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“ハンガリー ブダペストの子供鉄道 2017年再訪


セール・カルマン広場からトラムと登山電車でセーチェニ山へ

ハンガリーの首都ブダペスト。ドナウ川の西にあるブダ地区の近郊、標高500m余りのヤーノシュ山の山麓に全長11.7kmの子供鉄道が走っています。2017年のゴールデンウイークに、2002年以来15年ぶりに再訪問してきました。

2002年の子供鉄道は、こちら。初訪問時に出迎えてくれた子供鉄道のスタッフは、今では立派な大人になっていることでしょう。鉄道員になった子もいるかも。

子供鉄道に向かう出発点は、東西に走りブダとペストを結ぶ地下鉄2号線のセール・カルマン広場駅。かつてモスクワ広場と呼ばれたこの場所は、東欧の民主化から四半世紀以上が過ぎ、ロシア離れか地名が変わっていました。

セール・カルマン広場電停のトラム

地下鉄2号線の車両もロシア製からフランス製の新型車になり、接続する4系統や6系統などの幹線のトラムには、ドイツやスペイン製の新型低床車が導入されても、子供鉄道に向かうトラムは旧共産圏の標準型タトラカーのまま。

セール・カルマン広場から56、56A、59Bまたは61番のヒューヴェシュヴェルジュ行きのトラムに乗って2停留所目。ヴァーロシュマヨルで降りると、門の向こうに前回と同じ赤と白に塗り分けた登山電車の姿が見えます。

ヴァーロシュマヨルで降りると門の向こうに登山電車の姿

トラムと続きの系統番号60番のステッカーをおでこに貼った登山電車は、Mc+Tcの2両編成。線路の間には全線にわたってラックレールが敷かれ、Mcの車輪に装備したギヤを噛み合わせて急勾配を登ります。

ラックレールの登山電車とその車内

登山電車の沿線は、ブダ郊外の住宅地。駅の数は全部で10。早朝から深夜まで、地元住民の足として活躍しています。切符は地下鉄やトラム、バス等と共通で、24時間券や72時間券も使えます。

踏切にもラックレールが埋め込まれている

途中駅で下りの電車と交換し、山を登ること15分程で終点のセーチェニ山に到着。

登山電車の終点セーチェニ山

 

子供鉄道に乗ってセーチェニ山からヒューヴェシュヴェルジュへ

登山電車のセーチェニ山駅から子供鉄道の駅へは、一本道を歩いて5分程。子供鉄道の運行は、2017年の時刻表によると、平日は2列車の運用で概ね1時間間隔の1日8往復。土日祝日は3列車の運用で概ね45分間間隔の1日11往復で、この他に季節列車5往復が運行できるダイヤが組まれています。

子供鉄道のセーチェニ山駅

子供鉄道のスタッフは10歳から14歳の少年少女。セーチェニ山駅の窓口では中学生の男の子が切符を販売。大人の運賃は700フリント(約350円)。お釣りを間違えないよう、慣れない手つきで繰り返しお札を数えて手渡してくれます。

出札窓口も子供の駅員

子供鉄道は、軌間760mmのナローゲージ。駅のホームには、センターキャブのディーゼル機関車が2両の客車を牽く列車が到着したところ。客車のうち1両は、窓ガラスがなく腰部も柵があるだけで素通しのオープンタイプ。この時はあがっているものの朝は雨が降ったので、上から下までロールカーテンをおろしています。

ディーゼル機関車の牽く客車列車

ホームには、子供鉄道の車掌さんが6人。英語で“写真を撮らせてくれる?”と彼らに聞いたら、列車をバックに整列してくれました。

子供鉄道の車掌さんが撮影に応じてくれた

ホームにはもう1両、車体にリベットが目立つクラシックなディーゼルカーが停車しています。正面の窓上に乗っているのは、エンジンのラジエターのよう。子供鉄道のホームページによると、この車両はブダペストから東北東へ180kmほどの所にある町、ミシュコルツの近くを走るリラフレド森鉄道が1929年に導入した、御年90歳近い歴史ある車両だとか。

リラフレド森鉄道からきた旧型ディーゼルカー 前方には腕木式信号機

前回の訪問時には客車列車に乗ったので、今回は増発ダイヤで先発のこのディーゼルカーに乗ってみることに。

両端にドアがあり、それぞれ“1”と“2”の標記。7つある窓のうち2つ分がもと1等室で、クッションのある4人と2人のボックス席が2個所ずつあり定員12名。現在の子供鉄道はモノクラスのため、追加料金なしで座れます。

もと1等室

残りの窓7つ分が2等室で、板張りの座席にクッションはなし。中央には窓を向いて背中合わせになった、8人掛けロングシートの変わった座席配置。この下にエンジンがあり、室内にはみ出す部分をカバーしていると見受けます。

もと2等室 真ん中の背中合わせの座席がエンジンのカバーを兼ねているらしい

中央のロングシートの一端から天井に向かう太い柱。この中をエンジンの排気管が通っているのでしょう。

真ん中の太い柱の中をエンジンの排気管が通っているのでしょう

この列車には、女の子2人と男の子が1人の3人の車掌が乗務。先ほどホームには6人いたので、残りの3人の男の子は次の客車列車の担当でしょう。

この列車の車掌は3人乗務

前方の腕木式出発信号機がガチャンと上がり、安全を確認した車掌が窓から大きく腕を伸ばして発車の合図。クラシックなディーゼルカーが車体を揺らして動きだすと、車掌が検札にまわります。

車掌さんが検札に来た

続いて、籠に入れた子供鉄道グッズを持って回っての販売。この日の夜便で帰国のため、もうハンガリーフリントの持ち合わせがほとんどなく、見るだけに終わり残念。

検札を終えて一休み

車内の乗客の多くは、小さな子供連れ。数年後には、彼らの中から子供鉄道のスタッフになる子も出てくるかも。

日曜日なので子供連れが多い

子供鉄道の駅は、両端を含め9個所。定期列車は全駅に停まり、季節により土日祝日に増発する列車は、このうち2〜3駅を通過するダイヤ。

Csillebérc駅の駅舎の側面上部には、子供鉄道の絵

各駅には子供の駅員が勤務し、列車が到着すると大人のスタッフと一緒にホームに出て発車の合図。

Virágvölgy駅で発車合図に続いて敬礼で列車を見送る

途中駅のヤーノシュ山で、ディーゼル機関車の牽く客車列車と交換。ここからエルジェーベト展望台に向かう家族連れが下車して、車内は空いてきます。

島式ホームのJánoshegy(ヤーノシュ山)駅で列車交換

対向列車も、両端デッキの客車と中央に扉が2個所で窓ガラスのないオープンタイプの客車の2両を牽引。

ヤーノシュ山駅で列車交換

子供鉄道でも、運転士は大人が担当。スピードメーターは80km/hまであるものの、最高速度は20km/hと少々。

運転士だけは大人

ヤーノシュ山以外の中間駅では、乗降はほとんどありません。

Szépjuhászné駅

沿線の車窓は大半が林の中だけど、一部に視界が開けるところも。ヤーノシュ山で途中下車して展望台まで登らなくても、これでもいいか。

車窓が開けたところ

線路は単線のため、各駅の両端には列車交換のためのポイントが設けられています。中間駅は手動で切り替えを行っているようで、ポイントの部分に担当者を配置。

線路のポイント切り替えを担当する少女

通貨駅で敬礼による駅員の見送りを受けて最後のコースへ。列車は大きくカーブしながら高度を下げていきます。

敬礼で通過列車を見送る

 


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