカーに、先ほど記念写真を撮っていた夫婦が停車中に乗り移ってきます。

鐘を鳴らしながら住宅地を走る トラムの線路と斜めに平面交差
平面交差の先にあるトラムとの乗換駅 オープンカーの乗客は5人だけ

一般の客車の車内は4人がけと2人がけの簡素なボックス席。東ドイツの規格品でしょうか、線路幅は750mmと1mと異なるものの、車体の大きさや真ん中にトイレがある構造も、先日乗車したハルツ狭軌鉄道とほとんど同じですが、貫通路がないのが異なるところ。

途中駅で女子高生が家路をたどり、一般客が乗降すると、走行中に車掌さんが貫通路のない客車のステップからステップにヒョイと飛び移り、切符を売りにまわって来ます。

客車の車内 中央にトイレ モーリッツブルク駅に到着
モーリッツブルク駅で多くの乗客が下車 パパと自転車の練習

郊外の森を抜け湖に沿って走ること30分、区間運転の列車が折り返す沿線で一番大きな町、モーリッツブルクで大半の乗客が下車。観光客はお城に向かうのでしょう。

 

終点のラーデブルクで出会ったメイヤー式蒸機

のどかな牧草地の中をさらに25分、何もない終着駅ラーデブルクに到着。ここまで、表定速度18km/h。機関車は切り離され、小さな庫の前で給水中。その隣にもう1両、機関庫から出てきた緑色の機関車が煙を上げています。近づいてみると点検中のようで、これも軸配置BBで4気筒のザクソンメイヤー式。近くで休憩中の乗務員の一言ことわって、線路内で撮影です。

機関車は客車から切り離して機関庫の前へ 給水中の機関車
99 1777号機の側面 隣に緑の機関車がいた

176号のナンバープレートを付けていて、ドイツで狭軌の機関車を表す99でないのは、ドイツ国鉄以前の王立ザクセン邦有鉄道時代のナンバーに復元されているのでしょう。1910年頃の製造のようで、100歳を超えているかもしれません。

ザクソンメイヤー式176号機
前方のシリンダと動輪 後方のシリンダと動輪

 


 

 

 

 

 

 

  

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