センテンドレ都市交通博物館屋外の保存車両
動輪が3軸、軸配置Cのタンク式の蒸気機関車28号は1894年製。観音開きの煙室扉は、オーストリアの蒸気機関車でよく見られます。蒸気圧は10バールで速度は45km/h。その後ろにいるのは貨車改造の炭水車でしょうか、それとも水タンクだけ?
タンク式蒸気機関車28号 |
蒸気機関車の後ろは炭水車? |
屋根に大きなラジエターを乗せた2軸の電気式ディーゼル機関車、42号と41号は1917年製。235HPの機関で駆動する150kWの発電機を搭載しています。
電気式ディーゼル機関車 42号と41号 |
軸配置BBでL型車体の電気式ディーゼル機関車734号は、1963年のガンツ社製。出力600HPで速度80km/h。
L型の電気式ディーゼル機関車734号 |
7400号は軸配置BBで正面2枚窓、箱型車体のディーゼル機関車。電気式でしょう。1943年製にしては近代的な車体ですが、詳細は不明です。
ディーゼル機関車7400号 |
軸配置BBで凸型車体の電気機関車32号は、1929年のガンツ社製。出力110HPのモータを4台装備。
凸型の電気機関車32号 |
2014号は2軸の除雪車。詳細はわかりません。デッキに乗せた箱には何が入っているのでしょうか。
除雪車2014号 |
HÉVの電車801+601+802号、MTMの3両ユニットは1962年の自社Budafoki工場製。現在センテンドレ線で使われている3扉車の一世代前の4扉車。M車は130HPのモータを4台装備し、速度は80km/h。
801+601+802のMTM編成 |
付随車P511号は1943年のガンツ社製。上の801号編成より前の世代でしょう。台車の部分を避けて中央に扉を配置しています。台車は、ちょっと珍しい枕バネも軸バネも重ね板バネ。
付随車P511号 |
オレンジと白の2軸車4735号は、ガンツ社が1913年に製造した旧型車の車体更新車と思われます。ブダペストから南南西に200kmにあるハンガリー南部の都市ペーチュ(Pécs)の市電が1960年に廃止されたときに引き取った車両のようです。
2軸車4379号はペーチュ市電 |
2軸車7077号は、1926年製の旧型車の車体を更新したレール削正車。砥石でも装備しているのでしょうか。台車をよく観察してくればよかった。
2軸のレール削正車7077号 |
2軸の荷物電車7060号は1926年製。荷物の積載量は4t。
2軸の荷物電車7060号 |
400号は、この博物館にある唯一の地下鉄車両。1983年のガンツ社による試作車で、信頼性が低く高価なことから量産には至らなかった不遇の車両だとか。現在地下鉄では、アルストーム社の車両で旧ソ連製の代替が進んでいます。
地下鉄の試作車400号 |
貨車が何両か留置されています。全長13.4m、赤茶色の大きな2軸車の有蓋車は1968年製。速度は100km/hに対応しているそうで、標準軌だから可能になるのでしょうか。日本の2軸貨車では考えられません。
各種有蓋貨車 |
1908年製のタンク車には、車端部にデッキがあり、小屋のようなものが設置されています。
無蓋車とタンク車 |
狭軌の車両を積載する貨車 |
狭軌の車両を車輪がついたままで積載し、標準軌の線路上を運ぶ用途と思われる貨車もあります。
センテンドレ都市交通博物館バスの保存車両
博物館にはバスも保存展示されています。
フロントエンジンキャブオーバーのバスは、ハンガリーのバスメーカー、イカルス(Ikarus)Rába Tr3型、1948年製。レストア工事中でしょうか。
ハンガリー製イカルスRába Tr3型 |
青と銀のバスはイカルス180型。1960年台後半から70年台前半頃の製造。
ハンガリー製イカルス180型 |
赤とグレーのトロリーバス、573号は1968年のソ連製ZiU-5D型。
ソ連製のトロリーバス |
923号はエンジンがなく、バスやトロリーバスに牽引されるトレーラー。1961年製のイカルスAMG406型。前方は2枚窓、後方は3枚窓。 その後は連節バスに移行してトレーラーは使われなくなったとか。
イカルスAMG406型 |
その他の展示
ブダペストの郊外電車やトラムの変遷が、パネルで示されています。バスもあります。
郊外電車、トラム、バスのパネル展示 |
電気機器類や整備工場の器具類の展示も。
電気機器類や整備工場の器具類
センテンドレの都市公共交通博物館には、あまり期待もせずにセンテンドレ観光の途中で立ち寄ったのですが、予想外に充実していてかなりの時間をとってしまいました。そのため、園内で運行する2軸の古いディーゼルカーに乗車できる野外博物館に行く時間がなくなってしまいました。次回の楽しみに残しておきましょう。
センテンドレ都市公共交通博物館の公式ホームページは、こちら。