可部線 |
可部線は、山陽本線の横川から三段峡に至る路線でした。電化されている可部までが私鉄買収路線で、その先三段峡までは国鉄が建設した路線でしたが、非電化区間は2003年に廃止されています。
ここに写真のある1980年当時は、全国的にも残り少なくなった73系旧型国電で運行されており、写真のサボでわかるように、現在と同様に広島を越えて山陽本線や呉線まで直通する運用もありました。今は富山ライトレールになっている富山港線とともに、1984年まで最後の73系として残った線区ではなかったでしょうか。
写真のクモハ73は全金属車体への更新車ですが、正面の方向幕は使わずに、方向幕のない車両の正面のサボ受けも使わず、行き先は車体側面窓上に横長のサボを差し込んでいたのは、当時の地方線区では一般的でした。
写真のクハ79は、側面の窓は3段から2段に改造され、車内には扇風機もついていますが、正面窓がHゴム化されず木製のサッシのまま、プレスドアも間の仕切りでガラスが上下に分割された、戦後のモハ63型、粗製乱造ロクサンの面影をそのまま残した(ロクサン当時は3分割ですが)、当時としても貴重な存在ではなかったでしょうか。
国鉄では、まだ荷物輸送が行われていましたが、荷物電車を1両増結するほどの輸送量はなく、荷物合造車のクハニの配属がなかったからでしょう、クハの客室の一部を荷物室代用としていました。
それにしてもこの電車、側面は山手線の鶯色ですが、正面は警戒色の意味もあるのでしょうか、山手線と中央線を合わせたすごい配色ですね。
2008/03記