品川駅のサロンエクスプレス東京 |
品川駅開業111周年記念乗車券
今や、のぞみ99号の始発駅として、また東海道新幹線の全ての列車が停車する駅として、南東京の拠点駅となった品川駅。在来線のホームには、山手線、京浜東北線、東海道本線の上り列車のホームと、東海道線下り、横須賀線ホームの間に、7〜9番線の臨時ホームがあります。
1960〜70年代、列車が国内旅客輸送の大半を占めていた時代には、お盆や年末の帰省ラッシュの期間には、上野駅で捌ききれない東北方面の臨時列車が、品川駅の臨時ホームから北に向けて発車していったこともありました。でも、通常の時期は、臨時列車や団体列車がなければ、臨時ホームはいつも閑散としていました。
そんな臨時ホームの活用法の一つとして、新車の展示や列車を使ったイベントは、今でも行われることがあります。
そんな中で、唯一見学に出かけたのが、1983年の8月に行われた欧風客車、“サロンエクスプレス東京”の展示です。それまでの余剰の旧型客車を改造したお座席列車から、当時まだ製造から10年程度で、現役の特急列車としても使用されている14系客車を改造した豪華列車の誕生と品川駅での展示は、新聞でも大きく報じられました。
職場の昼休みを抜け出して品川駅に駆けつけると、塗色からして高級感あふれる列車を大勢の人が取り巻いていました。短時間であわただしい見学でしたが、記念入場券もしっかり入手しています。車内の写真は、ガラスの反射からみて窓越しに撮った様です。おそらく車内の見学はできなかったのでしょう。
“サロンエクスプレス東京”の1号車から7号車までの詳細は、記念入場券をクリックして、その裏に書かれた説明をご覧ください。でも、停車中の列車の写真では、5両編成のようです。中間車2両はまだ落成していなかったのかもしれません。
入場券ケースの内部には、以下のような説明があります。
新しい旅の幕開け。
欧風客車“サロンエクスプレス東京”
の誕生です。“旅の楽しさの創造”をテーマにつくられた欧風客車は、ラウンジから個室まで、デラックスなソファー、ホテル並みのジュータンが敷かれています。また、ビデオ装置、6チャンネルのオーディオ機器などのサービス設備も充実していて、これまでに経験できなかった優雅な旅が味わえます。
新しい旅の幕開け。“サロンエクスプレス東京”は、団体・グループ・個人向け旅行から企業のイベント・職場旅行など、さまざまにご利用いただけます。入場券ケースの裏に、JNRマークがあります。今のJRマークに比べ、スピード感があり良いですね。
また、この入場券は、品川駅が所属する東京南鉄道管理局が発行しています。東京鉄道管理局が3分割され、北、南、西に分かれていた頃です。車両に書かれた所属を示す“東”の文字が、北モセ(下十条電車区)、南チタ(田町電車区)、西ムコ(武蔵小金井電車区)等のように変わり、山手線が3つの鉄道管理局をまたいで運行するなど、違和感を感じたのも懐かしい想い出です。
華々しくデビューしたサロンエクスプレス東京も、バブル崩壊後は需要が低迷したのか、掘り炬燵の和風列車に再改造され2008年まで、四半世紀にわたり第一線で活躍したことになります。残念ながら乗車する機会には恵まれませんでしたが。
同じ年の10月14日の鉄道記念日に、品川駅開業111年記念乗車券が発売されています。入場券や乗車券の金額をみると、'83年当時の国鉄の最低運賃は既に120円で、消費税を除けば現在と同じだったのですね。
2010/01記